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財団法人日本ユニセフ協会
 



フィリピン台風緊急募金 第3報
行くあてもなく、支援を待つ人々

【2013年11月11日 フィリピン・マニラ発】

フィリピンでは、台風30号が去り、被災した人々が必死の思いで支援を待つなか、ユニセフは、フィリピン政府や他の人道支援の団体とともに、生き延びた人々への緊急支援活動をなんとか進めようと全力を尽くしています。

ユニセフ東アジア・太平洋地域事務所のクリストファー・デ・ボノ広報官からの報告です。

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© UNICEF Philippines/2013/JMaitem
タクロバン市内で、娘を抱きながら、あてもなく歩き続ける母親

緊急支援活動のため、レイテ島タクロバン市内に向かったユニセフのノノイ職員と電話がつながりました。彼は緊急支援においては豊富な経験があり、複数の災害現場で支援活動に携わり、惨状を見てきました。

そんな彼の声が、震えていました。

「子どもがいる家族が、水没した道を歩いています。彼らがどこに行くのかはわかりません。どこにも行くところがないのです。家を失い、当てもなく歩き続けるほかないのです」とノノイ氏は語りました。

全てを失った多くの人々

© UNICEF Philippines/2013/Maitem
タクロバンの避難民キャンプの住民たち

道に瓦礫が散乱しているため、滑走路に降り立ってから空港を出るまで1時間近くかかりました。支援活動のために現地入りした他のスタッフの中には、空港で夜を明かす人もいました。夜の暗闇の中では、道を通ることはほとんどできません。車の運転手や乗客だけではなく、通りで野宿をする人々を巻き込んだ事故が起こす危険があるからです。

「本当に多くの人々が全てを失い、何も持っていません。子どもたちは飢え、病気になった子もいます。人々は苛立ちを隠せません」

この状況下で穏やかでいられる人がいるでしょうか。私にも娘がいますが、彼女に食べものを与えることさえ満足にできないとき、どんな感情がこみあげてくるのかと、想像することしかできません。私の家族も困難な時期を経験はしましたが、娘のために食料や寝床を提供したり、彼女が病気のときに看病してあげることは、不自由なくできていました。

そのようなことを、この台風で被災した人々は、することができないのです。そして、彼らにとって助けを求める場所もないのです。

現地からは、略奪行為がおきているという報道もあります。しかし、ノノイ氏はその行為を、飢えている家族のため、絶望的になって、破壊されて捨て置かれた倉庫からお米を”回収”しているのだ、と表現します。

「市の職員たちは尽力をつくしています。そして、市庁の外には人々の長い列ができています」とノノイ氏はいいます。

フィリピン軍が支援に駆けつけ、地域の警察が、タクロバン市内の治安を取り戻すのを助けています。しかし人々が最も必要としているものはそこにはありません。現地の公務員の多くも、愛する人々や家を失ったのです。

物流の課題

© UNICEF Philippines/2013/Maitem
台風によって被害をうけた学校の校舎。国連はユニセフはとともに、フィリピン政府の協力の下、国家災害調整委員会を通じて、被災した人々への支援活動を実施します

タクロバン市の子どもたちが、今、必要としているのは、食糧や避難場所、きれいな水、基本的な医療物資です。

しかし希望はあります。空港は機能を取り戻し、貨物機が緊急支援物資を運び込んでいます。物資を配布し人々のニーズに応えるために、ユニセフやパートナーの支援を受けた自治体は、多くの困難を伴いながらも、少しずつ機能を取り戻し始めています。

物流・通信網は大きな課題です。支援物資と専門家を必要な場所に配送・配置すること、輸送車などを動かすためのガソリンを探すこと、配給システムを構築すること、そして情報網を再構築すること、これら全ての課題が立ちはだかっています。

台風ハイエンが通過し、未だにアクセスできない地域が数多くあります。だからこそ、まだ多くを把握できておらず、おそらく何百万人もの子どもたちが、支援を必死に求めていながら、いまだ支援は届けられていません。

パラワン島北部とレイテ島のオルモック市も人口が多く、被災状況が懸念されています。どのような被害が発生し、どれくらいの子どもたちが支援を必要としているか、まだ把握できていません。

明日オルモックに到着する職員から、より詳しい状況をきけるはずです。今は祈ることしかできません。

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台風30号(ハイエン)被災地域でのユニセフの緊急支援活動をサポートするため、(公財)日本ユニセフ協会は、「フィリピン台風緊急募金」の募金口を開設しました。みなさまのご協力をよろしくお願い致します。