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財団法人日本ユニセフ協会
 



フィリピン台風緊急募金 第19報
少しずつ進む復興活動
アンソニー・レーク事務局長が被災地を訪問

【2013年12月17日 フィリピン発】

© UNICEF/NYHQ2013-1217/JEOFFREY MAITEM
ユニセフが設置した給水場を訪れ、水容器に水を入れる男の子(レイテ島タクロバン)

フィリピンで台風30号による甚大な被害が発生してから1ヶ月余り。現地では復興に向けた支援活動が行われています。

国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、16日時点、フィリピン台風により被災した人々は1,410万人、内590万人が子どもです。また、住む場所を失い避難している人々は390万人、内160万人が子どもです。最も被害を受けたのは、レイテ、サマール、東部サマール、セブ島の北端、パナイに住む推計400万人の人々です。被害発生直後は交通のアクセスが寸断され、支援を届けるのに困難を極めた自治体もありましたが、現在では、被災地全域でアクセスが全面復旧し、支援が届けられています。台風によって被災した地域のなかには、台風到来前より子どもの貧困率が40%を超えていた、フィリピン国内で最も貧しいコミュニティも含まれています。

ユニセフはこれまでに、フィリピン政府や他のパートナーとともに、復興活動開始までに必要とされる物資やサービス、安全で健康的な生活環境など、優先事項を明確化した戦略を策定しました。ユニセフの役割は、すべてのパートナーと密に協力しながら、死亡率や疾病率、栄養不良状態を台風到来前と比較して悪化させないこと、そして、避難している人々、特に子どもたちに住む場所と支援を届けることです。迅速な支援活動のため、ユニセフは主なハブ拠点となる事務所をタクロバンに設置し、ギワンとロハスに事務所を、セブ島に物流拠点を設けました。これらの新事務所・新拠点では、水と衛生、教育、保護、栄養の分野における、調整業務や情報管理を行っています。

これまでのユニセフの支援活動の概要

水と衛生
水キット、水処理用品、貯水袋、家庭用貯水容器を東部サマール、レイテ、カピスの57万5,000人に提供。簡易・持ち運び用トイレをカピス、東部サマール、レイテの9万人に提供。衛生キット一式を東部サマール、レイテ、カピス、イロイロ、セブの20万6,000人に提供しました。

教育
レイテ、サマール、ロハスの子どもたち5万人以上に学用品を提供。およそ2万人の子どもたちが、ユニセフが設置した193の教室で学習しています。

© UNICEF/NYHQ2013-1222/JEOFFREY MAITEM
レイテ島に設置された「子どもにやさしいテント」

保護
家族と離ればなれになった子どもたちを発見・保護し、家族と早期再会させるために、RapidFTRという携帯電話を使ったシステムが運用されています。女性と子どもの保護を担当する警察官や自治体の担当者にRapidFTRの使用方法や手続きの教習を実施。現在、家族と離ればなれになった子どもが登録・保護されたケースは72にのぼります。

また、ユニセフはパートナーと共に、子どもたちが安全に過ごせる「子どもにやさしい空間」をタクロバン市内に9ヶ所、ギワンに4ヶ所、マニラの空軍基地1ヶ所に設置。運営を担う、レイテ、東部・西部サマールの22の自治体と3つの都市の子どもの保護担当者に、研修を実施。今後、オルモックやロハスなどにも拡大され、新たに10ヶ所で設置される予定です。

栄養
5歳未満の子ども約4万人に、栄養状態のチェックを実施しました。そのうち172人が重度の栄養不良、685人が中度の栄養不良と診断され、治療を受けています。

“赤ちゃんにやさしい空間”を提供するテントを、レイテ島のタクロバンやオルモックなどの避難所や病院など8カ所に設け、妊婦や乳児の母親向けに、乳幼児への栄養補給サービスを提供しています。これまでに、およそ1,000人の女性がカウンセリングを受けました。これらの場所では、教育分野の支援も併せて行われており、早期幼児開発(ECD = early childhood development)キットが用意されています。

保健
ユニセフはWHOとの協力の下、先月26日からタクロバンを皮切りにはしかとポリオの予防接種キャンペーンを開始し、これまでに4万5000人以上の子どもたちに予防接種を実施、感染症に対する免疫を向上させるビタミンAを2万8,000人の子どもたちに投与しました。

ユニセフのアンソニー・レーク事務局長が被災地を訪問

© UNICEF/NYHQ2013-1241/Maitem
「子どもにやさしいテント」を訪れ、子どもたちに絵本を読むレーク事務局長

今月13日、ユニセフのアンソニー・レーク事務局長が被災地を訪問しました。4日間の日程のなかで、レイテと東部サマールの、学校や避難所に設置された「子どもにやさしいテント」を訪れたレーク事務局長は、被災した子どもたちや教師、保護者とふれあい、人々の希望を求める明るさと不屈の精神に、心から敬意を表しました。

また、台風による被害発生直後から、ユニセフ フィリピン台風緊急募金にあたたかいご支援をいただきました日本の皆様に、レーク事務局長から感謝のメッセージが届いております。

「日本のみなさまへ」ユニセフ事務局長 アンソニーレーク

フィリピンにおける、ユニセフの支援活動を支えてくださるみなさまに、心より深く感謝申し上げます。