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財団法人日本ユニセフ協会
 



フィリピン台風緊急募金 番外編
フィールド・ダイアリー:レイテ島からの便り
「新学期がはじまりました」

© UNICEF Philippines/2014/Naoko Imoto
台風によって被災した校舎

2013年末からフィリピンで、台風30号で被災した子どもたちの支援に携わっている井本直歩子さんは、 アトランタオリンピック日本代表の元競泳選手。選手生活引退後、人道・開発支援の専門家に転身し、ユニセフの専門家として、内戦中のスリランカや大地震に見舞われたハイチ、東日本大震災の緊急・復興支援活動にも従事した経験をもちます。

レイテ島タクロバンの井本さんから、フィールド・レポートが届きました。

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【2014年1月6 日 フィリピン・レイテ島発】

© UNICEF Philippines/2014/Naoko Imoto
キラキラとした笑顔のタクロバンの子どもたち。

2013年11月8日から10日に台風30号が襲った地、フィリピン・レイテ島タクロバンに赴任して9日目、今日、ほとんどの学校で新学期がスタートしました。着任早々、今日のために準備してきました。

とはいえ、学校は台風直後からすでに再開されています。台風によって、6,000人近くが亡くなり、約2,500校が破壊されました。しかも、多くの学校がまだ避難所となっているにも関わらず、わずか10日後、11月18日には先生たちは学校を再開させたというから驚きました。

こちらに来てから一番驚いているのは、その甚大な被害よりも、この国の人たちの能力の高さ、リカバリーの早さ、回復力(レジリエンス)です。もともとのレベルもかなり高いけれど、毎年大きな災害を乗り越えてきているこの国は、対応の準備ができているし、打たれ強くなっているのだとつくづく思います。私もこれまでハイチ地震、東日本大震災等、いくつかの緊急・復興支援を経験してきていますが、今回の災害のフィリピン政府の対応能力は、少なくとも私の中での今までの常識を大きく覆しています。通常の他国の災害では、現地政府も「被災者」のような立場で、ほとんど機能せず、最初のうちは何から何まで私たち援助機関がお膳立てしているような感じでした。でもここでは、現地政府が完全に主導権を握っていて、我々はアシストしているに過ぎません。今まで求めていた形がここにあります。感動!

さらに・・・いつも優しくニコニコしていて、こちらに「ありがとう」と言ってくれるフィリピンの人たち。「こんなに被災しているのに・・・。何なんだ、この人たちは」と、驚きと感動が重なります。

© UNICEF Philippines/2014/Naoko Imoto
新学期が始まり、集まった子どもたち

話が逸れましたが、再び学校、始業式の話です。今日会った先生曰く、台風直撃直後は、先生たちも子どもたちもかなりのショック状態で、泣いている子どもや、何も話さない子どもたちばかりだったそうです。先生たちは、最初はストレスを発散させるセッションを学校で行いました。見たこと、感じたことを話してもらいます。少しずつ、少しずつ。段々と、子どもたちは、周りの子どもたちと共感しながら、話せるようになってきました。

さらに、ユニセフが届けたテントやスポーツ用具が入ったレクリエーション・キット、「箱の中の学校」(スクール・イン・ア・ボックス)が届き、久々にスポーツでストレス発散する子どもたち。「箱の中の幼稚園」も幼稚園に届き、おもちゃ遊びやお絵描きができるようになりました。被災から10日くらいすると、子どもたちに以前の元気が戻ってきたということです。もちろん、これで万事OKではないですが、大きな一歩であることは間違いありません。

© UNICEF Philippines/2014/Naoko Imoto
フィリピンで支援活動に携わる井本さん(前方、右端)

冬休み(というか、冬がないのでクリスマス休暇)を経て、今日始業式で会った子どもたちは、とても元気な顔をしていました。今日もまた文房具やスポーツ用品を届けたのですが、それを見たときの子どもたちの「わー!」という歓声と顔が格別でした。これを見るために仕事しているんだなと実感する瞬間でした。

すでに大好きになったこの国で、この素晴らしい人たちのために、もっともっと貢献したいと思います。

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フィリピン台風30号緊急募金 特設ページ