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財団法人日本ユニセフ協会
 



フィリピン台風緊急募金 第26報
台風から半年 長い復興への道のりに明るい兆し
被災した子どもたちは590万人

【2014年5月7日 タクロバン/マニラ フィリピン発】

数字で見る概況

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水と衛生
安全な水を利用できる人: 104万1,530人
適切なトイレを使用できる人: 9万7,525人
衛生用品を受け取った生徒: 44万2,682人
※安全な水へのアクセスは、水キットの配布記録(5人に1個)に基づく。適切なトイレへのアクセスは、簡易トイレ設置記録(50人に1基)に基づく。学校で生徒に配布した衛生物資は、学校に直接届けられた衛生キットの配布記録(1年で8人に1個)に基づく。

保健
はしかの予防接種を受けた子ども: 8万3,239人
支援重点地域になっている40の地方自治体で、定期予防接種を受けた子ども: 1,848人
そのほかの地域で定期予防接種を受けた子ども: 7,008人
※数値は政府の調査に基づく。

教育
支援物資の学習教材を受け取った子ども: 47万133人
臨時の学習スペースに参加している子ども: 13万5,100人
夏季補習プログラムを通して支援を受けた子ども: 3,000人
※支援物資を受け取った生徒の人数は、学校に配布したレクレーション・キット(90人に1個)、早期幼児開発キット(50人に1個)の記録に基づく。臨時の学習スペースに通う子どもは、設置した臨時の学習スペース(1カ所につき平均100名の子どもが参加)をもとに数値を算出。臨時の学習スペースの数は、配布したテントをもとに算出。

栄養
乳児と幼い子どもの適切な食事の与え方についてカウンセリングを受けた、2歳未満の子どもをもつ保護者: 4万441人
鉄分の錠剤と葉酸サプリメントを提供した妊婦: 1,789人
治療食プログラムを受けた重度の急性栄養不良の子ども: 531人
※数値はパートナー団体による調査に基づく。

子どもの
保護
「子どもにやさしい空間」で心のケアを受けた子ども: 2万5,598人
心のケア活動に参加した保護者: 5,242人
家族の追跡・保護支援の恩恵を受けた、家族と離れ離れになった子ども: 134人
※数値はパートナー団体による調査に基づく。

* * *

フィリピン中央部を襲った台風30号から半年を迎え、被災地では、復興への兆しが見え始めています。ユニセフはこの半年で、子どもたちが再び学校に通えるようにし、予防接種を行い、100万人に安全な水を供給しました。

ユニセフ・フィリピン事務所代表のロッタ・シルワンダーは「被災した人は1,400万人、そのうち590万人が子どもたちで、400万人が家を失いました。助かった方々の生活再建を支援することは、大変なことです」と述べました。病気の感染拡大と栄養不良を予防するために、被災直後から、ユニセフは直ちに専門家とリソースを投入し、子どもと家族を支援しました。

「台風30号のような大災害の余波は、台風による影響を受けた子どもや家族にさらなる打撃を与えるため、ユニセフはパートナー団体と共に現場の取り組みを直ちに拡大すべく活動しました。8万人の子どもたちに予防接種を行い、100万人が安全な水を使えるようにし、心に負った傷を乗り越えられるように、2万5,000人の子どもたちに心のケアを行いました。また、子どもたちができるだけ早く学校に戻れるようにし、4万7,000人の子どもたちに学用品を提供しました」 とシルワンダー代表は続けました。

この半年間のユニセフの主な活動は以下の通りです。

ユニセフの取り組み

歯を磨く男の子。
© UNICEF Philippines/2014
歯を磨く男の子。
  • <水と衛生>
  • 水源の復旧を支援
  • 水キットや水処理製品、巨大な貯水用タンク、貯水用容器の提供や地域の給水システムの修復
  • <教育>
  • 学用品や教具がセットとなった「箱の中の学校」やレクレーションのための道具、乳幼児向けのおもちゃなどがある「臨時学習スペース」を1,351カ所設置
  • 災害リスク削減や緊急事態下での教育の継続など、緊急事態に関わる研修を約900の教育サービス団体に実施
「子どもにやさしい空間」に通う女の子。
© UNICEF Philippines/2014/Arifa Sharmin
「子どもにやさしい空間」に通う女の子。「ここに来るのが好きです。友達と遊ぶことができるし、勉強もできますから」と語る。
  • <保健>
  • コールドチェーン(ワクチンを保冷して輸送するしくみ)の復旧を実施
  • 電力の供給停止などによる混乱を避けるため、ソーラーパネルつきのワクチン用保冷庫、計82を被災地の保健センターに提供
  • タクロバンでは、被災した地元の病院の脱塩水化工場を支援
  • <子どもの保護>
  • ユニセフとパートナー団体は「子どもにやさしい空間」を128設置、被災した地域の子どもたち2万5,000人以上が利用
  • これらの空間で子どもたちは、遊び、レクレーションを行えるほか、学習も可能
  • こうした取り組みは、精神面や社会面の回復に役立つ
  • 教員に、教室内で行える子どもたちへの支援の研修を実施
  • ソーシャルワーカーや養育者など5,000人以上に子どもの心のケアと暴力、搾取、虐待、人身売買の予防と取り組みの研修を実施
  • <栄養>
  • ユニセフとパートナー団体は、被災3地域で子ども24万人以上の栄養状況を確認
  • さらに「母親と子どもにやさしい空間」54カ所を設置
  • 毎月、妊娠中または授乳期の女性1万1,000人が利用し、母乳育児や離乳食についても学んでいる
栄養不良の検査を受ける子ども。
© UNICEF Philippines/2014/Joey Reyna
栄養不良の検査を受ける子ども。ユニセフは政府やパートナー団体と協力し、台風の影響を受けた地域で母乳育児や離乳食などについてカウンセリングを行っている。
  • <無償現金給付>
  • ユニセフは、ACF(Action Contre La Faim)とのパートナーシップのもと、最も困窮にある1万世帯に、毎月4,370フィリピンペソ(約100米ドル、約1万200円)を、6カ月以上にわたり無償で給付
  • 給付金があれば、緊急のニーズが生じても、食糧や生活必需品の購入や医療ケアやサービスの利用が可能に
  • なかには、家畜や農業、長期間の復興の足がかりとして投資に回す世帯もある
  • 「最も困窮にある世帯」に含まれるのは、障がいのある子どもや病気の子どもがいる世帯、高齢者のいる世帯、両親を亡くし孤児となった子どもたちがいる世帯、栄養不良の子どもたちがいる世帯、妊娠中または授乳期の女性がいる世帯や、女性や子どもが世帯主の世帯

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ユニセフの支援要請に対し、国際社会からあたたかい支援が多く寄せられました。これにより、災害発生から1年となる2014年11月までの重要な活動資金はすでに確保されています。

シルワンダー代表は「台風30号の被災以降、ユニセフは緊迫した支援活動を継続していきました。一定の進展はあるものの、復興完了はほど遠いものです。ユニセフは、フィリピン政府やパートナー団体と共に、地域社会が復興し、今後の災害で子どもが受ける影響を軽減させるべく、より災害に対処できる構造とサービスを構築するための支援を行います」と述べました。