世界のニュース(1)

第15回国際エイズ会議開催が開かれました!
〜すべての人が予防や医療を受けられるようになるために

写真に写っているお母さんはエイズのために亡くなりました。
(写真は本文と直接関係ありません)

 7月11日から16日まで、タイの首都バンコクで第15回国際エイズ会議が開催されました。ユニセフも参加したこの会議には、160カ国と関連する機関から20,000人以上の人びとが参加しました。

 7月6日にUNAIDS(国連エイズ合同計画)が発表した報告書によると、世界すべての地域でHIV/エイズが拡大し、去年1年間だけで新たに500万人がHIVに感染したそうです。HIV/エイズとともに生きる人の数は、2001〜2003年の間で、3,500〜3,800万人に増え、300万人もの人がエイズによって亡くなりました。

 こうした深刻な状況を受けて開かれた今回の会議で、とくに関心が集まったのは、感染が深刻なアジアの状況です。2003年末のアジアの感染者数は約740万人にのぼり、2年前にくらべて82万人増えています。増えつづける感染者にどうしたら適切な医療をひろめることができるのか、貧困や医療がうけられる環境にある格差などについて、さまざまな問題が話し合われました。

 現在では、エイズの発症を遅らせる医薬品の開発が進んで、中国やインド、タイなどでも安価なエイズ薬が作られています。ですが、途上国の感染者が適切な医療を受けているとはいえません。アジアでエイズの薬を必要としている130万人以上の感染者のうち、実際に薬を手にしたのは10万人以下にすぎないという報告もあります。感染者の多くが途上国の貧しい人たちで、こうした国ではエイズ薬の普及にかかせない専門知識のある人びとがとても不足しているのです。 タイでは政府がエイズ薬を無料で配布していますが、地方のちいさな医院などでは、今でも偏見から感染者の診察をこばんだり、正しい処方ができなかったりすることがあるそうです。

 国連によると、世界でエイズの薬を必要としている約600万人のうち、実際に薬を手に入れることができるのは約40万人に過ぎません。WHO(世界保健機関)は、治療を普及させるために、世界で10 万人以上の専門医療知識を持つ人びとを急いで育成する必要があると訴えています。