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〜母乳の大切さ、知ってますか?〜

 みなさんは、赤ちゃんのときにお母さんのお乳(母乳)で育ったかどうか聞いてみたことがありますか?日本では、母乳でも粉ミルクでも、子どもの成長にそれほど差が出ることはありません。でも、それは、日本だからなのです。

お母さんのお乳は赤ちゃんの命づな

 開発途上国では、母乳こそが子どもたちの命づなです。母乳は、栄養のバランスも赤ちゃんに一番あっていて、病気に対する抵抗力もつけてくれる理想的な赤ちゃんの食べ物なのです。

 なのに、開発途上国では、母乳よりも粉ミルクのほうがよいというあやまった考えのために、粉ミルクを使っているお母さんたちがたくさんいます。粉ミルクはただでは買えません。お金がなく貧しい家庭では、粉ミルクを少ししか買えず、粉ミルクをすごく薄めて飲ませてしまったり、粉ミルクをつくる水がよごれていたりして、そのため、とてもたくさんの赤ちゃんが病気や栄養不良になり、命を失っている赤ちゃんもいるのです。

 ユニセフは、多くの国で「母乳で赤ちゃんを育てよう!」というメッセージを広める活動をしています。ちょうど、8月1日〜7日は世界母乳育児週間と定められており、多くの国で取り組みが進められます。

 2004年8月6日には、エチオピアで、政府とユニセフ・エチオピア事務所が共同で、「生まれてから生後6カ月まで、母乳だけで育てられていれば命を失わずにすんだはずの赤ちゃんが、毎年130万人もいるのです」とうったえ、母乳育児(母乳で赤ちゃんを育てること)を広めようと国中に呼びかけました。

 しかし、最近では、HIV/エイズの広がりが母乳育児にも影をおとしています。というのも、HIV(エイズを引き起こすウイルス)は母乳からも赤ちゃんにうつってしまうからです。HIVに感染してしまっているお母さんは、赤ちゃんに母乳を与えるべきかどうか迷います。そういう場合、日本なら、迷わず粉ミルクで赤ちゃんを育てるでしょう。しかし、開発途上国では、母乳から赤ちゃんがHIVに感染してしまう確率よりも、母乳以外で赤ちゃんを育てて、赤ちゃんがげりや感染症で命を失う確率のほうが6倍も高いのです。

 ユニセフ・エチオピア事務所代表のビヨン・ユングイストさんは、「まず、女性たちが、HIVの検査を受け、相談できることが大事です。そして、どうするのが一番よいかを決めるためのあらゆる情報を得られるようにすることです」と話します。

 もし、HIVに感染しているお母さんが、母乳で赤ちゃんを育てることを選んだとしたら、赤ちゃんをHIVの感染から少しでも守るためにあらゆることをする必要があります。

「とくに、母乳育児をしているお母さんが、真っ先に抗レトロウイルス剤などのエイズ薬を使えるようにしなければなりません」と、ユングイストさんはうったえました。