世界のニュース(2)

バングラデシュ
〜洪水の被害を受けた子どもたち〜

2004年、福井や新潟をはじめ、日本各地で大規模な洪水が起こりました。テレビや新聞で深刻な被害のようすが伝えられ、みなさんもこのことを知っている人が多いのではないでしょうか。世界でも洪水の被害で苦しんでいる人びとがいます。

バングラデシュ北東にあるスナムガンジ地区で水没する家々

6月から9月にかけてインド周辺に雨季をもたらす、モンスーン(季節風)。この季節になると、南アジアでは、毎日のように、集中した雨がふります。しかし、今年の雨は、少しようすが違っていました。雨があまりに多すぎて、バングラデシュなどの国では、まれにみる大洪水が起こってしまっているのです。

南アジアでもっとも大きな川、ガンジス川やブラマプトラ川があふれだし、あふれだした水はバングラデシュを通って、南のベンガル湾に流れ出します。バングラデシュだけでなく、インドやネパールもまた、洪水の被害を受けています。この洪水によって家は破壊され、農作物にも被害がおよびました。

世界の中で最も貧しい国のひとつと言われているバングラデシュ。子どもを含むおよそ400人が洪水でおぼれるなどして亡くなり、2500万人が避難しています。何百万もの家族の安全な飲み水、食料、そして避難所が洪水によってうばわれました。飲み水や食料が不足して、のどがかわき、栄養不良の子どもたちは、特に病気や下痢になりやすい状況にあります。

洪水でメチャメチャになった村で、子どもたちは自分たちの生活を立て直そうとしています。
ユニセフはこのような子どもたちを救うため、迅速な支援をよびかけ、医療や教育、衛生がなおざりにされないよう努力しています。

きれいな水を求めて集まる子どもたち

「バングラデシュの子どもたちやその家族の受けた衝撃は、これから何カ月も、その生活や健康をおびやかしつづけるでしょう。すくなくとも洪水の被害を受けた人のなかに栄養不良の子どもが100万人います。子どもたちの命を救うために、基本的な医療や栄養が手に入るようにしなければなりません。たとえ洪水の水が引いても、汚水から危険な病原菌が飲み水に入り込んできます。それが原因で子どもたちはげりになります。洪水のあとも、子どもたちが命を失う危険があるのです」とユニセフ・バングラデシュ事務所代表のモーテン・ギヤシングさんはうったえました。

ユニセフは今日までに、経口補水塩、点滴剤や、水を運ぶ容器、診療所を整えたりなどの支援活動を進めてきました。ユニセフのスタッフは、被害を受けた64の地域で活動をしています。

モーテンさんは言いました。「私たちは、今すぐに、少しでも多くの支援を必要としています。バングラデシュの子どもたちが命を失う原因の3分の2は栄養不良です。(洪水によって)栄養不良の子どもがさらに増えると、多くの子どもたちが命を失うことになるのです」