世界の子ども物語
自分たちの家や国を追われた子どもたちのお話

難民とは、紛争や災害によって自分の国にいられなくなった人たちが、助けを求めて他の国に逃げていった人たちのことです。また住み慣れた家をおわれたものの、自分たちの国で生活している人たちを避難民と呼びます。家も、財産も家族もすべてを失って、明日どうなるかもわからない毎日を過ごしている人びとは世界で約2,000万人もいると言われています。自分たちの家や国を追われた、ふたりの子どもたちのお話を紹介します。

≪アフガニスタン難民のカン君のお話≫

 アフガニスタンとの国境に近いパキスタンにある難民キャンプ。ここには干ばつと内紛が続くアフガニスタンから逃げ出してきた、約5万5千人のアフガン難民が粗末な小屋で生活しています。12歳になるカン君もお母さんと3人のきょうだいと過ごしていますが、昼間はゴミの中から紙やプラスチックを拾いお金をかせがなくてはいけないので、学校に行くことはできません。衛生状態が悪いため、怖い伝染病が子どもたちの間に広がっています。カン君も夜中になると熱が出るので、これからどうなるのだろうととても不安な毎日を過ごしています。

≪アンゴラのファニータちゃんのお話≫

 アンゴラは30年間内戦が続いており、住んでいた家を追われ国内避難民になった人たちが約400万人いるといわれています。ファニータちゃん(17歳)は6歳のときに父を地雷で失い、武装した兵士から身を守るために、住まいをあちこに変えて、かくれるように生活してきました。7歳になったときに突然やってきた兵士に母を殺され、ファニータちゃんは兵士に連れ去られ、日頃暴力をうけながら生きてきました。子どもを出産しましたが、父親が誰かはわかっていません。現在は避難民キャンプで赤ちゃんと2人で暮らしています。

 こうした18歳以下の難民と国内避難民をあわせると約2,500万人いると言われています。その多くが逃げているときに親とはぐれてしまったり、目の前で人が殺されるのを見たりと心に傷を負っている子どもたちです。やっとの思いで難民キャンプまで逃げてきても、十分な水や食べ物がなく、家も粗末で安全ではなかったり、不衛生な中で病気になったり、学校にいかれなかったりつらい状況のなかで生活しなければなりません。

ユニセフではこうした難民・避難民の子どもたちに対して、医薬品、栄養補助食、住むためのテント、毛布、衣類などの支援を実施しています。また心に傷を負った子どもたちの心理的ケアをする施設や、学校、保健施設の建設も進め、子どもたちが平和的な生活を送れるように努力しています。

早く平和が訪れてカン君やファニータちゃんが、自分の家に帰れるようになるといいね。みんなはどんなことを感じたかな?思ったことを聞かせてね。