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世界のニュース(1)

スマトラ沖地震・津波
被害を受けた地域の子どもたちは今…

 昨年末にスマトラ沖で起こった大地震、そしてその後各地を襲った大津波。みなさんも、その被害のようすなどをニュースなどで見て、よく知っていることと思います。

 被害を受けた国は、インドネシア、タイ、スリランカ、ミャンマー、インド、モルディブなどアジアの国々から、ソマリアなどアフリカの国にまで広がっています。

 命をうしなった人の数(そのうち、3人にひとり、もしかすると2人にひとりは子どもだったといわれています)は、20万人にもなるかもしれないといわれるこの災害。家や家族を失ったり、今も避難していたり、支援を必要としている人は500万人にものぼります。

 そんな中、各地の子どもたちはどのようなようすでいるのでしょう。各国の報告の中からいくつかお伝えします。

モルディブのモハメッドくん

 10歳のモハメッド・サミーくんは、津波がおそって、自分の住んでいた家が、なすすべもなく流されていくのを見ました。そして、自分も波に流されそうになるのを必死であがいて、あがいて、こらえて…。最後には手首を骨折してしまいましたが、何とか生きのびることができまいた。

「ぼくは、母さんと一緒にいたんだ。波が来たとき、母さんの手をつかみそこねてしまったんだ…。波にさらわれながら、父さんと兄さんが流されていくのも見たよ」

 さいわい、お父さんもお兄さんも生きのびることができました。今は、家族みんなで、首都マレの避難所で暮らしています。

 ユニセフからは、お絵かきの道具やおもちゃも届きました。ときどき、カウンセラーの人とも話をします。津波のことを思い出してひどくおそろしくなったりするときもありますが、何とかがまんしています。

 モハメッドくんの家族はすべてをなくしてしまいました。そのあたりに一緒にいる人びとはみんなそうです。避難所には、ベッドや洋服、くすりなどが届いています。

 モルディブでは、1月の末には、新学期がはじまってしまいます。ユニセフは、子どもたちがそのときに学校にきちんと戻れるようにするためにも、まず、子どもたちの心を元気にすることが大事だ、と考えて、いろいろな支援活動をつづけています。

タイの姉妹、ラタナちゃんとラヤナちゃん

 8歳になるラタナちゃんは、お人形の頭に青いかつらをのせて、お姉ちゃんのラヤナちゃんに見せます。このお人形は、二人が避難所でもらったものです。

 二人は今、タイの南、バン・ムアン地区にある津波の被害を受けた人たちの避難所で、小さなひとつのテントの中で暮らしています。住んでいたバン・ナム・ケム村は、漁師さんたちの村でしたが、津波で今はあとかたもなくなってしまいました。

 ラタナちゃんとラヤナちゃんのお母さんは、新しいお人形をもらったので、恐ろしかったこの災害のことを少しわすれる手助けになりそうだといいます。「2人は、もう津波のことを考えたくないんです。今は、学校にもどりたいと言っています」

 ユニセフ・タイ事務所のスバイー・グッドさんは、こう話します。

「ユニセフは、ここで、すべての子どもたちを確実に登録したいと思っています。学校にもどる前に子どもたちの名前を確認し、どの子どもも通学の途中などで、さらわれたりしないようにしないようにしなければなりません」

 ユニセフは、子どもたちが学校にもどれるように、教科書や学用品などを届けたり、学校を整えたりする活動を急ピッチですすめ、子どもたちの心を元気にするための活動にも取り組んでいます。それと同時に、子どもたちが混乱のなかで人身売買の犠牲になったりしないように注意の目をこらし、少しでも早く子どもたちを守る仕組みができるように努力しています。

ミャンマーのソエ・サンダール・アイエちゃん

 5歳のソエ・サンダール・アイエちゃんは、おそってくる波から必死で走ってにげたことを思い出します。

「もう、なみ、見たくない!」

 悲しそうに、うつろな目で、ソエちゃんは言います。ソエちゃんは、お母さんが必死の思いでソエちゃんをつかんでくれていたおかげで、生きのびることができました。

 ミャンマーでは、沿岸ぞいの地域がひどい被害を受けました。その地域に暮らしていたフラ・タンさんは、津波がおそったとき、仕事に出かけていました。「家にもどったら、もう、それはひどいものでした。どこに何があったのか、自分が住んでいた場所さえわかりませんでした。食べ物も服もなくて、仕事もなくなってしまって…、もう何もかもが流されてしまったのです」

 アイエ・ミンさんは、家と幼い甥(おい)をなくしました。「弟の子どもは、岸の近くに立ってたんです。引き波にさらわれて、また、もどってきた波で、森の中までつれていかれました。遺体は森の中で見つかりました」

 ユニセフは、ミャンマーでも懸命の支援活動をつづけています。避難している人びとにさまざまな支援物資をとどけたり、きれいな飲み水が手に入るように水道施設をなおしたりしています。でも、子どもたちの病気と同じように心配しているのが子どもたちの心のことです。ユニセフは、ほかの国でもおこなわれているように、ソエちゃんたちのような心の傷を負った子どもたちが早く学校にもどり、心の元気をもう一度とりもどすための活動をすすめています。

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