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世界のニュース(1)

スマトラだけでなくダルフールやコンゴでも…
“忘れられた”緊急事態の中でつづくユニセフの活動

ダルフールでは、学校に通う子どもの数が2倍に
コンゴでは、武装勢力に連れさられた2300人の子どもが解放

ここ3カ月以上、スマトラ沖地震・津波の被害のようすや支援活動のことが毎日のようにテレビや新聞などで伝えられています。そのおかげでたくさんの募金のご協力もあつまっています。まだまだ元のような生活にもどれるまでに時間がかかりますが、ユニセフも、子どもたちが体や心も元気になれるよう、腰をすえて、各地で本格的な復興のための活動をすすめています。

実は、これにかくれてしまったかのようですが、世界では、ほかにも緊急事態がつづいているところがたくさんあります。

たとえば、内戦が続いているアフリカ・スーダンのダルフール地域。このウェブマガジンでも何度もお伝えしていますが、多くのアフリカ系の住民がおそわれ、最新の調べによると、チャドに難民となって逃れている人は21万人。ダルフール地域の中で、住む村をおわれて避難しながら暮らしている人はおよそ240万人にものぼっています。そのうちの半分、140万人は18歳になる前の子どもたちです。55万人はまだ5歳にもなっていません。

こんな大変な地域ですが、現地でユニセフの代表をつとめるキース・マッケンジーさんはこう話します。「緊急事態のなかでこそ教育が大切なのだと感じます。勉強するチャンスをというだけでなく、日常の穏やかさをつくりだす場が学校だからなんです。ここで歌ったり、おどったり、学んだり。学校は、“守られている”と感じることのできる環境を子どもたちに届ける場なのです」

今年2月末には、16万7,241人の子どもたちがユニセフの支援する教室に通うようになりました。これは半年前の倍の数です。でも、まだ学校を待っている子どもたちはこの何倍もいます。

アフリカのコンゴ民主共和国。この国でも戦争が続いています。1998年からの戦闘で500万人もの人びとが亡くなったといわれます。

ここでは、いろいろな武装勢力(戦争をしているグループ)が、子どもたちを兵士として連れ去っています。その中には女の子も男の子もいます。戦わされ、殺されそうになったり、殺してしまったりしてきた子どもたち。女の子は、兵士たちの身の回りの世話をさせられたり、おとなの兵士と無理やり結婚させられたり、中には、性的な虐待にあったりしていることもあります。

ユニセフは、子どもの兵士の解放をうったえつづけてきましたが、昨年9月から今までに、イツリ地域で2300人の子ども(うち454人が女の子)を武装勢力から解放することに成功しました。

解放された子どもたちは、ユニセフなどが支援してつくっているセンターに保護され、健康のチェックやケアをうけたり、心を回復させるためのケアを受けたりします。そして、センターでは、村や家族のもとへ帰れるように子どもたちを手助けします。

現地で子どもの保護を担当しているユニセフのジャンジャ・ファッスさんはこう話します。「センターに来る子どもたちはみな違います。すぐに手当てが必要なほどひどい怪我を負っている子どももいますし、心の傷が深すぎる子どももいます」

こうして解放される子どもがいる一方、たとえばイツリ地域だけでも武装勢力の中にまだ4,000人の子どもがとらわれていると見られています。

毎日のテレビや新聞ではなかなか伝えられないこうしたできごと。世界にはまだたくさんの緊急事態があることが、どうか忘れられませんように。

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