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世界のニュース(2)

インド:働く子どもたちを学校へ戻そう!

子どもたちの手は、エンピツやクレヨンを持つためにあるものです。それにもかかわらず、彼らはマッチ工場で命とりになる化学物質をあつかったり、また露店で熱い紅茶をお客さんにいれるためにやけどをおったりしています。学校へ行くかわりに、大切な年月を安い賃金のためについやしている子どもたちがいます。

インドの南にあるタミル・ナドゥ州では、もうそんな心配はありません。ユニセフは、国がとりくんでいる児童労働をなくすためのプロジェクトに協力し、子どもらしい生活や将来への希望をとりもどすことができるように、これまで3600人をこえる子どもたちを労働から解放して、学校へ戻すことができました。

10歳のカヴィタちゃん。学校へ戻る前、マッチ工場で働いていました。
10歳のカヴィタちゃんがマッチ工場で働き始めたのは、家族をささえていたお父さんが亡くなった頃です。「私がどんなに働いても1日30ルピーにしかならないってことは、私も知っていたわ。だけど、それ以外にどうすればいいのかがわからなかったの。お金をもらえさえすればよかった…」

工場でのカヴィタちゃんは、マッチを作るために、燃えやすい危険な薬品をまぜあわせる作業もさせられました。2、3カ月もすると、カヴィタちゃんの手は黒ずんでしまいました。

この児童労働をなくすためのプロジェクト(NCLP)は、工場から子どもたちを連れ出し、学校とのかけ橋の役割をはたしました。彼女は今、労働者ではなく、生徒なのです。彼女の手はまだ黒ずんだままですが、先生はタミルちゃんのことをこう話します。「文字を書くことがとくにじょうずで、とても頭がいい子よ」

カヴィタちゃんはみるみるうちにうしなわれていた時間をとりもどしました。学校の普通の授業に参加するために、彼女は8年生の勉強にとりかかって、すぐにクラスを終了してしまいました。

6歳のシャビュラくんとお母さん。露店の喫茶で働くことをやめてから、シャビュラくんは5年間の勉強をたった3年で習い終えました。

このプロジェクトは、不幸な状況によって、大切な時代をうばわれてしまった子どもたちを救おうとしています。6歳のシャビュラくんもそのひとりです。シャビュラくんはお父さんが病気になったあと、露店の手伝いとして働き始めました。10時間働いても1日10ルピー(およそ25円/2005年6月現在)にしかなりません。お茶が彼の手に飛んで、熱い思いをすることもたびたびでした。

NCLPが支援する学校に通うようになってから、体や心の傷からたちなおりつつあります。やけどのあとは、目に見える傷でしかないのです。シャビュラくんは5年間かかる勉強を3年でやりとげました。先生はこうほめます。「シャビュラはとても覚えるのが早いから、来年は普通の学校の6年生に編入できるよ」

彼の過去の思い出にふれると、シャビュラくんの顔から笑顔がきえます。「ぼくは前の生活に戻ろうとなんて思わない。だって、今は、露店のオーナーよりも、うまく文字を読むことができるし、書くこともできるんだからね」。シャビュラ君がそういうと、生徒たちも一緒になって笑い出しました。

NCLPプロジェクトの支援を受ける学校の子どもたち。
子どもたちの時間をとりもどすために、学校は多くの活動をカリキュラムにくみこまなくてはなりません。黒板で教えるのがむずかしいことだってあります。先生はこう話します。「私たちは子どもたちに、歌、ダンス、演劇に参加させるようにしています。こうしたことを通じて、トラウマをとりのぞき、自信をとりもどすことができるのです」

ほとんどの子どもたちは、家に十分なお金がないという理由で、学校に通うかわりに、仕事をさせられていました。しかし、一家の収入をささえるために、子どもたちが危険できつい仕事をさせられることがあります。

教育の大切さをおおくの親たちに話すことで、理解してもらえるようになってきました。シャビュラくんのお母さんは、もう少しはやく学校に戻せたらよかったのにと話しました。

すべての親が、教育の大切さをすぐに理解してくれるとはかぎりません。カヴィタちゃんの場合、学校に通うことをかんたんにはゆるしてもらえませんでした。お母さんは、わかってくれてはいますが、工場へいくよりも、学校へ通うことが本当にいいことなのかを知るために、カヴィタちゃんのようすを見ています。「わたしはいっしょうけんめい勉強してお医者さんになるの・・・。私には勉強が大切なんだって証明してみせるわ」と目になみだをにじませながら話しました。

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