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ユニセフ子どもネットウェブマガジン
No.24
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世界のニュース(2)

「チャイルド・フレンドリー・シティ」のお話
”A city friendly to children is friendly to all”
〜子どもたちに優しい都市はみんなに優しい都市〜

みなさんは今住んでいるまちが好きですか? 自分たちが住んでいるところに、こんなものやあんなものがあったらいいなと思うことはありますか?

子どもたちにとって住みやすい環境にしていくことは、生活の中で子どもたちの権利をきづいていくことでもありますよね。おとなだけでなく子どもにも住みやすい環境に変えていくことは、私たちの持っている権利が大事にされることにつながるのです。

子どもの権利が大事にされる都市づくりをすすめるために、ユニセフはどのようなことをおこなっているでしょう。

ユニセフは、“チャイルド・フレンドリー・シティ=子どもにやさしい都市”というプログラムをおこなっています。“チャイルド・フレンドリー・シティ”とは、子どもの権利の条件をみたす都市あるいは地域のことです。そこでは、子どもの声やニーズが優先され大事にされます。実際に、公共のものをつくるときや都市をよくするときには、子どもたちの代表者も加わって話し合いがおこなわれます。子どもたちの声は、チャイルド・フレンドリー・シティをつくるにあたってなくてはならないもので、そうしてできた街は子どもだけではなく、すべての人にとってよい街だとされているのです。

“チャイルド・フレンドリー・シティ”は、1996年にイスタンブールで開かれた国連の人間居住会議ハビタット2の宣言にもとづいてはじめられたプログラムです。子どもの健康や権利・幸せは、都市づくりのよい指標であるとして始まりました。「子どもの権利条約」を背景に、子どもに“市民としての権利”を認めているところが特徴です。子どもが都市計画に参加することで生活の質が高まり、また都市の統制も形成されることになるだろうと考えられています。その都市が民主的で住みやすいかどうかは、まず子どもが幸せにくらせているかどうかで判断されるのです。

では、どのように“チャイルド・フレンドリー・シティ”はつくられていくのでしょうか? そこでは、9つの原則にもとづいてつくられています。(1)子どもの参画(さんかく) (2)子どもにやさしい法的枠組み (3)都市全体に子どもの権利を保障する対策を行う (4)子どもの権利の部門または調整機構 (5)子どもへの影響評価 (6)子どもに関する予算 (7)子どもの報告書の定期的発行 (8)子どもの権利の広報 (9)子どものための独自の活動 が柱となって政策がすすめらるのです。

2003年7月30日には、中央アメリカにあるエルサルバドルの首都サンサルバドルで、チャイルド・フレンドリー・シティ宣言が市長と子どもたちの代表の間で交わされました。エルサルバトルの一番重要な都市であるサンサルバトルの発展に、「子どもの権利」が取り組まれることが約束されたのです。もちろん、ユニセフも承認役としてサインをしました。

2004年11月25日〜12月8日、イランで進められている“チャイルド・フレンドリー・シティ”プログラムでは、地元の協力をえるために、10歳から11歳までの110人とイランの子どもたちと建築家のワークショップが行われました。そこで、「家」「近隣」「都市」「学校」「遊び場」など各テーマごとに話し合いがおこなわれ、都市のデザインや計画が一つ一つ進められていきました。

つくられるものは地域ごとにさまざまですが、遊び場や学校・コミュニティサービスなどいろいろなものが子どもたちの声をもとにつくられています。

エルサルバドルやイラン以外にもカナダやニュージーランドなどで実施されていますが、残念ながら日本ではまだありません。こうした都市づくりが世界にもますます増えて、子どもにもおとなにも住みやすい都市が広がっていくといいですね。

子どもたちでチャイルドフレンドリーシティに何が必要か話し合っているようす
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