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ユニセフ子どもネットウェブマガジン
No.27
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世界の子ども物語

危険な状況で働かされるインドの子どもたち

 世界には何百万人もの働いている子どもたちがいます。子どもは安いお金で、文句も言わないで働くので、おとながやっている仕事にも使われ、その多くは危険な仕事をさせられています。児童労働は教育を受ける機会をうばい、健康に影響を引き起こし、子どもの権利をおかします。このような状況に対してユニセフは子どもたちを仕事から解放し、学校に行けるようにする活動を支援しています。


 インドでの児童労働者を学校に行かせるプロジェクトの話です。インドでは国民児童労働プロジェクトがユニセフのサポートのもと行われていて、このプロジェクトによって3600人の子どもたちが仕事をやめ、学校へ行くことができるようになりました。

(C) UNICEF India/2005
児童労働をしていた子どものための学校で勉強するカビサさんたち。

 カビサさんもそのような子どものひとりです。カビサさんはお父さんが亡くなった後、一家のかせぎ手としてマッチ工場で働きはじめました。「私が知っていたのは、1日に80円ほどのお金がもらえるということだけで、何をしているのかまったくわかりませんでした。」と、カビサさんは言います。工場では、マッチを作るためのとても燃えやすい液体を混ぜていました。しばらく働いているうちに、手はその混ぜた液に触れて黒くなり始めました。国民児童労働プロジェクトは彼女を工場からやめさせて、普通の学校に行くための準備をする学校に入学させました。今も彼女の黒い手はそのままですが、先生は、「カビサさんは、きれいな字を書くし、そしてとても優秀だ。」と、語っています。彼女は失った時間を急速に取り戻しつつあります。普通の学校に通うことができるようになるまで、この学校で勉強します。

(C) UNICEF India/2005
シャビユラー君とお母さん。

 シャビユラー君もこの学校に通っています。お父さんが重い病気になった後、道路わきの喫茶店の手伝いをしていました。10時間働いてわずか20円ほどです。紅茶を手にこぼし、やけどになることも度々ありました。学校に通うようになってから、体と心の傷は治りつつあります。シャビユラー君は5年かかる勉強を3年間で修了し、来年から普通の学校に通う予定です。昔のことを聞くと彼から笑みが消えますが、「僕はあそこに戻りたくはない、でも、今はあの喫茶店のオーナーよりも読み書きができるよ。」と、すぐに笑顔になりました。



(C) UNICEF India/2005
学校で歌とダンスを楽しむ生徒たち。
 子どもたちのために学校には特別のカリキュラムがあります。歌やダンス、ドラマに参加することで、彼らの精神的な傷をいやし、自信を持たせるようにしています。また、家庭の貧しさから働かなければならない子どもが多いので、家族の収入を補うことで、子どもに危険な労働をさせることを防ぐような活動もおこなっています。

 今までのいろいろな活動により、多くの親が教育の価値を理解し始めています。シャビユラー君のお母さんも子どもを早く学校に行かせなかったことを後悔しています。プロジェクトでは、親が収入を失うことを恐れないように、子どもが仕事をやめた家庭に、ひと月200円程度の支援をしています。

 しかし、すべての親が納得するわけではありません。カビサさんの場合も工場をやめさせて、学校に通わせるように親を説得することは大変難しいことでした。「私は一生懸命勉強して、お医者さんになるの。そうならなければならないの。」と、彼女は目に涙をためながら話しました。

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