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コンゴ民主共和国—再び子ども兵士にされてしまう子どもたち

コンゴ民主共和国の歴史

• 1960年 ベルギーより独立、コンゴ動乱　 1977年 シャバ紛争 1996年 反政府勢力の高まり 1998年 コンゴ民主共和国紛争勃発 1999年 政府軍と反政府勢力の間で停戦協定 2003年 暫定政権成立 2006年 ジョゼフ・カビラ大統領就任 2007年 知事選挙の結果をめぐって騒乱発生

コンゴ民主共和国では長い間、政府軍と反政府武装組織の間で紛争が続いています。

紛争が起こった場合、その被害を一番受けることになるのはいつも、社会的に弱い立場に置かれている女性や子ども、老人なのです。特に、子どもたちは武装組織により無理やり連れ去られ、兵士として戦うことを強制されるという問題が深刻になっています。一度、武装組織に連れ去られてしまうと、その後、家族や友だちの待つ生まれ故郷に戻ることは非常に難しいのですが、運良く脱走できた子どもや、解放された子どもたちもいます。

ユニセフでは、こうした苦しい思いをした子どもたちのその後の生活が、安全な生活を送ることができるよう支援を続けてきました。しかし、せっかく新しい生活をスタートさせた子どもたちが、武装組織によって再び連れ去られてしまうという事件が発生し、大きな問題となっています。

◆2007年9月　（キブ州北部)

© UNICEF DR Congo/2007/ Harneis

キブ州北部ゴマ地区のはずれにあるムグンガキャンプの子どもたち。紛争中、子どもたちは軍による強制的な徴兵の対象となりやすい。

コンゴ民主共和国では、2006年11月から、30万〜35万もの人びとが避難民となっています。過去数週間で状況は一層悪くなり、約6万の人びとが新たに避難民となりました。

このような不安定な状況のなかでは、子どもたちは特に危険にさらされます。「子どもたちが両親から離れることは、常に子どもたちを危険にさらし、はしかやコレラの流行、子どもたちが武装組織にさらわれたりといった問題が難民キャンプ内で起こりやすくなるのです」と、ユニセフのスタッフ、ジュリエン・ハーネスさんは話します。

子どもたちは、ある日突然、無理やり武装組織によって連れ去られ、荷物運びや兵士として利用されます。また、女の子の場合には性的な嫌がらせを受けます。もちろんそこにもまた、暴力や戦闘によって命をおとすといった大きな危険が存在するのです。

◆再徴兵の標的となる

※徴兵（ちょうへい）とは、政府軍や武装組織が、兵士として人をやとうことを言います。

「新たに15歳以上の男子54人が強制的に徴兵されたという報告があります。私たちは、過去2、3週間のうちに数百人の子どもたちが軍に徴兵され、これまでの合計では1000人を超えていると思われます」とハーネスさんは話しました。

これまでに8000人以上の元子どもの兵士たちが軍から引き離され、そのうちの多くは、彼らの生まれ故郷である村々へと帰りました。しかし、元子どもの兵士は再び徴兵される事も多いのです。「いつかは、彼らも武装組織から解放されることになります。しかしその後、彼らは故郷の村の中で仲間はずれになってしまうという問題にぶつかることがあります。また、このような子どもたちは十分な教育を受けていないため、通常の社会生活をしていくことが難しいのです」と、ハーネスさんは続けます。

ユニセフではこれらの問題に取り組むために、すでに故郷へ帰ることができた5500人の元子どもの兵士のためにプログラムを実施しています。残念ながら最近の激しい戦闘によって、プログラムを実行するための活動状況は、キブ州北部の多くの地区でとても不安定になっています。

© UNICEF DR Congo/2007/ Harneis

危機的な状況下に置かれた子どもたちにとって、はしかは最大の死亡原因となりえます。予防接種を受けていないたくさんの子どもたちで混雑したキャンプは、急性伝染病が流行する可能性が非常に高いのです。

ユニセフとそのパートナーとなる団体はまた、十分な量のワクチン、栄養補助剤、水、衛生設備、新たに避難民となり現在キャンプで生活する人びとに対する避難所の提供に大きな成果を上げています。残念ながら現在では、一度武装組織から解放されたり、脱出できた子どもたちのうち、どれくらいが再び徴兵されてしまうのかを明らかにすることは不可能です。

「この2、3週間で数百人にのぼる子どもたちが新たに徴兵されてしまいました。どれくらいの子どもたちが再徴兵されてしまったのでしょうか？私たちはこのような問題が起きている地域に侵入するのは難しいので、現時点ではこうした徴兵の正確な原因をつきとめることが出来ません。約5,500人の子どもたちが前に武装組織にいたのですが、その全ての子どもたちに再徴兵の危険があるのです」と、ハーネスさんは話します。

ハーネスさんはまた、「キブ北部州にとって最も重要なことは、平和と安全をとりもどすことなのです。武装組織が存在する限り、病気や子どもの徴兵の危険があるのです。政治的な解決策が必要です。今ここで起きている問題のために、平和的で外交的な解決策を探さなければならないのです」と話しています。

コンゴ民主共和国に住む子どもたちが安全で楽しい生活を送るためには、一体どんなことが必要なのでしょうか？みなさんも考えてみてください。