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スタディツアー視察報告

カンボジア  スタディツアー報告  (2009年7月19日〜26日実施)

7. 水と衛生

カンボジア全体で安全な水が手に入る人たちは65%です。その内訳は都市部で80%、農村部で61%で、都市部と農村部には格差がみられます。また、ユニセフでは、井戸などの水源と一緒に、トイレをつくる活動を行っています。トイレの汚水が飲み水に入り、それが原因で感染する赤痢やコレラなどの病気を防ぐためです。

今回のツアーでは、チェウ・ティール村で行っている送水管システムとトイレを作るための村の会議、学校における衛生教育の取り組みを視察しました。

地域送水システム(community water pipe system)とトイレ

井戸をつくるために地面を掘ったところ、高さ2メートルほど水が噴き出し、その水圧を利用して、送水管をつくった村を視察しました。

送水管は2009年3月から使用され、村で委員会をつくって管理しています。パイプの水漏れがないか確認し、村人が水の無駄遣いをしないよう指導をしています。

村の人たちは初期費用として月1万リエル(約240円)負担し、維持費として月500リエル(約12円)支払っています。村では薪売りなどによる現金収入があるため、維持費は特に負担にはなっていません。噴水場所から遠い地域では、水圧が低くなって送水管が利用できないので、以前からある井戸を使用しています。

送水管システム。
蛇口をひねると水がでる。
トイレについて説明を受ける村の人たち

現在、村ではトイレを作る活動を始めています。カンボジア全体でのトイレなど適切な衛生施設を利用している人は28%と低いものです。ほとんどの人は、穴を掘った場所や、森や川などの野外で用を足しています。しかし、飲み水の汚染の原因になるので、ユニセフのスタッフがトイレをつくることが大切な理由やトイレの種類、作り方について話をしています。

学校と地域による衛生教育の取り組み(スヴァイコール小学校)

見学したスヴァイコール小学校では、WASHという衛生教育を行っています。WASHとは、Water, Sanitation, Hygieneの頭文字をとった呼び名で、学校において衛生の取り組みをすすめる活動のことです。

学校にはポンプ式の井戸と、2つのろ過装置があり、また、手洗い場のついたトイレもあります。

2009年4月から取り組みを始め、子どもたちが中心となって地域の人と一緒に活動しています。保健センターのスタッフが、学校を訪れて、手洗いやトイレを使うことの大切さなどを、生活科の一つとして教えています。衛生委員の子どもたちが、他の生徒に「ご飯の前に手をあらいましょう」「飲み水は沸かした水を使いましょう」などの呼びかけもしています。また、家で、子どもたちは両親にトイレを作るようにたのむなど、家庭における衛生改善の一助にもなっています。

ユニセフの支援でできた井戸。
2台のろ過器。井戸で汲んだ水は必ず、
ろ過して使用します。
井戸水を使用するときは、
ろ過して使用することが書かれている。
石鹸もあり、手を洗える。
トイレ。スロープもあり、車椅子でも
使えるようになっている。
トイレの左脇にある手洗い場

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日本ユニセフ協会