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日本:岩手県で乳児健診が再開!

2011年4月20日


© 日本ユニセフ協会
松野まり子さんと娘の結衣ちゃん(生後5ヶ月)

岩手県陸前高田市で、震災後、はじめての乳児健診が行われました。朝から冷たい雨がふっていましたが、健診会場の公民館には予定時刻より早くお母さんと赤ちゃんが集まりはじめました。健診の対象は、生後4ヶ月と10ヶ月の赤ちゃんです。身長や体重などをはかり、赤ちゃんの成長を調べて、お医者さんがお母さんに育児のアドバイスをします。

健診会場に一番乗りした松野まり子さんは、生後5ヶ月になる結衣ちゃんを抱いて、「いつもなら病院に行くところですが、こういう状況なのでいつ健診を受けさせてあげられるか不安でした。」と話します。お医者さんの大木智春先生が「順調にすくすくと育っていますね。」と伝えると、まり子さんは安心した表情をうかべました。


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検診を受ける和田柊蔵ちゃん(生後4ヶ月と、付き添うお母さんとお姉ちゃん

和田柊蔵ちゃん(4ヶ月)は、お母さんのひろみさんとお姉ちゃんの日陽ちゃん(10歳)といっしょに健診にきました。ひろみさんは被災直後、電気がなく暗い中で、柊蔵ちゃんの表情を確認することができず、不安になったと言います。また、夜泣きもつづいて心配でしたが、電気がつくようになると、柊蔵ちゃんが落ち着きを取りもどして眠れるようになったそうです。お姉ちゃんの日陽ちゃんは、健診の終わった柊蔵ちゃんを抱っこしてニコニコ顔です。弟のことが心配だったそうです。お母さんも「知っている先生、保健師さんにみていただいて、今日はほっとしました。」と笑顔でした。


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「何でも気になったら相談してください。悩みをひとりで抱えこまないで。」とお母さんたちにやさしく話しかける大木先生は、陸前高田市でたった一人の小児科のお医者さんです。今回の震災で、陸前高田市にもう一人いた小児科のお医者さんと7名いた保健師さんのうち5名は亡くなられました。大木先生は、「健診を再開できて、ほっとしています。次は来月半ばの予防接種です。」と話します。

今回の乳児健診に向けて、日本ユニセフ協会は、陸前高田市民生部健康推進課の方々と調整をすすめ、身長計、体重計、診察台、メジャーなどの健診道具をそろえるために支援しました。岩手県で支援活動を続けるユニセフ・ベトナム事務所から派遣されている安田直史さんは、「お母さんや赤ちゃんが安心できる環境をととのえたい。今日の健診はその第一歩です。」と話します。

財団法人 日本ユニセフ協会