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チャド:子どもの命を栄養不良から救った母親の強さと深い愛情

2013年1月18日


© UNICEF Chad/2012/Asselin
野草を使ってしきものやぼうし、かごなどを手作りするイッサさんと、その姿を嬉しそうにながめるアドウン君。

昨年チャドをおそった干ばつは、食糧不足、食料の値上がりを引き起こし、何百万人もの子どもたちが栄養不良で苦しめられました。
アドウン君(2歳)もそうした子どもの一人でした。お母さんのイッサさんは、そのときの様子を次のように語りました。「アドウンは、生まれた時は、とても大きな赤ちゃんだったんです。けれども、成長して離乳食の時期になっても、食べさせるものが何もありませんでした。そのうち下痢をするようになって、全身がやせ細り、どんどんと弱っていったんです。」
その後、ユニセフのスタッフが、子どもの栄養状態を調べに村を訪れ、アドウン君は、栄養治療センターで治療を受けることになりました。すぐに口にできる栄養治療食を与えられ、ユニセフの研修を受けた保健員が2ヵ月間、アドウン君の様子を見守り続けました。イッサさんは、蚊帳と石けんを受け取り、アドウン君が再び栄養不良にならないようにするための簡単な方法も教わりました。
数ヵ月前までは歩けないほど弱っていたアドウン君でしたが、今は、年上の子どもたちと元気一杯に走ったり遊んだりできるようになりました。
作物の収穫高が減る、飢えに苦しむ時期は毎年訪れ、栄養不良になる心配は、決してなくなりません。「子どもたちに十分食べさせること。これが、私ができるすべてです。子どもたちを学校に通わせてあげたいけれども、今はその余裕がありません」イッサさんも、とても厳しい状況であることを訴えています。イッサさんは市場で売るための野草を使ったかご作りをするなど、次の食料とのたたかいの日々に向けて準備を進めています。

公益財団法人 日本ユニセフ協会