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エボラ出血熱:海外インターン生からの報告です!

【2014年8月19日】

西アフリカで大流行している「エボラ出血熱」。8月初旬までユニセフのリベリア事務所でインターンをしていた原さんが、現地のようすを教えてくれました。


最近ニュースでも取り上げられている「エボラ出血熱」という病気を知っていますか?現在西アフリカでこの病気が大発生しており、これまでに子どもや女性を含めた1200名以上がこの病気によって亡くなっています。中でもリベリア・シエラレオネ・ギニアの三カ国での被害が大きいのですが、最近ではナイジェリアでもエボラ患者及び死者が報告されており、更なる拡大が懸念されています。

現在のエボラ大流行は2013年12月にギニアでエボラが確認されたことが始まりとされています。これまでもウガンダ等で部分的なエボラの流行は報告されていましたが、現在のように複数の国に被害が及び、各国が「国家の緊急事態」を宣言したり、WHO(世界保健機構)が8月に「国際的に懸念される公衆の保健上の緊急事態(PHEIC: Public Health Emergency of. International Concern)」を宣言する規模には至っていません。つまり、今回の西アフリカにおけるエボラ大流行は人類史上最大かつ最悪と言えるのです。

このページでは、被害が最も大きくなりつつあるリベリアの現地の様子についてお知らせしたいと思います。

エボラ出血熱とは?

エボラウイルスによる感染症です。エボラウイルスに感染すると、突然の発熱、頭痛、倦怠感、筋肉痛、咽頭痛等の症状を呈し、次いで、嘔吐、下痢、胸部痛、出血(吐血、下血)等の症状が現れます。現在、エボラ出血熱に対するワクチンや特異的な治療法はないため、患者の症状に応じた治療(対症療法)を行うことになります。エボラウイルスに感染し、症状が出ている患者の体液等(血液、分泌物、吐物・排泄物)や患者の体液等に汚染された物質(注射針など)に十分な防護なしに触れた際、ウイルスが傷口や粘膜から侵入することで感染します。一般的に、症状のない患者からは感染しません。空気感染もしません(出典:厚労省)。

【写真① 首都モンロビアの街中の様子】
【写真② 首都モンロビアの街中の様子:リベリアはゴミの処理がちゃんとされておらず不衛生な場所も多い】

私が着任した7月初旬からのたった1か月の間でさえ、エボラによってリベリア人の生活は随分と変わりました。握手、ハグやキスという従来の挨拶方法は感染を恐れてほぼ無くなり、地元の人々の不安や緊張感は日に日に増大し、市場など人が多く集まる場所への出入りも随分と制限されました。リベリア軍や警察が感染地帯を封鎖し、エボラ患者が近隣諸国に逃れないように見張っています。エボラは空気感染をしないので、感染者又は発症者との接触を避ければ必ず防げる病気なのですが、未だにエボラという病気の存在を信じなかったり、傍で病人を世話したいという家族が医療スタッフによる治療を拒むなど、徹底した感染防止策を進めづらい社会的な問題も多く存在します。

その一方で、元々「手を洗う」という習慣がなかったリベリアにおいて、手洗いが習慣化したことは感染を予防する上での大きな変化と言えるでしょう。今や政府系建物だけではなく、多くの一般世帯がバケツと塩素を購入し、自分たちで希釈液を作り、外出から戻ったら必ずその塩素水で手を洗うことが徹底され始めています。加えて、今までは80〜90%と言われていたエボラによる致死率は、リベリアにおいては60%以下に低下しています。これは、早期に症状を報告し適切な治療を受けることができれば助かる可能性が高いことを示しています。エボラの被害をこれ以上大きくしないためにも、政府やコミュニティは引き続き手洗いなどの地道な予防策を奨励し、正しい情報を人々に提供し、出来る限り早い段階で治療を受けてもらう体制を整えることが重要です。

【写真③ リベリア保健省の出入り口に設置された手洗い用バケツ】

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