爆撃におびえる子どもたち

c UNICEF/UN055720/

シリアの子どもたちは、学校に行くのも命がけです。先生たちも、毎日の仕事が命がけです。シリアでは、2011年に紛争が始まってから4,000校以上の学校が爆撃されています。学校への攻撃は増えていて、2016年には84回も学校への攻撃が発生しました。たくさんの子どもたちが殺され、傷を負っています。次はいつ攻撃があるのかと、子どもたちは常におびえながら暮らしています。

紛争が始まる前のシリアはとても安定した国で、教育レベルも高く、97%の子どもたちが小学校に通えていました(世界子供白書2011より)。ところが、紛争が始まり、たくさんの子どもたちが難民になったり、学校に通えなくなりました。また、とても多くの子どもたちが暴力を目撃したり、爆撃の音におびえるなど、心理的なストレスを抱えています。

c UNICEF/UN037962/Ashawi

洞窟の中につくられた学校で学ぶ子どもたち——— この写真は、6年以上紛争が続いているシリア北西部のイドリブ県で撮影されました。ここには、一年以上前にハマ近郊で起きた戦闘からたくさんの人が逃げてきています。空爆や戦闘が続いており、子どもたちも先生も、この教室にたどり着くために命を危険にさらさなければなりません。

夫婦ともに教師だったアフマッド夫妻も、ハマから逃げてきた国内避難民です。夫妻は洞窟を学校に改造し、この地域に逃げてきた子どもたちに勉強を教えはじめました。今では 120名ほどの子どもたちが通ってくるようになりましたが、教室が狭いので、時間を分けて授業をしています。

授業では英語、アラビア語、算数、理科、歴史、社会、宗教など多様な科目を教えています。

「去年の冬は洪水で洞窟に水が入ってしまい、活動をやめようと思ったのですが、子どもたちが続けて欲しいと強く願うので、しばらくはテントに移って授業をつづけました。ここはあまりに原始的な場所ですが、少なくとも子どもたちを爆撃から守ってくれます」とアフマッドさん。子どもたちも「ここは明かりが十分じゃないけれど、こわい思いをしなくていい」と話します。

アフマッド先生の学校に通う子どもたち

c UNICEF/UN037959/Ashawi

ムハメッドくん(9歳)
10ヶ月前にハマからイドリブに逃げてきました。「ハマでは、飛行機からの爆撃が怖かったよ。学校にも行けなかった。友達にとても会いたい。前の学校に戻れたらいいのにっていつも思う。あそこには机もあったし。ここでは床に座るから、足や背中が痛いんだ。」

c UNICEF/UN037949/Ashawi

サマさん(9歳)
前の学校がとても恋しいです。住んでいた村やおうちも。机や教室はないけれど、先生はとてもやさしいの。戦争が終わって、おうちや学校にもどりたい。戦争が起こる前のすべてが恋しいです。

アイディアがいっぱい!地下のテーマパークができたよ!

子どもたちの希望は洞窟の学校だけではありません。襲撃が続く町では、建築学科の4年生だった大学生率いるボランティアグループが、なんと地下に「子どもの国」を作りました!

2つの地下室をトンネルで繋げて、子どもたちが爆撃におびえることなく遊べる遊園地が完成しました。

トンネルを抜けると・・・

c UNICEF/UN041522/Alshami

そこには「子どもの国」がひろがっています。

c UNICEF/UN041517/Alshami

c UNICEF/UN041523/Alshami

c UNICEF/UN041520/Alshami

c UNICEF/UN041515/Alshami

ミニ観覧車に乗る友達を見上げるマッサちゃん(7歳)は、近くの町から遊びにきています。「爆撃は怖くないよ、お父さんがここは地下だから大丈夫、って言ってた。」

綿あめだって買えます。

c UNICEF/UN041524/Alshami

地下トンネルにも、子どもたちが楽しめる仕掛けがたくさん。遊び場をデザインしたヤッセンさんはこう話します。「私たちは、子どもたちが安全に2つの地下室を行き来できるようにトンネルを掘りました。トンネル内はカラー電球やおもちゃで飾りつけをしてあります。このトンネルを子どもたちが通るときに、襲撃や恐怖を感じさせることなく、楽しく移動できるようにしたかったんです。」

c UNICEF/UN041516/Alshami

トンネルの壁に埋め込まれた車を見る子どもたち。

c UNICEF/UN041513/Alshami

トンネルを通るアブドラジくん(10歳)。紛争でお父さんを亡くしました。「お母さんは友達と外に行っちゃダメって言うんだけど、ここが地下だった言ったら、ここに来ることを許してくれたんだ。」