①出生登録

すべての子どもには「アイデンティティ(身元関係事項)を保持する権利」がある。出生登録をしていない場合、他の子どもと同等のサービスや保護を受けられない可能性がある。


②低体重/発育阻害/消耗症

栄養状態が良好な子どもは、学習成果があがり、おとなになるまで健康に育ち、自分自身に子どもができた場合も、その子によりよい人生のスタートを切らせることができる。子どもが栄養不良かどうかは、年齢相応の体重や身長に成長しているか、身長相応の体重があるかどうかで見分けることができる。


③専門技能者が付き添う出産

毎年およそ300万人の生後1カ月未満の赤ちゃんが亡くなる原因には、妊娠中および分娩時のケアの不足があげられる。母親と新生児の双方にとって無事に出産するためには、専門技能をもった医師、看護師あるいは助産師が出産に付き添うべきである。


④完全母乳育児

生後6カ月までの乳児にとって必要な栄養はすべて母乳でまかなうことができる。完全母乳育児は乳児に理想的な栄養を提供できるばかりではない。完全母乳育児のもとで育った子どもは、下痢や急性呼吸器感染症(肺炎)、その他の疾病により死亡する確率が大幅に低い。また母乳育児は、乳児の免疫システムを支えることも分かっており、おとなになってからも、肥満や糖尿病といった慢性疾患から身体を守るとされている。


⑤予防接種の実施

ジフテリア、百日咳、破傷風、小児結核、ポリオおよびはしかの予防接種は何百万人もの命を救い、数え切れないほどの子どもたちを疾病と障がいから守り、貧困の削減に貢献してきた。これは公衆衛生分野の中でも、最も重要で費用対効果の高い支援のひとつである。


⑥肺炎および下痢に対するケア

肺炎や下痢は子どもの命を奪う主要な疾患である。2012年に死亡した推定660万人の5歳未満児のうち、17%は肺炎、9%は下痢によるものであった。その子どもの多くは、最も貧しい国や地域、そして社会の中でも最も不利な立場にある子どもたちの間に集中していた。ところが、肺炎や下痢の治療費は比較的安価で、治療効果は高いのである。


⑦児童労働

多くの子どもは家計を助けるために危害や搾取を伴わない方法で就労している。しかし、その他の何百万人もの子どもたちが教育の権利や子どもらしく生きる機会を奪われ、身体・精神面で健全に発達する権利を侵害されるような労働条件下で働かされている。


⑧HIVについての包括的な知識

2012年に新たにHIVに感染した人々の約3分の1は、15〜24歳の若者であった。若者には「知る権利」があり、それをもって自らを守ることができなければならない。


⑨初等および中等教育への就学

数十年にわたって数々の約束が表明され、その履行が再確認されてきたのにも関わらず、2011年には初等教育就学年齢にあたる約5,700万人あまりの子どもが就学することができず、質の高い教育を受ける権利を享受できていなかった。世界全体では、中等教育就学年齢で中等学校に在籍している子どもは男子では64%、女子では61%にとどまり、これが後発開発途上国では男子で36%、女子で30%となっている。


⑩若者および成人の識字率

基礎的な読み書き・計算能力は個人の幸福と社会の発展に不可欠なものである。


⑪情報メディアの利用

情報メディアは、子どもや若者たちが、自らの考えを表現し、他者とつながる機会がもてるよう、情報や機会を提供している。しかし、他方では、不適切な内容や好ましくない接触の機会を、子どもたちに提供してしまうこともある。


⑫殺虫剤処理を施した蚊帳の使用

この蚊帳はマラリア予防に重要な役割を担っている。毎晩就寝時にこの蚊帳を使用することで5歳未満の子どもの死亡数を約20%減少させることができる。


⑬暴力的なしつけ

親や、子どもの面倒をみる人たちの多くは、いまだに体罰や精神的な威圧でもって子どもの行いを正そうとするが、これは子どもの人権の侵害である。


⑭改善された飲用水源と衛生設備を利用する人

人々には安全で十分な飲料水と衛生設備を手に入れる権利がある。これらが欠如すると、死や疾病につながる可能性があり、その傾向は特に子どもたちに多く見られる。汚染された飲料水、衛生設備の欠如、不衛生な環境に起因する下痢性疾患によって、毎日、平均1,400人以上の子どもたちが命を失っている。


⑮10代の妊娠

若年期の妊娠は、まだ体が成長しきっていない少女の健康や将来への展望を阻害することがある。学校教育を修了できなかったり、経済的自立が可能な仕事に就けなくなったりして、若年期に出産した女性たちは、自らの子ども共々、貧困から抜け出せなくなる可能性がある。