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公益財団法人日本ユニセフ協会

南スーダン:
北部ユニティー州 ベンティウ
雨で浸水する避難キャンプ、感染症拡大の懸念

【2014年8月1日 ベンティウ(南スーダン)発】

ベロニカ・カイさんは、この数カ月の間、自宅の壁となっていた葦を引き抜き、積み上げています。ベンティウは雨季のピークを迎え、カイさん一家が暮らしていた場所を含め、避難してきた人たちが暮らしている場所は、いたるところで床上浸水が起きています。カイさん一家は、浸水が起こりにくい高い場所に移動することにしました。

雨が降り始め、ベロニカさんと夫は、わずかな家財道具をカバーで覆いました。暮らしていた村では戦闘が勃発、3月後半に一家はベンティウの国連施設内のキャンプに避難してきました。

難民キャンプでは、雨で床上浸水が起こっている。(南スーダン)
© UNICEF Video
難民キャンプでは、雨で床上浸水が起こっている。

避難する人が増加

雨でベンティウの国連施設内にある難民キャンプはぬかるみ、地面は泥水に覆われています。昨年12月の戦闘勃発以降、この施設内には約7,000人が避難をしてきました。今年4月、ベンティウでの戦闘が激化すると、さらに3万8,000人が安全を求めてやってきました。

支援を必要とする人が急増した結果、1日にひとりあたりに供給できる安全な水の量はわずか2リットルにまで減少。健康で衛生的な生活を送るには、最低でも1日にひとりあたり15〜20リットルの水が必要とされています。

森の中を数日かけて移動してくる新たな避難者たちは、ほとんど食糧を持っていません。こうした人たちのうち、特に子どもたちは、ひどく衰弱し、栄養不良に陥っていました。

施設内には、十分な給水設備やトイレがなく、保健施設が限られ、支援を必要とする人の急激な増加に対応できるスタッフも極めて限られていました。森に身を潜めながら避難してきた人たちは、病気や栄養不良を患い、激しく体力を消耗しています。4月時点で、ベンティウの施設内では、毎週、5歳未満の子ども約20人が死亡していたとみられます。経験豊富な人道支援関係者であっても、これほどひどい状況は見たことがないと、現状の厳しさを訴えました。

新たな脅威

衛生環境の悪化から、下痢の症例が増えており、栄養不良の状況も悪化。(南スーダン)
© UNICEF Video
衛生環境の悪化から、下痢の症例が増えており、栄養不良の状況も悪化。

その後、人道支援機関は活動を拡大し、キャンプでの避難生活には大きな改善が見られました。今や、毎日10リットルの清潔な水が入手できます。診療所が増え、井戸も掘られ、トイレも作られました。死亡率も確実に下がっていますが、依然として予防可能な病気で子どもたちが命を落とし続けています。

雨季が到来し、新たな課題が浮かびつつあります。ユニセフ・南スーダン事務所保健栄養専門官のマンデー・カトは「現在、雨季の真っただ中にあり、今後、新たな課題が生じます。衛生環境の悪化から、下痢の症例が増えており、栄養不良の状況も悪化しています」と述べました。

想定される危機を見越しての支援を

移動の準備をするカイさん一家を、コミュニティのボランティアチームが訪れました。このチームは、週に3回やってきて、キャンプの子どもたちの栄養状況を確認し、必要な支援を行っています。

チームは、カイさんの娘のニャゴアナちゃんに下痢の症状があることを確認し、栄養不良と診断しました。経口補水塩2袋をカイさんに渡し、使い方を説明。症状が改善しなければ、すぐに診療所に連れて行くこともアドバイスしました。また、ごみは家から離れたところに置くこと、そしてトイレに行った後に、家族全員がせっけんを使って手洗いするように伝えました。

雨季が進むにつれ、下痢などの感染症が拡大することが懸念されます。予防策を広めるのは、まさに時間との闘いです。

7月下旬に南スーダンを訪れたユニセフ事務局長のアンソニー・レークは「飢饉の恐れ」を指摘。ユニセフとパートナー団体は、最も飢饉の恐れがある家族を支援するために、戦闘地域内の遠隔地に絞って、空輸での支援活動を実施しています。

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