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公益財団法人日本ユニセフ協会

8月9日「世界の先住民の国際デー」
国の成長から取り残される先住民の子どもたち
今年のテーマは「ギャップを埋める」-先住民の権利の実現を

【2014年8月8日 ニューヨーク発】

孫をおんぶする先住民の女性(ボリビア)
© UNICEF/NYHQ2008-1572/Pirozzi
孫をおんぶする先住民の女性(ボリビア)

8月9日の「世界先住民の国際デー」にあたり、ユニセフは、先住民の子どもたちが自分たちの権利を享受できないまま、日々差別に直面していると述べました。

1989年に子どもの権利条約が採択されて以降、子どもたちには多くの進展がみられました。しかし、先住民の子どもたちにはその責務が果たされておらず、恩恵を受けられていません。低所得国であれ、中所得国であれ、高所得国であれ、先住民の子どもたちは、人間開発指標で明らかな格差に直面しています。

発展から取り残される先住民の子どもたち

ユニセフのプログラム事業部で子どもの権利を担当する副部長のスサナ・ソットリは「子どもの権利条約が批准されて25年が経つにもかかわらず、世界中で先住民の子どもたちが取り残されているのは受け入れがたいことです。すべての先住民の子どもたちが直面しているギャップを狭める時です。そうすれば、先住民の子どもたちにも、子どもの権利条約は実現されます」と述べました。

小学校で算数の授業を受ける先住民の女の子(ボリビア)
© UNICEF/NYHQ2008-1573/Pirozzi
小学校で算数の授業を受ける先住民の女の子(ボリビア)

先住民の子どもたちは、先住民でない子どもたちと比べて、学校へ通い、学業を優秀に修められない傾向にあります。こうした背景には、貧困やジェンダー、先住民言語と公用語によるバイリンガル教育、学校と自宅の距離、学校の年間予定など、いくつもの要素が複雑に絡み合っています。

例えば、ペルーでは2011年、先住民の言語を話す人々の7倍、スペイン語を話す人々が読解力において満足な基準に達しています。ナミビア全土では、中等教育の出席率はおよそ55%です。その一方、 サン語を話す子どものわずか7%しか中等教育に在籍せず、高等教育に在籍した人は1%以下でした。調査によって、先住民の女の子は、先住民の男の子や先住民でない女の子と比べ、学校に通えていないこともわかりました。

先住民の子どもたちは、暴力や搾取、虐待にも、明らかな影響を受けます。ラテンアメリカでは、先住民の子どもたちは先住民でない子どもたちと比べ、極度の貧困により働かざるを得ない子どもが多い傾向にあります。

子どもたちの権利の実現に向けて

衛生習慣を身につける授業で手洗いをする先住民の生徒たち(ベトナム)
© UNICEF/NYHQ2009-0225/Estey
衛生習慣を身につける授業で手洗いをする先住民の生徒たち(ベトナム)

ユニセフは、先住民の人たちの権利が促進されることを目指し、先住民言語と公用語による教育や異文化間の教育、文化を尊重した保健サービスや出生登録、子どもの保護に至るまで支援活動を行っています。また、よりよい統計を提供することで、先住民の子どもたちの置かれている状況や問題をより明確にし、国がギャップと不平等を削減する政策や取り組みを立案できるようになると考えています。

今年9月には、国連本部で初となる先住民に関する世界会議が開催されます。この会議は、先住民の子どもたちの権利を政策立案において考慮するために必要な喫緊の変化に焦点を絞る重要な機会となります。

ソットリ副部長は「すべての子どもたちの権利が実現されて、はじめて、子どもの権利条約の約束は果たされたことになります。世界中のすべての子どもたちに到達し、生存と発達、生まれ持った力を最大限に生かすようにできる機会を提供するためには、さらなる取り組みが必要です」と述べました。

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