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公益財団法人日本ユニセフ協会

ウクライナ東部:
戦闘地域の20万人、水の供給なく
国内避難民は11万8,000人、約9割が東部から

【2014年8月8日 キエフ発】

ユニセフは他の国連機関などと協力して避難民の状況調査に参加。子ども向け物資を提供している。(ウクライナ)
© UNICEF Ukraine/2014
ユニセフは他の国連機関などと協力して避難民の状況調査に参加。子ども向け物資を提供している。

東部での戦闘により、不安定な情勢が続くウクライナ。ユニセフ情勢レポート(2014年8月8日付)から、現地の最新の様子とユニセフの支援活動についてお伝えします。

ハイライト

  • 東部では、電力施設、給水システム、インフラ、学校を含む公共の建物の被害が続く
  • ドネツク州とルガンスク州では、117の学校が一部または完全に損壊
  • 人権担当の議会長官と教育科学省、ユニセフは、紛争地域の子どもたちが安全に教育にアクセスするためのフォーラムを共同開催
  • ドネツク州とルハンスク州で、州のケア施設にいた子どもたち1,500人以上が避難、養護施設にはまだ570人が残る
  • ウクライナ国内で避難している人(登録済み)の数は、約11万8,000人に、少なくとも3分の1が子ども
  • 国連による対応計画が最終化され、ウクライナ政府と共催で行う8月14日の支援国会議で発表される予定
  • 戦闘が起きている地域の住宅地には20万人がいるとみられ、水の供給がなく、飲料水が不足しているとの報道

概況

  • ウクライナの孤児連人権ミッション(UNHRM)によると、東部での戦闘でこれまでに少なくとも1,367名が死亡し、4,087名が負傷
  • 7月30日時点のWHO(世界保健機関)の推計では、子ども29名を含む2,589名が負傷
  • ルハンスクでは、25万人が身動きが取れなくなっているとの報道、その多くは年金受給者や子どものいる家庭
  • 医薬品と食糧の不足がより深刻に
  • ルハンスク市内で起きた8月4日の戦闘で、4つの病院と3つのクリニックに被害
  • 東部での戦闘により、国内避難民の数は引き続き増加
  • UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)によると、8月5日時点で国内避難民が約11万8,000人に達し、少なくともその3分の1は子どもが占めている、避難民の87%は東部から、残る13%はクリミアから
  • 8月5日、国連安保理はウクライナ情勢について協議、OCHA(国連人道問題調整事務所所)はWHOの基準を満たす医療品や人道支援物資の提供、輸出、課税、国内避難民の登録に課題が残ると指摘

人道状況

ユニセフが配布した支援物資を受け取った女性。(2014年7月撮影・ウクライナ)
© UNICEF Ukraine/2014
ユニセフが配布した支援物資を受け取った女性。(2014年7月撮影)
  • ユニセフの調査によると、子ども連れで避難している人の最大80%が、自宅に戻りたいと答えたが、治安が不安定のため帰れず
  • 避難している子どもたちは避難先の学校に通うことに、9月の新学期に学校に戻れるよう、準備中
  • 戦闘地域にある学校の多くは、新学期を迎えるために修復が必要、教員も避難しており、戦闘が終わるまで戻ってこない可能性もある、ユニセフとOCHAは戦闘地域での学校の被害状況をまとめている
  • 現時点では、周辺の州を含めて、何校が避難所になっているか正確な数字は把握できず
  • OCHAは戦闘地域の住民20万人に水が供給されていないと推定
  • ルハンスク市では、攻撃が続いていることから水の消毒に必要な塩素が供給できず
    7月26日以降、ルハンスク市の給水システムは質・量とも不十分なまま稼働
  • ドネツク州とルハンスク州には、さまざまな種類の養護施設がある、これらの施設にいたこども1,500人以上は戦闘のない地域へ避難したものの、570人が残り、そのうち、278人は戦闘が続いている地域にいる
  • ドネツク州、ルハンスク州では、HIVの検査を行う州のエイズ研究室が包囲されており、実施困難
  • 医療品の輸送も制限されるか、妨害されていている
  • 一方で、HIV感染者への抗レトロウイルス薬治療には支障なし(年末までの薬の在庫あり)
    しかし、HIVに感染している人が薬物治療を受けることが困難に
    ルハンスク市には抗レトロウイルス薬治療を受けている人が1,000人以上いるが、7月8日以降、入院施設が閉鎖されており、治療に支障
  • ドネツク州にあるHIVの子どもたちのための施設から40人の子どもが、州内で戦闘のない地域に避難できたものの、資金難に陥っている

ユニセフの取り組み

  • 8月9日、他の国連機関などと共にドネツク州の避難民の状況調査に参加、子ども向け物資を提供
  • 水と衛生、教育、心のケア分野の支援の取りまとめを行い、緊急下での子どもの保護も担当
  • 女性向けに衛生用品などの詰め合わせ1万7,000セットなどを提供
  • 9月の新学期に子どもたちが学校に通えるようにするために、政府などと共に協議
  • 地雷リスク教育の必要性を訴え、キャンペーンを企画中、第一段階は6〜18歳の子どもや保護者、保育者、教員などを対象に、第二段階では教員向けに子どもへの伝え方などを発信予定
  • 4カ月以上クリミアからの避難者を中心に行ってきた心のケアを、東部でも実施、ビニンツァやリビフで子どもと保護者250人に心のケアを実施、今後も個人やグループセラピーを実施予定

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