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公益財団法人日本ユニセフ協会
 

シリア緊急募金 第130報
水供給システムが爆発で損壊
アレッポの多くの住民が水危機に

【2014年7月27日 アレッポ発】

アレッポの主要な水施設の損壊状況を調査する技術者。紛争により、上下水道管や電気ケーブルの復旧に遅れが出ている。(シリア)
© Al Ahali Aleppo Initiative/2014
アレッポの主要な水施設の損壊状況を調査する技術者。紛争により、上下水道管や電気ケーブルの復旧に遅れが出ている。

焼けつくような夏の暑さと干ばつが続くアレッポ。この地で暮らす250万人の住民は、生きていくために必要不可欠な、安全な飲み水を手に入れることにすら苦労をしています。そしてその半数は、子どもたちです。

戦闘が絶え間なく続くなか、シリアで2番目に大きな町アレッポで爆発が起こり、主要な上水道管が破壊されました。この爆発により、人口の半数近くの住民は、安全な飲み水を手に入れることができなくなりました。また、下水道管や水処理施設への送電線も損傷を受けました。

6月に起こった爆発で、アレッポ市の道路の真ん中には、戦線に沿って約40mの穴が開いています。かつては若者でにぎわっていた場所も、今では激しい攻撃が繰り広げられる戦場にと姿を変えてしまいました。

水の供給は不安定で、配給も実施されています。なかには、安全な水を手に入れられない状況が、数日間、数週間続いている住民もいます。夏の暑さのなか、安全な水が手に入らないことで、水が媒介する病気にかかる住民が増加しています。特に幼い子どもたちは数年にもわたる紛争により免疫力が落ち、病気にかかりやすい状態になっています。

困難な復旧作業

破壊された水や電力供給システムの復旧は、絶えることなく続く紛争により、非常に困難になっています。最近結ばれた停戦合意により、爆発からおよそ2カ月たってようやく、上下水道局の修理工が現場に入ることができるようになりました。

直径2mの大きなコンクリートのパイプが現場に届けられ、設置が進められています。まずは最も深い場所を通る下水道管から修理が始められています。その後、上水道管と電気ケーブルの修理が行われる予定です。

作業を停止せざるを得ない期間が2日間ほどありましたが、現在は修理が進められています。状況が悪化しなければ、4週間ほどで修理が完了する見込みです。上下水道システムを完全に復旧させるためには、安全に修理を継続できる環境が必要不可欠です。

安全な水の供給と衛生キットの配布

ユニセフはアレッポで活動するパートナー団体と協力して、安全な水へのアクセスを確保するために支援を行っています。アレッポ市の西部には200万人が暮らしているとみられ、多くは紛争から避難してきた人々です。そして、東部には30万人以上が生活しています。

安全な水を供給するための緊急支援として、トラックによる水の供給を行っています。また、更なる供給システムの損壊に備えて、代替水源の強化にも取り組んでいます。

毎日25万リットルが、ユニセフによって、影響を受けている地域に給水車で運ばれています。届いた水を溜めておくための給水タンクも40基以上設置し、更に28基の設置の準備が進められています。

パートナー団体も、既存の井戸を利用して1,000万リットルの水を供給しています。また、水を汲みあげるための発電機11基が提供され、必要な際に水を提供することができるよう、古い井戸の修理も進められています。

ユニセフは2カ月間で2,376の家族用衛生キットと、1万3,767の赤ちゃん用衛生キットを提供しました。キットのなかには給水タンクやせっけん、粉末洗剤、洗濯用バケツ、ハブラシ、歯磨き粉が含まれています。

アレッポでの水の供給は非常に不安定で、危機的な状況です。ユニセフとパートナー団体は緊急のニーズに対応するため、支援を続けています。損壊した上下水道システムを復旧させ、水へのアクセスを再開させるためには、技術者が、妨げられることなく安全に作業を行うことができる環境が必要不可欠です。それと同時に、紛争関係者は安全な水へのアクセスやその他生活に必要不可欠なサービスを、紛争の駆け引き材料とすることを、止めなければなりません。

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