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公益財団法人日本ユニセフ協会

南スーダン:
国連施設内の避難所を襲う洪水
厳しい選択を迫られる母親たち

【2014年9月4日 南スーダン発】

「一晩中、我が子を抱いて立っていました」と語る女性。(南スーダン)
© UNICEF/NYHQ2014-1308/Nesbitt
「一晩中、我が子を抱いて立っていました」と語る女性。

激しい戦闘が続く南スーダン。2014年8月20日〜24日にベンティウを訪れたユニセフ・写真編集者のクリスティーン・ネスビットが、国連南スーダン派遣団(UNMISS)の施設に身を寄せている避難民の様子を報告しています。

* * *

激しい雨に見舞われた翌日、避難民の人々が浸水した家の清掃を行う慌ただしさのなかで、1人の女性がピンクのショールに包まれた赤ちゃんを抱いて立ち尽くしていました。私はカメラを手に、太ももまである重たい泥水に足を取られながら彼女の元へ歩いていきました。

「一晩中、赤ちゃんを抱いて立っていました。洪水で家が水に浸かってしまい、寝かせる場所がどこにもなかったのです」と、母親が語ります。

泥に体を沈ませながら、100キロの穀物が入った袋を背負って運んでいる男の人もいました。まっすぐ立つことがままならず、他の男性に支えてもらいながら進んでいました。しかし、穀物が入った袋を手放すことは決してありません。

なかにはケンカをしている男の子たちもいました。ひとりは足首に傷を負って、血が出ていました。睡眠をとることすらままならず、住民は平常心を保つことがとても難しくなっています。そのような中でも人々は、豪雨の被害から再び生活を立て直すため、疲れ切った身体に鞭を打って作業を進めています。

避難先での苦難

洪水が発生し、泥水がテントにも浸水している。(南スーダン)
© UNICEF/NYHQ2014-1304/Nesbitt
洪水が発生し、泥水がテントにも浸水している。

ここベンティウの国連施設内に身を寄せている人たちにとって、このような苦難に満ちた生活は、もはや日常です。2013年12月15日、政情不安からジュバで勃発した戦闘は国内各地に広がり、住民は恐怖から逃れるために自宅を捨て、沼地帯であるこの土地にやって来たのです。

ベンティウの住民が助けを求めて国連施設にやって来た時、この沼地帯がこれほどにも人々を苦しめるとは、誰も想像していませんでした。しかし、暴力で命を奪われることが明らかな場所と、有刺鉄線で守られた中での生活との選択を強いられた場合、多くは困難ではありながらも生き延びることができる場所で暮らすことを選ぶのです。しかし、状況は悪化しています。

避難民が身を寄せる地域は以前からぬかるんだ沼地でしたが、現在は膝まで水に浸かっている状態です。そしてその水は、雨季に流れてくる下水と同じぐらい汚く、不衛生なのです。

施設内のあらゆる場所で、住民たちが浸水を防ぐために泥を積み上げて壁を作ったり、その泥壁の外に水をすくい出したりしていました。水をすくうためのバケツがあればよい方です。なかには道具がなく、スープ皿を使って水をかき出している人もいました。次の雨季が来る前に安全に暮らすことができる場所を取り戻すため、子どもたちもおとなに交じって一緒に汗を流しています。

ベンティウの国連施設内にある女性団体によると、食糧を調理する燃料の配給がないゆえ、子どもたちに食事を与えることができないことを苦慮した母親たちは、更に残酷な選択を強いられていると語ります。レイプや殺される危険があることを承知の上で、施設外に出て火を起こすための薪を集めに行くか、あるいは、子どもたちが餓死していくのをただ見ているか―。

たとえ洪水が起きる場所であろうと

浸水を防ぐために泥で作った壁の外に水をかき出す子どもたち。(南スーダン)
© UNICEF/NYHQ2014-1318/Nesbitt
浸水を防ぐために泥で作った壁の外に水をかき出す子どもたち。

私がベンティウを後にしてから2日後、国連のヘリコプターが墜落したとのニュースが入りました。襲撃された可能性が示唆されています。悲痛な思いでした。ベンティウの住民たちは、外部から空輸される支援物資だけで命を繋いでいるのです。ヘリコプターでの活動が再開されて支援が届くようになるまで、彼らはあとどれぐらい長い間待たなくてはいけないのでしょうか。

ベンティウを去る前、ピンクのショールに包まれた赤ちゃんを抱いた母親を探しに行きましたが、テントを建てるための乾いた土地を探して、既にこの施設を後にしていました。しかし残念ながら、ここよりも良い場所を見つけることができる可能性は、極めて低いでしょう。この施設の外には、青々した草が生い茂っています。しかし実際に足を運んでみると、施設内よりも更に状況は悪く、胸ほどの高さまで水に浸かってしまいます。

壁の外で繰り広げられる武力衝突の恐怖から逃れるため、避難民たちはやっとの思いでこの施設にたどり着き、ここで生活することを選ぶのです。たとえ、一晩中泥水の中で立たざるをえない状況であっても―。

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