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公益財団法人日本ユニセフ協会
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エボラ出血熱緊急募金 第25報
エボラ出血熱の影響・リベリア
保健施設や学校閉鎖、孤児など
養育放棄される子どもの約2割は2歳未満

【2014年9月12日 ジュネーブ/モンロビア(リベリア)発】

エボラだけでなく、水因性の下痢を予防するため、衛生習慣を広める活動を強化。ウエスト・ポイントで衛生キットを配布する様子。(リベリア)
© UNICEF Liberia/Jallonzo/2014
エボラだけでなく、水因性の下痢を予防するため、衛生習慣を広める活動を強化。ウエスト・ポイントで衛生キットを配布する様子。

エボラ出血熱拡大阻止への取り組みが強化される中、ユニセフは、エボラ出血熱の広範にわたる影響が子どもたちに及んでいると警鐘を鳴らします。リベリアでは、エボラ出血熱によって子どもの保健サービスは深刻な影響を受け、学校も休校し、エボラ出血熱で親を亡くした子どもたちは数千人に上ります。一方で、子どもたちははしかやそのほかの予防可能な病気で命を失っており、妊婦が安全に出産できる場所はほとんどありません。

保健施設への甚大な影響

ユニセフ・リベリア事務所代表のシェルドン・ヤッテは「10年以上をかけて、リベリアは壊滅的な紛争が起きた国から、アフリカで最も高い子どもの死亡率の削減を実現した国へと移行してきました。しかし、これらのリベリアと子どもたちにとって極めて貴重な成果が、エボラ出血熱によって消し去られようとしている危機にあります」と述べました。

国内の保健施設はほぼすべて閉鎖されているか、一部のみの稼動にとどまっています。子どもたちは、予防接種を受けることも、マラリアや肺炎、下痢、重度の急性栄養不良といった5歳未満児の死亡の大多数を占める、乳幼児期によくある病気の治療を受けることもできません。

ユニセフはこれまでに世界銀行の支援を受けて、リベリアでのエボラ出血熱の対応のために、ユニセフの歴史上過去最大量となる消毒用の塩素を含め、防護備品や衛生キット、ビニールシート、下痢の治療に使う経口補水塩、緊急保健物資などを含む支援物資約248トンを輸送しました。また、この1週間で、リベリアのパートナー団体と共に、首都モンロビアの貧困地区で人口密度の高いウェスト・ポイントで、4万5,000人を対象に9,000の衛生キット(10リットル用のバケツ、浄水剤、石けん入り)を配布しました。ウェスト・ポイントでは、エボラ感染が続く一方で、急性の水因性の下痢の割合も高くなりつつあります。

エボラ出血熱は感染しやすく、コントロールするには予防が重要です。ユニセフは、エボラ治療センターに水とトイレを提供。また、より適切な衛生習慣を広めるために、週に複数回、町と村で行う広報啓発活動を支援しています。さらに、心理社会ケア関係者に研修を実施し、栄養不良にある子どもたちを含め、妊産婦と子どもの保健サービスの回復にも努めています。

ヤッテ代表は「この国の真の英雄は、エボラ出血熱との厳しい戦いの最前線にいるリベリア人医療従事者です。リベリアは、国民一人当たりの医療従事者数が最も少ない国のひとつです。それにもかかわらず、エボラ感染者の約15%は医療従事者が占めています。こうした状況は、リベリアと子どもたち、その家族にとっても大きな損失です」と述べました。

親のケアを受けられない子どもたち

ウエスト・ポイントの子どもたちとその家族に水を提供する準備のため、給水タンクを運ぶスタッフ。(リベリア)
© UNICEF Liberia/2014
ウエスト・ポイントの子どもたちとその家族に水を提供する準備のため、給水タンクを運ぶスタッフ。

家族をエボラ出血熱で失った子どもたちは、コミュニティの中で感染源や災難、トラブルと見られ、コミュニティの汚点とされたり、コミュニティからの拒絶に直面しています。多くの子どもたちはひとりぼっちで、おとなによる世話や適切なシェルター、保健ケア、栄養を与えられずに、路上でさまよっています。こうした子どもたちの約20%を占めるのは、特に養育放棄に至りやすい2歳未満の子どもたちです。

ユニセフは、エボラ治療ユニットや待機センターのすべての患者とその家族に心のケアを行うべく、メンタルヘルスの専門家を招聘。また、感染者と接触のあった人が発症しないかを確認する21日間の隔離期間にあり、世話をしてくれる人がいない子どもたちに安全な場所を提供し、支援しています。また、エボラから回復した子どもで親からのケアが受けられない子どもや、エボラ出血熱で孤児となり親のケアを受けられない子どもたちのための居場所づくりも進めています。

国内の小中学校は休校しており、150万人もの子どもたちが学校に通えていません。ユニセフは、リベリア教育当局とパートナー団体とともに、登校せずに、公的な教育を継続できるように取り組んでいます。

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