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公益財団法人日本ユニセフ協会
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シリア緊急募金 第142報
トルコでの避難生活
「子どもにやさしい空間」で
トラウマを癒すシリアの子どもたち

【2014年10月9日 トルコ・シュルナク発】

シリア北部のアインアルアラブ(クルド名:コバニ)からトルコへ避難してきたシュリネちゃん。
© UNICEF/Turkey-2014/Isci
シリア北部のアインアルアラブ(クルド名:コバニ)からトルコへ避難してきたシュリネちゃん。

先月、三つ子のシュリネちゃんとふたりの姉妹と母親は、シリア北部のアインアルアラブ(クルド名:コバニ)からトルコへと避難してきました。ユニセフが新たに設けた「子どもにやさしい空間」で遊べることになった今日、姉妹たちはわくわくしているようです。

トルコへの避難が増加

シュリネちゃん一家のように、トルコへ逃れてきた3,000人以上のシリアの方たちがトルコのシュルナクにある使用されていない学校で、ユニセフやトルコ赤月新社、トルコ保健省、地元の団体などの支援を受けています。

避難所となっている学校に新たに到着する人のおよそ8割は、子どもたちです。アレッポ県北部の町や村、またアインアルアラブでの戦闘が激化するにつれ、9月中旬以降、シリアを逃れトルコに避難した人は18万人を越えています。

新たに到着する家族の多くは避難先で避難場所を見つけているものの、財政的な支援や身を寄せる場所がない人が増え続けています。

子どもにやさしい空間

大きな白いテントの中は、トルコ赤月新社との協力でユニセフが設けた子どもにやさしい空間となっています。アニメのキャラクターで飾りつけがされたテントの中で、子どもたちがゲームを楽しんでいました。

8歳のシュリネちゃんは、9歳のアマルくんと友だちになって、うれしそうです。

「レゴで遊ぶのに、2日待っています。あと15分で中に入って遊べるって。いっしょに、大きな塔を作るわ」と話すシュリネちゃん。

子どもにやさしい空間は、ユニセフの支援を受け、トルコ赤月新社の若いスタッフが運営しています。20人ずつのグループに分けられており、これまでに約400人の子どもたちが登録しています。

ユニセフ・現場調整官のハッキ・エルソイは、子どもにやさしい空間の開設に立ち会いました。子どもにやさしい空間は、勉強する場所ではなく、子どもたちが純粋に楽しむための場所です。心に大きな傷を負った子どもたちには、遊びだけに集中できる場所が重要です。おとなのそばにいて、どんなことが起きているかなどの話を聞き続けることは、対処法を知らない子どもたちには、大きな負担となるのです」と語りました。

さらに「子どもたちの心の傷を癒す助けとなるよう、日常的な空間にすることを心がけています」と続けました。

© UNICEF/Turkey-2014/Isci

一時でも日常を感じられるように

シュリネちゃんは、母親のラミアさんと三つ子の姉妹のロジヴァンちゃんとニルズちゃんと一緒に避難してきました。同じ髪形をした三つ子の姉妹の瞳は、茶目っ気たっぷりです。

ロジヴァンちゃんとシュリネちゃんは、特に絆が強いようです。母親のラミアさんは「シュリネの具合が悪くなると、ロジヴァンも具合が悪くなるのです」と話しました。

ロジヴァンちゃんは「シュリネとニルズのことが大好きで、ずっといっしょに遊んでるの」といいました。

ダマスカスで暮らしていた一家はアインアルアラブに避難し、さらにトルコへと逃れてきました。

シュリネちゃんは「学校に通っていたときは、3年生でした。早く学校に通いたいです」と言います。得意な科目はアラビア語と算数だったというシュリネちゃん。いまはトルコ語を勉強したいと話してくれました。

「早く大きくなって、働いてお金を稼ぎたいわ。働くには、トルコ語が必要よ」と語るシュリネちゃんは、実際の年齢よりも、年上に見えます。「おもちゃで遊びたいけど、ここでは足りないわ。人形遊びをしたいけれど、人形はないの」

学校に避難している大多数は子どもたちですが、シュリネちゃんたちは、いつもおとなたちに囲まれていることが気になっているようです。ずっと見られているからいたずらもできない、とシュリネちゃんが話します。避難所での生活で一番つらい経験を聞くと、「たくさんのおとなに、いつも見られていることです。子どもだけの時間がほしいわ」とシュリネちゃんが話します。「そんなこと言いながら、おとなが見ている隙を狙って、いたずらするじゃない」と、母親のラミアさんが笑って話しました。

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