メニューをスキップ
公益財団法人日本ユニセフ協会

南スーダン:
大規模栄養検査キャンペーンを実施
年末までに23万人以上が重度急性栄養不良の恐れ

【2014年10月14日 ジュバ(南スーダン)発】

上腕の周囲を測り、栄養状態の検査を行う様子。(南スーダン)
© UNICEF/NYHQ2014-0999/Campeanu/WFP
上腕の周囲を測り、栄養状態の検査を行う様子。

南スーダン保健衛生環境省とユニセフ、WFP国連世界食料計画(以下、WFPと記載)は、10月14日より栄養危機への取り組みとして大規模な栄養状態検査キャンペーンを開始しました。ユニセフは、依然として数十万人の子どもたちが命の危機にあると訴えています。

大規模な栄養状態検査キャンペーン

キャンペーンの第一段階として、南スーダン社会動員ネットワークの研修を受けた254人のスタッフが、ジュバ市内の家庭を戸別訪問する予定です。スタッフは栄養不良の調査、検査、照会を行うほか、母親や保育者に適切な栄養や衛生を説明し、子どもたちには衛生習慣を教えます。

首都ジュバのある中央エクアトリア州のエマニュエル・イジャ・ベイ保健衛生局長は「社会動員ネットワークのスタッフは、ポリオ根絶やコレラへの対応など、これまでに多くの保健支援を行ってきました。今回取り組む栄養不良は、病気や貧困、不平等といった、生涯に影響を及ぼす問題であり、栄養の問題に取り組んでもらえることは、とても心強いです」と述べました。

キャンペーンは今後数週間かけて実施され、600人以上のスタッフが、ジュバに加え、紛争は起きていないものの大きな影響を受けている中央部のワラブ州と東部の北バハル・アルガザール州で、60万人以上の子どもたちを対象に実施する予定です。

長期的に健康でいられるように

ユニセフ・南スーダン事務所 栄養チーフのヴィルマ・タイラーは「病気にかかっている子どもたちが治療を受けることは、極めて重要です。さらに、母親に適切な食事や衛生習慣を伝えることは、家族が長期にわたって健康であるために欠かせません」と語りました。

ジュバで行われる大規模な栄養状態検査キャンペーンは、生後6カ月から5歳までの子ども11万6,000人以上が対象となっており、重度急性栄養不良の子ども6,500人以上が、ユニセフが支援する経口栄養治療プログラムの治療を受けるとみられています。

WFPは、ジュバで中度急性栄養不良の子どもたち推定1万6,700人に治療を行い、補助食事プログラムによる治療を行う見込みです。

ジュバのクリストファー・サファリノ・ワニ市長は「ジュバは、異なる国籍や国内全10州の人々が生活する多様性のある場所です。この大規模検査キャンペーン期間中、到達困難な場所やジュバ在住以外の子どもたちを含めた子どもたちが検査を受けられるよう、ご協力ください」と述べました。

多くの子どもが重度急性栄養不良に陥る恐れ

栄養不良の子どもに、すぐ口にできる栄養治療食を与える母親。(南スーダン)
© UNICEF/NYHQ2014-1403/Nesbitt
栄養不良の子どもに、すぐ口にできる栄養治療食を与える母親。

コミュニティへの働きかけに加え、ユニセフは自治体の保健部門とともに、保健センターなどのスタッフに患者への治療の研修を実施する予定です。この研修は、コミュニティにおける保健栄養ケアへの長期的かつ安定的な投資であり、コミュニティの保健栄養ケアの基盤となります。

国内では、今年末までに23万5,000人の子どもが重度急性栄養不良に陥るとみられています。その対応として、ユニセフとWFP、南スーダン政府は、コミュニティに基づいたアプローチに加え、複合的な戦略を実施しています。

具体的には、現地のパートナーをさらに巻き込み、栄養不良の治療対応力を高めること、物資の備蓄、物流網の強化、データ収集の改善、最も到達困難な人たちへの支援調整の向上などがあげられます。

すでに25回以上実施している即応支援は、最も厳しい状況にある人たちへの支援で、極めて重要な役割を果たしています。物資の空中投下や空輸によって、WFPとユニセフは支援を届けられなかった地域へ、栄養物資や保健・衛生サービスを提供してきました。これらの合同支援で約56万人への支援が実施され、5歳未満の子ども7万人以上が栄養不良の検査を受けました。また、これまでに5歳未満の子ども2,600人以上が重度急性栄養不良の治療を受けたほか、母親と保育者には、乳幼児の健康な食事に関する情報が提供されました。

通常11月〜3月に訪れる乾季には、再び栄養危機が深刻化することが懸念されていることから、ユニセフは最大10万人以上の子どもたち用の栄養物資の備蓄を進めています。

今回の拡大栄養支援は、ECHO(欧州委員会人道援助局)を含めた複数の資金提供を受け、実現しています。

参考情報

  • 2012年(紛争前)の南スーダンでの子どもの死亡者数:
    3万9,515人、このうち45%に栄養不良が関係
  • 紛争の影響
    自宅を離れ、避難生活を送る人140万人(総人口:1,083万8,000人)
    避難生活を送る子ども74万8,647人
    紛争によって、多くの家庭が生計手段を失い、また、作付け期に農業が行えず
  • 5歳未満の子どもへの影響:重度急性栄養不良になる子ども
    紛争前の2014年の見込み10万8,000人
    紛争後23万5,000人
    うち、5万人が治療を受けなければ死亡の恐れ
    ※重度・中度の栄養不良にある子ども 84万人

トップページへコーナートップへ戻る先頭に戻る