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公益財団法人日本ユニセフ協会
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エボラ出血熱緊急募金 第48報
シエラレオネ:
治療やケアをより住民の身近な場所に
エボラの地域ケアセンターを設置

【2014年11月20日 ボンバリ (シエラレオネ)発】

エボラの地域ケアセンターで治療にあたる看護師。(シエラレオネ)
© UNICEF Sierra Leone/2014/James
シエラレオネ北部のボンバリ地域にあるPate Bana Mara村に設置された地域ケアセンターで治療にあたる看護師のジョーゼフィン・コンテーさん。

エボラ出血熱に感染した患者を何百キロも離れた施設へ搬送するのではなく、地域ケアセンターの建設や保健員の訓練を通して、エボラの影響を受ける地域内で治療やケアを行えるようにする取り組みが進められています。

* * *

「地域ケアセンターに感謝しています。でも、ここで働くのは簡単なことではありません」と、シエラレオネ北部のボンバリ地域にあるPate Bana Mara村に新設された地域ケアセンターで、初の受け入れ患者の到着を待ちながら、看護師のジョーゼフィン・コンテーさんが語ります。このケアセンターには8台のベッドが備え付けられています。

約100件の感染が報告された後、この村は数日前まで立ち入りが禁止されていました。村を囲むように貼り巡らされた赤いテープをくぐり、作業員たちは地域ケアセンターの建設にあたっていました。

「患者の到着を待っています。患者を受け入れ、看護師として提供できる最善の治療やケアを行う準備ができています。特にPate Banaなどの地域は、いままでエボラで苦しんできました。この地域で、これ以上エボラの犠牲者を出したくありません。もうこのようなことが二度と起こらないよう、全力を尽くします」と、コンテーさんが語ります。

ユニセフの支援でボンバリ地域に新設された10カ所の地域ケアセンターで治療にあたる、200人以上の診療所の保健員や衛生士が訓練を受けています。地域ケアセンターで働く人の多くが、その地域出身です。これは、村レベルで隔離治療と基本的なケアを行うための取り組みの一環です。

シエラレオネでエボラの影響を最も受けている地域のひとつ、ボンバリでは、エボラの新規感染報告が途絶えません。シエラレオネ政府の11月17日時点の統計によると、シエラレオネ全土の感染者数5,056人のうち、ボンバリ地域の感染者数は709人に上ります。

コミュニティ主導によるケアセンター

エボラの地域ケアセンター。(シエラレオネ)
© UNICEF Sierra Leone/2014/James
英国国際開発省による資金提供とユニセフや現地NGO団体による物資や支援の提供のもと、政府の地域保健管理チームによって運営されている地域ケアセンター。

地域ケアセンターが開設されることで、エボラの早期治療が可能になり、ケアの透明性を高めることができるとMapkiにある地域ケアセンターの責任者であるカーネル・セサイ氏が語ります。治療のため、エボラ患者は何百キロも離れた施設に搬送されていました。そのため、住民たちは何が起こっているのか全く理解ができていなかったといいます。

「でも今は、住民たちがケアセンターを実際に目にし、訪れ、患者と話すこともできます。また、保健員もその地域の住民です」と、セサイ氏が語ります。

地域ケアセンターは英国国際開発省(DFID)による資金提供とユニセフや現地NGO団体による物資や支援の提供のもと、政府の地域保健管理チームによって運営されています。

「コミュニティ主導の取り組みです。施設の構造をぜひ見てください」と、地域ケアセンターを訪れたユニセフのグローバル供給物資オペレーション部のシャネル・ホールが話します。「この施設は、家族が隔離ケアを受けている患者を訪れることができます。治療にあたるスタッフはこの地域出身の人たちなので、支援を提供し、信頼を築きあげ、行動の変化をもたらすことが可能だと期待されています」

大きな変化が期待

世界保健機関(WHO)などによってPort Loko地域に当初試験的に設置された地域ケアセンターは、現在パートナー団体が国中への展開を試みています。

この取り組みには、コミュニティとの協力体制が重要です。ケアセンターの設置にあたっては、現地当局や伝統的なリーダーたちとともに、地域に最も適した施設にするため、広範囲にわたる協議が進められました。

このプロジェクトは引き続き行われ、ボンバリに更に5カ所、Tonkolili地域近郊に10カ所地域ケアセンターが設置される予定です。

この施設を訪問したMapaki地域の首長であるパトリック・ウマラウ・コロマ氏は、「大きな変化が期待できます。今まで、住民はエボラが現実に起こっているとは信じていませんでした。しかし、この施設を実際に目にすることで、この地域でもエボラの感染が広がっており、危険な病気だということを住民が理解することができます。この地域ケアセンターが、エボラは現実なのだと住民に訴えているのです」

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