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公益財団法人日本ユニセフ協会

2月6日『国際女性性器切除(FGM/C)根絶の日』
切除される女の子 今後35年間で1.8倍増か
ユニセフ事務局長らが訴え

【2015年2月6日 ニューヨーク発】

2月6日の国際女性性器切除根絶の日(ゼロ・トレランス・デー)に際し、ユニセフ(国連児童基金)のアンソニー・レーク事務局長は、国連人口基金(UNFPA)、国際助産師連盟(ICM)、世界産婦人科連合会(FIGO)の代表とともに共同声明を発表。女性性器切除(=female genital mutilation/cutting 以下FGM/C)の根絶のために具体的な対策をとるよう、世界中の医療従事者に向けて訴えました。

35年間でFGM/Cを受ける女性1.8倍増加の恐れ

またユニセフのデータ分析部門は、FGM/Cに関する最新の傾向と今後の予測データをまとめたレポート「女性性器切除:未来に何が待ち受けているのか?(原題:Female Genital Mutilation/ Cutting: What might the future hold?)」を発行。現在、FGM/Cが行われている29カ国に住む女性の3分の2、男性の3分の2近くが、この慣行を止めるべきだとの考えを持っていることや、女の子がFGM/Cを受ける危険性は、約30年前と比べて3分の1ほど減少したことが明らかになりました。一方で、危険性は減ったものの、現在の減少率のままでは、人口増加に伴い、FGM/Cを受ける15歳〜19歳の女の子が、2013年の年間360万人から2050年には年間660万人(1.8倍の増加)となる恐れがあることを指摘しました。

女性性器切除を受けた少女にカウンセリングを行うソーシャルワーカー。ユニセフは現地NGOと協力して、根絶に向けた取り組みを行っている。(マリ)
© UNICEF/NYHQ2009-1916/Pirozzi
女性性器切除を受けた少女にカウンセリングを行うソーシャルワーカー。ユニセフは現地NGOと協力して、根絶に向けた取り組みを行っている。(マリ)

FGM/Cとは、女の子や女性の性器の一部を切除する慣習で、女の子と女性の人権を侵害する行為であるとともに、毎年およそ300万人の女の子の心身に害を及ぼしています。現在、FGM/Cが広く行われているアフリカや中東地域では、29カ国で1億3,000万人以上の女の子と女性が何らかの形でFGM/Cを受けており、FGM/Cは彼女たちの将来に甚大な影響を与えています。

世界中で、コミュニティと政府によるFGM/C根絶のコミットメントが広がっていますが、未だ十分ではありません。本日2月6日の国際女性性器切除(FGM/C)根絶の日(ゼロ・トレランス・デー)を迎え、私たちは、助産師から看護師、産科医、婦人科医までのすべての医療従事者に、この危険で有害な慣習を廃止するための動員を求めます。

医療従事者が果たす重要な役割

村で行われた、女性性器切除を終わらせるための会議に参加した女の子。(スーダン)
© UNICEF/NYHQ2009-1490/Holt
村で行われた、女性性器切除を終わらせるための会議に参加した女の子。(スーダン)

FGM/Cの根絶を支える上で重要なのは、世界中の医療従事者による取り組みです。医療従事者は、従事するコミュニティ内の状況に精通しているともに、この慣習を長続きさせてしまっている社会的模範を熟知しています。FGM/Cの支持者が急激に減少しているという現在の傾向を、さらに促進することができます。コミュニティの人々も、顔見知りである医療従事者を信頼しています。

医療従事者はまた、FGM/Cによって引き起こされる身体への害も熟知しています。尿や月経への影響だけでなく、出血や感染、死を伴う合併症に苦しむ女の子や女性を知っています。そして、身体だけに限らず、心的外傷が将来にわたって続く姿を目にしています。

FGM/Cを医療化する、という憂慮すべき事態が広がる傾向にあります。これに対し、声をあげられる立場にいるのが、他ならぬ医療従事者なのです。約5人にひとりの女の子が研修を受けた保健員によってFGM/Cを受けおり、国によっては、その人数は最大4人に3人に達する可能性もあります。

FGM/Cを法律で禁止している多くの国では、医療提供者によるFGM/Cの実施は法律違反です。しかし、すべての国において、合法か違法かに関わらず、FGM/Cは女の子と女性の基本的な権利を侵害しているのです。FGM/Cを実施する医療提供者は、この悪習を暗黙的に承認しているのであり、それは、『害を与えてはならない』という、医学の最も基本的な指針に反するものです。

特に最前線で活動する医療従事者は、FGM/Cの慣習に加担しなければならないような重圧を受けることが、よくあります。しかし、この重圧に屈しないための支援を受けることによって、彼らは根絶への一歩を進めることができるのです。

従って何よりもまず、すべての医療従事者に向けて、FGM/Cの実施を放棄し、彼らがもつ影響力を活用し、従事するコミュニティ内に留まらず、同僚たちと共にあらゆる地域においてFGM/Cの根絶を促進するよう、要請します。

女の子の健康と権利、幸福のために

村の女性性器切除根絶を祝うイベントに参加した女の子たち。(セネガル)
© UNICEF/NYHQ2009-1095/Furrer
村の女性性器切除根絶を祝うイベントに参加した女の子たち。(セネガル)

私たちはまた、医療従事者が単独でこれらを実施することは困難であることも理解しています。FGM/C根絶に向けた共同プログラムの下、私たちは医療従事者を対象に、FGM/C根絶を促進するために必要なスキルと情報を提供します。加えて、根絶へと取り組む過程にて生じるであろう複雑な問題への対処方法なども提供します。

社会模範は、特に住民同士の絆が深いコミュニティでは、人々の生活に大きな影響を与えます。しかし一方で、医療従事者や指導者、専門家、そしてとりわけ女の子たち皆が力を合わせれば、社会模範に変化をもたらすことができます。

本日は、国際女性性器切除(FGM/C)根絶の日。何百万もの女の子の健康と権利、幸福を左右するFGM/Cの根絶へ向け、行動を起こしてください。

■参考情報

※FGM/Cが行われている29カ国:
出典:世界子供白書2015要約版(日本語)
ベナン、ブルキナファソ、カメルーン、中央アフリカ共和国、チャド、コートジボワール、ジブチ、エジプト、エリトリア、エチオピア、ガンビア、ガーナ、ギニア、ギニアビサウ、イラク、ケニア、リベリア、マリ、モーリタニア、ニジェール、ナイジェリア、セネガル、シエラレオネ、ソマリア、スーダン、トーゴ、ウガンダ、タンザニア、イエメン

※FGM/C減少に関する約30年前との比較:
出典:ユニセフ データ分析部門発表レポート「女性性器切除:未来に何が待ち受けているのか?(原題:Female Genital Mutilation/ Cutting: What might the future hold?)
女の子がFGM/Cを受ける危険性は、約30年前と比べて3分の1ほど減少しました。

  • 中央アフリカ共和国、イラク、リベリア、ナイジェリア:半数程度に減少
  • ケニア、タンザニア:3分の1に減少
  • ベナンやカメルーン、ガーナ、トーゴ:減少
  • ジブチ、エジプト、ギニア、ソマリア:変化はみられず (※女性の90%がFGM/Cを受けている国々)
  • チャド、ガンビア、ギニアビサウ:変化はみられず

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【関連動画】

※この動画は2013年8月に公開され、動画内の数字などはその当時のものです。現時点の最新の数字につきましては、既出の最新レポートをご覧ください。

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