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公益財団法人日本ユニセフ協会
 

サイクロン・パム
支援物資を離島の子どもたちへ
安全な水の支援が急務

【2015年3月21日 スヴァ(フィジー)発】

ポートビラの近くにあるTaunono村の家族。(バヌアツ・サイクロン)
© UNICEF/UNI181139/Crumb
ポートビラの近くにあるTaunono村の家族。すべての家が大きな被害に遭った。

サイクロン・パムによって太平洋の島々の物流が打撃を受ける中、ユニセフ(国連児童基金)はキリバス、ソロモン諸島、ツバル、バヌアツの子どもたちへ支援物資を届けています。

今回被災した国々は、どこも多くの島々からなる島嶼国で、移動には、飛行機や船で2時間から6日かかります。物資の輸送コストは高く、カテゴリー5規模のサイクロンが道路などのインフラを破壊したことで、島内また島嶼間の物資輸送や通信はさらに難しくなっています。

安全な水が緊急に必要

「政府の調査によって、被災した子どもたちの状況が分かってきました。ユニセフは、日頃の備えと緊急支援の専門知識をもとに、命に関わる緊急ニーズに対応し、支援の調整や物資調達に関して政府やパートナー団体をサポートするなど、迅速に活動することができています」とユニセフ太平洋事務所代表のカレン・アーレンは報告しました。

「我々は現在、政府や国連、NGOのパートナー団体とともに、被災した子どもたちの健康と安全な生活が脅かされることがないよう、活動を続けています。パートナー団体によって食糧や避難所の支援が進められているのは喜ばしいことです。ユニセフは、特に水、トイレ、衛生、母子保健、栄養、教育、子どもの保護の分野で活動しています」(アーレン代表)

ユニセフの支援で、何千人もの住民が水を手に入れることができるようになった。(バヌアツ・サイクロン)
© UNICEF/UNI181325/Crumb
ユニセフの支援で、何千人もの住民が水を手に入れることができるようになった。ポートビラ郊外で、地域の消防員たちが住民のために水を汲む様子。

最も被害が大きかったバヌアツでは、調査によって、20%から90%の家屋、学校、病院、教会そして農作物が破壊されたことが明らかになりました。少なくとも80%の学校が、サイクロンによる損壊や避難所としての使用によって影響を受けています。また、安全な水が緊急に必要とされています。

支援物資の配布を拡大

被災地域へのアクセスが改善されたため、ユニセフは備蓄の支援物資の配布を拡大しています。バヌアツやツバルに到着している緊急支援物資を海路でキリバスに輸送すると同時に、さらに多くの物資がバヌアツに届く予定です。ユニセフは、周辺地域や世界中から集めた備蓄物資や、長期契約を結んでいる各国の仕入れ先からの物資で対応にあたっていますが、調達や輸送のための資金が必要とされています。

フィジーのスヴァやバヌアツのポートビラ、キリバスのタラワ、ソロモン諸島のホリアラの備蓄倉庫から緊急調達された水やトイレ、衛生、保健、教育、子どもの保護のための物資は、200万米ドル相当に上ります。ユニセフはまた、バヌアツ政府やWFPとともに、緊急支援物資センターをポートビラの空港とタンナに設置する準備をしています。

ユニセフの支援

被災した子どもたちを対象にしたユニセフの支援には、以下が含まれます。

  • バヌアツでは、テントなどを含む備蓄物資を、病院に提供したり、緊急の水のニーズに対応するためにバヌアツのパートナー団体に提供したりしました。また給水システムの修繕も支援しています。
  • 同じくバヌアツに、基礎保健キットや経口補水塩、亜鉛の錠剤、ビタミンA、駆虫薬など48箱の保健物資が到着。これらのキットは他の島々へも送られました。約1万5,000錠の浄水剤も各避難所で使用するために発送されました。甚大な被害を受けた島のひとつ、タンナ島への物資がポートビラの港を出港しました。
  • ツバルでは、ニュージーランド政府の輸送支援によって、ユニセフの水と衛生分野の支援物資や防水シートがフナフティ島へも届けられました。
  • ソロモン諸島でも、ユニセフは、政府やパートナーとともに備蓄していた水、衛生、保健に関する物資の配布を進めています。
  • キリバスでは現地調査が終わり、タラワ島で緊急支援物資の配布が始まりますが、現在届いている物資の量は限られています。近日中に、追加の物資が到着する予定です。

サイクロンの数日後に出産した母親

サイクロンの数日後に生まれた赤ちゃんを抱く母親。
© UNICEF/UNI181326/Crumb
サイクロンの数日後に生まれた赤ちゃんを抱く母親、リザさん

これらの支援物資は、ポリオ、はしか、破傷風、下痢といった病気の広がりを防ぎます。たとえば、バヌアツのあるコミュニティで、出産したばかりの母親のリザさんは先週、彼女自身と生まれたばかりの息子エレミアくんのための水をユニセフから受け取りました。リザさんは、サイクロンに襲われた数日後に、大きな被害を受け、安全な水が手に入らない状態だった村で出産したのです。

ユニセフは、政府やパートナー団体とともに、各コミュニティに安全な水を届ける支援をしています。「水が届いたとき、本当にほっとしました」とリザさんが話します。「飲み水が手に入り、赤ちゃんをきれいな水で洗ってあげることもできるようになります。この支援がなかったら水を手に入れることができなかったので、とても感謝しています」
リザさんと赤ちゃんのストーリー(英文)は、こちら

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■バヌアツの状況 (3/22現在・国連まとめ)

  • 被災者数:22の島で16万6,000人、うち8万2,000人が子ども
  • 学校再開支援を必要としている子ども:5万7,000人
  • 安全な学習環境を必要とする子ども:5万〜7万人
  • 避難所として使用されている学校: 少なくとも 34校
  • これまでにユニセフが予防接種を実施した5歳未満の子どもの数:5,163人

■ソロモン諸島の状況

9つの州のうち、少なくとも5州の被害が甚大で、支援を要する

ユニセフは当面の緊急支援に必要な300万米ドル*の支援を国際社会に要請
*被害状況に応じて更新されます

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