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公益財団法人日本ユニセフ協会

コンゴ民主共和国:
より多くの村にきれいな飲み水を
低コストの手動掘削技術で実現

【2015年3月19日キンシャサ(コンゴ民主共和国)発】

『すべての人が安全な飲料水を利用できること』を目標に掲げた取り組みは大きな成果を収め、世界中で多くの人々が飲料水を手に入れることができるようになりました。一方で、未だ7億5,000万人が安全な飲み水を利用することができません。

安全な飲料水を利用できない人が人口の半数以上を占める世界3カ国のうちの一つ、コンゴ民主共和国では、低コストの手動掘削技術を用いることで、より多くの村に安全な水を提供する取り組みが行われています。

* * *

手動掘削機で井戸掘り

コンゴ民主共和国の首都、キンシャサの郊外にある人里離れた貧しい町、ビンザ・メテオ。この地域で暮らす住民たちが、男性スタッフ8人が手動の掘削機を使って地面に穴を掘る様子を見守っています。数時間後に完成するこの新しい井戸が、住民たちの健康を守る大きな道しるべとなるのです。

手動掘削機を使って井戸を掘る様子。チャドで開発されたこの費用対効果が高い技術を使い、多くの人里離れた地域に水を届けている。
© UNICEF Democratic Republic of the Congo/2015
手動掘削機を使って井戸を掘る様子。チャドで開発されたこの費用対効果が高い技術を使い、多くの人里離れた地域に水を届けている。

パピ・バカンブさんが、井戸掘りの作業を注意深く見守っています。パピさんの目は、どんな小さなことも見落としません。

チャドで開発された手動掘削機を使って井戸を掘るこの取り組みが、大きな注目を集めています。これは、ユニセフやパートナー団体がコンゴ民主共和国で幅広く採用している方法です。

井戸掘りはとても大変な作業です。4人ずつの2つのチームで、10分ずつ交代して作業が進められます。2、3時間で、穴の深さは30メートルほどに達しました。「飲料水に適した水質の水が手に入る地下水面まで、あと10メートルぐらいだぞ」と、パピさんが大きな声で知らせました。

「健康な村」へ

パピさんは、貧困地域の開発を支援する団体のコーディネーターをしています。作業の様子を注意深く見守っているのは、パピさんだけではありません。地域の住民たちも、興味深い様子で視線を送っています。この地域は、政府やユニセフが進める「健康な村」プログラムにも参加しています。

たった1年間で、住民たちは「健康な村」プログラムで掲げられている7つの目標すべてを達成することができました。目標のひとつには、「少なくとも80%の住民が飲料水を利用できる」という項目も含まれています。

住民の健康を促進するために、さまざまな目標が定められています。「プログラムには、トイレの利用や家庭用排水の処理、地域を清潔な状態に維持すること、プログラム運営管理委員を地域住民から選出すること、などが含まれます」と、ユニセフの水と衛生プログラムを担当するジャニー・フレジュールが語ります。

この取り組みにより、2009年以降、国内の4,000以上の村が、「健康的な村」として認定されています。これは、300万人以上が飲料水を利用できるようになったことを意味します。政府やユニセフは目標を更に高く見据え、2017年までに400万人が飲料水を利用できるようになることを目標に活動を進めています。

簡単で低コストの方法

人口の半数以上が安全な飲料水を手に入れることができないコンゴ民主共和国では、「健康な村」プロジェクトが実施されている。
© UNICEF Democratic Republic of the Congo/2015
人口の半数以上が安全な飲料水を手に入れることができないコンゴ民主共和国では、「健康な村」プロジェクトが実施されている。

この手動掘削技術を利用し、2009年以降、キンシャサの貧しい地域に80の給水ポンプが設置されました。

手動掘削機には多くの利点があります。その一つが、電動掘削機と比較して格段に安いコストだと、パピさんはいいます。「手動掘削機を使えば、同じ費用でより多くの井戸を設置でき、より多くの住民に飲み水を届けることができるのです」

人里離れた貧しい地域では、特にこの手動掘削機が重宝されます。「辿り着くことや機械を運ぶことが困難な地域では、電動式のものを使うことはできません」と、パピさんが話します。キンシャサの貧しい地域の道は、バイクが通ることすら困難です。そのような地域には、機械を積んだトラックが入ることは不可能です。

きれいで安全な水を多くの人に

飲料水を利用できる人口が依然として少ないコンゴ民主共和国で、「健康な村」プロジェクトは、大きな変化をもたらそうとしています。政府やユニセフは、より多くの住民が安全な飲み水を利用し、衛生的な環境での生活ができるよう、高い目標を持って取り組みを進めています。

ビンザ・メテオ村の住民たちはもう間もなく、立派な給水ポンプを使って水を汲むことができるようになります。穴掘りの作業は今晩にも完了し、後は配管と給水ポンプの設置が残るのみです。住民たちが利用し始めるにあたり、前もって水質検査も行われます。

しかし、パピさんは全く心配していない様子です。

「十分深く掘りましたから、きれいで安全な水を手に入れることができるようになりますよ」(パピさん)

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