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公益財団法人日本ユニセフ協会

タンザニア
子どもの栄養状態が改善
取り組みの成果、引き続き努力も必要

【2015年4月10日 ダルエスサラーム(タンザニア)発】

タンザニアの親子。
©  UNICEF/PFPG2014-1189/Hallahan
タンザニアの親子。

タンザニアで発表された国民栄養調査の結果によると、2010年から2014年の間に、慢性的な栄養不良で、年齢相応に背丈が伸びていない発 育阻害の状態にある5歳未満の子どもの割合が、42%から35%にまで低下したことが明らかになりました。

ユニセフ・タンザニア事務所のジャマ・グレイド代表は「栄養不良、特に発育阻害は、タンザニアの子どもたちにとって静かな危機の一つです。栄養不良は深刻な結果をもたらします。知性を鈍らせ、生産性を低下させ、貧困を固定化させます。私たちがきょう祝っている成果は、2011年以来の、栄養に関する政治的コミットメントの向上と調整メカニズムの改善の結果なのです」と述べました。

2011年にタンザニアは、“スケーリングアップ栄養(Scaling Up Nutrition, SUN)運動”と呼ばれるグローバルなイニシアチブの主要なパートナーとなりました。この運動は多くの国で、栄養改善のために必要とされる、栄養への関心や投資をもたらしています。ジャカヤ・ムリショ・キクウェテ大統領は、ハイレベルのSUNリードグループのメンバーとなり、国際的に、またタンザニア国内で、栄養問題の推進に重要な役割を果たしてきました。

SUNのタンザニア担当者、オベイ・アサリ氏は「この結果は非常に励みになります。慢性的な栄養不良という隠された危機は、何千人もの子どもたちから可能性を奪い、タンザニアの社会的・経済的な進歩を妨げているのです」と話しました。

タンザニア政府は、5か年「国家栄養戦略(2011-2016年)」と、関係省庁・部門、関係機関、地方自治体や開発パートナーによる活動の指針となる、実施計画を策定しています。

赤ちゃんの体重測定やワクチンを接種するために保健所に集まった母親たち。
©  UNICEF/UNI161891/Holt
赤ちゃんの体重測定やワクチンを接種するために保健所に集まった母親たち。

政府は、栄養問題への投資の追跡調査も行っています。2014年に財務省は、栄養セクターの最初の公共支出レビューを行いました。また、「国家栄養戦略」の最初の3年間の実施状況を分析するための、マルチセクター評価も実施しました。

グレイド代表は「こうした成果にもかかわらず、子どもの栄養不良は依然としてタンザニアの重要な課題です。 タンザニアのすべての人々−政府も地域社会もユニセフやその他関係者も、この問題に対処するためさらなる努力を行う必要があります」とも述べました。

発育阻害の5歳未満児は270万人以上

推計によれば、タンザニアには今も270万人以上の発育阻害の5歳未満児がいます。そして43万人以上の子どもたちが急性栄養不良に苦しんでいます。そのうち約10万人は、重度の急性栄養不良と診断されていて、適切な治療を受けられなければ死亡のリスクが高い状態にあります。

発育阻害は子どもの身体的および認知的な発達を永続的に損ない、子どもたちを貧困と不平等のサイクルに閉じ込めてしまう可能性があります。その影響はしばしば学校での成績の悪さや、さらには、将来の所得の低下(約22%にも上る)にもつながります。大人になってからも、病気や疾患のリスクが高まります。

国家栄養調査は、2014年、タンザニアの保健社会福祉省の食糧栄養センターと、ザンジバル保健省の栄養部門によって実施され、ユニセフ、アイルランド外務省開発協力局および英国の国際開発省(DFID)が技術的・財政的支援を提供しました。

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