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公益財団法人日本ユニセフ協会

南スーダン
280人以上の子ども兵士解放
和平協定に基づく最後の解放

【2015年4月24日 ジュバ(南スーダン)/ナイロビ(ケニア)発】

解放の式典で銃を降ろす子どもたち。
© UNICEF/NYHQ2015-0201/Rich
2015年2月、コブラ派と呼ばれる武装勢力から解放され、解放の式典で銃を降ろす子どもたち。

南スーダンで、コブラ派(Cobra Faction)と呼ばれる武装勢力から、兵士などとして徴用されていた280人以上の子ども(男の子282人と女の子1人)が解放されたことが明らかになりました。

280人の子どもが解放

子どもたちが解放されたのは、ジョングレイ州の辺境の村、ラブラブ(Labrab)。南スーダンでは、この武装勢力と政府との間で交わされた和平協定に基づき、今年1月から段階的に子ども兵士の解放が行われてきました。今回が、その一連の最後の解放です。

解放に先立ち、ユニセフと南スーダン政府の国家武装解除・解放・社会復帰委員会(NDDRC)は、徹底した子どもの確認、照合作業を行ってきました。今年1月以来、コブラ派から解放された子どもは1,757人に上っています。

武器を捨て、軍服から普段着へ

ユニセフ南スーダン事務所代表ジョナサン・ヴェイチは、「最後のグループがコブラ派から解放され、その過程に立ち会うことができ、とても嬉しく思っています。しかし、我々の仕事は決して終わっていません。子どもたちは、家族のもとに帰り、人生をやり直す長く苦しい道を歩み始めなくてはならないのです」と話しました。

解放の式典で、子どもたちは武器を捨て、着ていた軍服から普段着に着替えました。彼らは、家族が見つかり家に戻る日まで、一時ケアセンターに身を寄せ、食べ物や寝る場所に加え医療や心理社会的サポートを受けます。1月以来、1,104人の子どもが家族の待つ家に戻り、帰宅できる子どもは今も増えています。またほとんどの子どもが、教育の機会を得ています。

解放は、まだ小さな光

家族との再会プログラムは、解放され帰宅した子ども一人につき、同じコミュニティの厳しい状況にある子ども一人が、解放された子どもと同様に支援を受けられるようにする、というパリ原則での取り決めに則って進められています。このプログラムを通じて行われる支援によって、さまざまな社会インフラやサービスが整えられ、コミュニティ全体がその利益を享受できるのです。すでに始まっている心理社会的支援を含めた2年間の家族再会プログラムには、子ども一人あたり2,580米ドルの費用が必要で、ユニセフはこのプログラムのための資金として1,100万米ドルが不足しているとしています。

「南スーダンのユニティ州や上ナイル州では、多くの子どもたちが誘拐されたり強制的に徴用されたりしており、この国の子どもたちの深刻な状況を考えると、今回のコブラ派による子ども兵士の解放は、まだ小さな光です」とヴェイチ代表は続けます。「ユニセフは、最近戦闘が激化している上ナイル州のマラカル付近で先日徴用された子どもたちの状況を大変心配しています。私たちは、もう一度これらの子どもたちの一刻も早い解放を訴えると同時に、解放のために必要なあらゆる支援を提供する準備ができています」

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■南スーダン概況

  • 2011年の独立後も政情不安が続いていた南スーダンでは、2013年12月15日、武力衝突が発生。その後も続く紛争により、子どもたちは自宅や学校、生まれ育ったコミュニティを追われ、暴力や栄養不良、病気の危険に晒されています。
  • 国内避難を続ける子ども:80万人以上 / 国外で避難生活を送る子ども:34万4,000人以上。
  • 1万2,000人以上の子どもたちが、武力衝突を引き起こしている両陣営に徴用されているとみられる。
  • 武装勢力と政府との間の和平協定により、今年1月から段階的に子どもの解放が進み、1,757人が解放された。
  • ユニセフは、解放された子どもたちの家族の居場所を追跡し、再会を進める支援のほか、子どもたちに食糧や避難場所、衣類の提供のほか、基礎保健ケア、カウンセリング、心のケアを実施している。
  • 紛争の長期化によって、推定22万9,000人以上の子どもたちが、重度の急性栄養不良に陥っている。
  • 戦闘地域にある学校の70%は機能しておらず、40万人の子どもたちが教育を受けられていない。

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