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公益財団法人日本ユニセフ協会

ブルンジ:
「子どもにやさしい学校」
お互いに助け合い学ぶ環境を

【2015年4月28日 ブルンジ発】

ブルンジの帰還民の子どもや弱い立場に置かれている子どもを含め、すべての子どもたちが質の高い教育を受けられるようにするためには、安全で、健康に良く、守られた学習環境が必要不可欠です。

* * *

長年タンザニアで難民生活を送っていたジョイス・マニラタンガちゃん(9歳)。最近、故郷のブルンジに戻り、タンガニーカ湖のほとり、リュモンジュ地域にあるガコラ小学校に通い始めました。

ガコラ小学校2年生のジョイスちゃん9歳。
© UNICEF Burundi/2015/Hatungimana
ガコラ小学校2年生のジョイスちゃん(9歳)

新しい学校での生活を始めるにあたり、子どもは誰もが不安や戸惑いを感じることでしょう。しかし、ジョイスちゃんのような帰還民の子どもたちは、さらに多くの壁に直面します。近隣の国に避難し、難民キャンプに何年も身を寄せていた子どもたちの多くが、言葉の違いに戸惑い、ブルンジの教育システムに適応することに難しさを感じています。

幸いにも、ジョイスちゃんが通うゲコラ小学校は、ユニセフが促進する『子どもにやさしい学校』アプローチを取り入れていました。グループワークや子どもたちがお互いに助け合って学習を進めるという、『子どもにやさしい学校』の基本となる重要な取り組みは、内気なジョイスちゃんが学校生活に慣れるための大きな支えとなりました。

「もし授業の内容が分からなければ、グループの友達が助けてくれます。初めてグループのリーダーを任された日を覚えています。とても難しくて、泣いてしまいました。教室を出ていきたいと思いましたが、先生や友達が励ましてくれました。もう、何も怖くありません」(ジョイスちゃん)

子どもたちを学びの中心に

ここ数年で近隣国に避難していた多くの難民がブルンジに帰還し、以前からひっ迫していた教育システムへの負担は更に大きなものとなっています。小学校では、1つの教室につき平均72人の子どもが勉強している状態で、教科書などの基本的な教材が不足しています。このような環境下で、すべての子どもに質のよい教育を提供するためには、十分な学習スペースや教材の提供だけでなく、帰還民や弱い立場に置かれている子どもたちの受け入れや、平等な学習機会を促進することができるよう、十分な研修を受けた教員が重要となります。

「子どもにやさしい学校」アプローチで、生徒の学習成績に大きな変化があったと語るガコラ小学校のアブドン・ハビャリマナ校長先生。
© UNICEF Burundi/2015/Hatungimana
「子どもにやさしい学校」アプローチで、生徒の学習成績に大きな変化があったと語るガコラ小学校のアブドン・ハビャリマナ校長先生。

これらの問題を乗り越え、子どもの権利を学びの中心に置いた学校環境を整えるため、ユニセフは『子どもにやさしい学校』をブルンジ全土に広める支援を行っています。

「2012年に『子どもにやさしい学校』のアプローチを取り入れました。すると、子どもたちの学習成果に大きな変化が現れたのです。国家テストの成績が、2年で64%から78%に上がりました。この学校で学んだ子どもたちは、中学校に入っても、他の小学校を卒業した子どもよりも、良い成績を収めています」と、ガコラ学校のアブドン・ハビャリマナ校長が話します。

この学校での成果は、コミュニティの人たちの目にも留まるようになりました。ガコラ小学校の子どもたちの成績がよいという噂を耳にし、他の学校から子どもを転校させる親も出てきたのです。

ガコラ小学校は子どもに愛情を注いだ教育を行っている、と耳にしたケビンくんの両親は、ケビンくんをこの学校に転校させることにしました。

「昔通っていた学校では、特に女の子の友達は、体罰が怖くて学校を辞めたい、と言っていました。この学校では、誰かが悪いことをしたら、まずは先生がその子と話をします。その子が、再び同じことを繰り返したときは、校長先生が両親に連絡して学校に来てもらい、一緒に解決方法を探すのです」(ケビンくん)

健康で安全な学習環境

学校の手洗い所で石けんで手を洗う子どもたち。
© UNICEF Burundi/2015/Fernandez
学校の手洗い所で石けんで手を洗う子どもたち。

ユニセフ・ブルンジ事務所のソフィー・アキレス教育部門チーフは、教育省と密な連携を取りながら『子どもにやさしい学校』を促進していくことは、ブルンジのすべての子どもが質の高い教育を修了することができる社会を築くための、重要な取り組みのひとつだと語ります。

「『子どもにやさしい学校』では、子どもたちにとって安全で健康に良く、生活しやすい環境を作るとともに、教員の能力育成を行うことで、教育へのアクセスを促進させることを目指しています。ブルンジでは、参加型の教育方法の導入、学校のより良いガバナンス制度の導入、コミュニティ参加の促進という3つの柱を基に、このアプローチを進めています」と、アキレス教育部門チーフは話します。

「また、風通しのよい教室やトイレ、手洗い所の設置、下痢にかかるリスクを減らすための衛生習慣の促進も、健康に良く安全な学校環境のためには重要です」(アキレス教育部門チーフ)

『子どもにやさしい学校』の最も基本となる概念は既に国の研修プログラムに取り入れられており、平和的な学びの場や社会の結束、インクルージョンを促進させるため、紛争問題を考慮に入れたアプローチを取り入れることが次のステップであると、アキレス教育部門チーフは強調します。

「子どもにやさしい学校」=「女の子にもやさしい学校」

笑顔をみせるガコラ小学校の子どもたち。
© UNICEF Burundi/2015/Nijimbere
笑顔をみせるガコラ小学校の子どもたち。

女の子の社会への参加を促進し、だれもが参加できる学習環境を作るためには、ジェンダーに関する取り組みも必要です。

「以前、女の子たちは教室で男の子たちの後ろに隠れていました。しかしこの新しいアプローチのおかげで、今では女の子たちが教室の前の席に座り、男の子たちと一緒にグループワークをするようになりました」と、ガコラ小学校のオーガスティン・ダブンガニレ運営委員長が語ります。

よりよい衛生習慣の促進と共に、子どもたちのための安全で健康的な環境を作ることも大切です。これは、女の子が学校に通い続けるためにも必要不可欠です。ゲコラ小学校には清潔に保たれた男女別のトイレを利用することができ、子どもたちはトイレの外に設置された手洗い場で石けんを使って手を洗うことが習慣になっています。衛生習慣など、子どもたちが学校で学んだことを家庭でも取り組んでいる姿を、地域の人たちも喜んでいます。

「衛生的なトイレの重要性を子どもから教わり、トイレを新しく作った家族もいるんですよ」と、ダブンガニレ運営委員長が話しました。

ジョイスちゃんの中に育まれた自信は、学校での成績にも影響しています。

「最初の学期はクラスで36位でした。でも次の学期は、もっと成績がよくなる自信があります」と、ジョイスちゃんが笑顔で話しました。

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