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日本ユニセフ協会
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世界の子どもたち

東ティモール
子どもにやさしい学校
教育は子どもと国の将来の希望

【2015年10月7日  東ティモール発】

東ティモールでは、多くの子どもたちが質の高い教育を受けられておらず、15歳から24歳までの約4人にひとりは読み書きができません。ユニセフは、東ティモール政府が実施する「Eskola Foun(新しい学校)」イニシアチブを支え、東ティモールの子どもたちの教育支援を行っています。東ティモールを訪れた、東アジア・太平洋地域事務所のサイモン・ナーゼル広報官の報告です。

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教育は未来への希望

デルフィナさん(左)とエスペランサさん(右)は、現在、ユニセフが支援する子どもにやさしい学校で質の高い教育を受けています

© UNICEF EAPRO/2015/Simon Nazer

デルフィナさん(左)とエスペランサさん(右)は、現在、ユニセフが支援する子どもにやさしい学校で質の高い教育を受けています

東ティモールの都市から遠く離れた丘陵地帯に位置する、乾燥したほこりっぽい高原のラウアナ・グロト村で、ある家族が日々を必死に生きています。教育は、デルフィナさんやエスペランサさんのような若者にとって、より明るい未来への希望です。

ユニセフの支援で新しく建設され、必要な資材や設備も整えられた「子どもにやさしい学校」は、子どもや若者たちがよりよい環境で学習できるように、安全で健康的、かつ保護された場所なのです。

ともに13歳のデルフィナさんとエスペランサさんは、この支援によって学ぶ機会を得ました。

ユニセフはこれまでに、東ティモールで59校の「子どもにやさしい学校」を建設しています。それらの学校に加え、さらに62校に、学習教材の提供や教員研修の支援をしています。これらは、東ティモール政府による「Eskola Foun(新しい学校)」イニシアチブの一環で、ユニセフはこのイニシアチブを支援しています。

4人にひとりが読み書きできず

ユニセフは、東ティモールのラウアナ・グロト(Lauana Groto)村に、子どもに優 しい学校を建築し、資材や教員研修を提供しています

© UNICEF EAPRO/2015/Simon Nazer

ユニセフは、東ティモールのラウアナ・グロト(Lauana Groto)村に、子どもにやさしい学校を建築し、資材や教員研修を提供しています

しかし、東ティモールの多くの子どもたちが質の高い教育を受けられていません。15歳から24歳までの、約4人にひとりは読み書きができません。

2年前、この村の学校の様子は、今と全く異なっていました。

「以前、学校は本当にひどかったのです」とデルフィナさんは言います。「校舎は今にも崩れ落ちそうで、十分な数の椅子もなく、教室は生徒で溢れかえていました。雨が降ると床は水浸しです」

加えて、新しい学習教材や指導方法は、デルフィナさんに、以前よりもより学習環境を与えてくれています。彼女は笑みを浮かべて恥ずかしそうに、「私は今学校が楽しいの」と言い、「学ぶことが好きなの」と言っています。

東ティモールでは今もなお多くの学校が劣悪な環境にあり、子どもたちの学習成果も上がらず、多くが留年を経験しています。

多くの時間を家族の世話に

デルフィナさんは、クラスで一番の成績を収めています

© UNICEF EAPRO/2015/Simon Nazer

デルフィナさんは、クラスで一番の成績を収めています

東ティモールの多くの家族と同様に、デルフィナさんの家族もその日暮らしの生活を強いられています。

父親は亡くなり、残された母親のオランディーナさんも病気で、家族を養う手段はほとんどありません。「私は私の子どもたち全員を学校に送りたいのですが、どうすればよいのか、不安でいっぱいです」と6人の子どもを持つオランディーナさんは語ります。「子どもたちを学校に通わせることは困難です。制服やノートを買うお金がほとんどないのですから」

デルフィナさんは、多くの時間を家族の世話などに費やさねばなりません。

「デルフィナは私の一番下の娘です。私が病気だから、彼女はいつも私や家族のために料理をしてくれています」と母親のオランディーナさんは悲しげに語っています。「デルフィナは私の世話をしてくれるだけでなく、学校に行く前に井戸から水を汲み、それから朝食の準備をします。そして学校から戻ってくると、昼食を作り、服を洗濯し、そして夕食を用意してくれます」

デルフィナさんは「その他にも、コーヒーの木の周りの雑草を刈り、収穫期にはコーヒー豆を摘み取る手伝いをしています。だから、友達と一緒に過ごす時間は少ししかありません」と言います。

デルフィナさんは、学校から戻ると家族のための昼食を準備します

© UNICEF EAPRO/2015/Simon Nazer

デルフィナさんは、学校から戻ると家族のための昼食を準備します

デルフィナさんにとって、学校は彼女自身が本当に輝くことができる場所です。

「私は学校に行くのが好きです。数学、自然科学、テトゥン語、宗教学が好きです。よい成績を収めているので、 私はクラスで1番なんです」と誇らしげに言うデルフィナさんは、大きな希望を持っています。「おとなになったら、学校の先生になりたいのです」

子どもたちの将来のために、教育を

エスペランサさんの父親、マリアーノさんは十分な蓄えはありませんが、彼の子どもたち皆が確実によい教育を受けることを望んで、精一杯の支援をしています。

マリアーノさんが5人の子どもたちと暮らす家は、わずか2部屋しかありません。「エスペランサの母親が亡くなり、私が子どもたちの世話をしています。子どもたちは、私にとって最も大切な存在なのです」とマリアーノさんが語ります。「コーヒーを売って生計を立てていますが、子どもたちが靴や衣類、あるいは本を買うためにお金が必要となるなら、それに応えられるよう、私は最善を尽くします」

エスペランサさん(右端) 彼女の家の外で彼女の家族と一緒に

© UNICEF EAPRO/2015/Simon Nazer

エスペランサさん(右端) 彼女の家の外で彼女の家族と一緒に

マリアーノさんは、教育はエスぺランサさんにとっても、またアジアで最も若い国である東ティモールにとっても、明るい将来を築くために重要な手段であると考えています。「東ティモールは今や独立しており、私の子どもたちは学び、成長するチャンスを掴むべきなのです」

エスペランサさんは、新しい校舎が、学習の助けになっていると考えています。「多くのことを学べ、知識を増やすことができるので、学校が好きです」(エスペランサさん)

デルフィーナさんと同様に、エスペランサさんもまた教師になりたいと思っています。彼女も学校が大好きなのです。

より多くの子どもたちに支援を届ける

ユニセフはまた、子どもたちが教育を通して最大限の可能性を伸ばせるよう、教員を対象にした研修も支援しています。

ユニセフは東ティモール中にもっと多くの子どもにやさしい学校を支援したいと考え ています

© UNICEF EAPRO/2015/Simon Nazer

ユニセフは東ティモール中にもっと多くの子どもにやさしい学校を支援したいと考え ています

「グループワークが好きです」とエスペランサさんは言います。「多くのグループワークをすることで、先生から学ぶだけでなく、生徒同士で互いに学び合っています」

新しい学習環境を楽しんでいるエスペランサさんは、「先生が私たちにある課題を与えてくれると、私たちはグループみんなで考えを出し合い、その内容をまとめて、クラスに発表しなければなりません。以前は一人で勉強をしていたので、これほど学べることはありませんでした」と言います。

現在もなお、東ティモールの子どもと若者の数千人が、未だ質の高い教育にアクセスすることができません。ユニセフは、デルフィナさんやエスペランサさんのような若者や子どもをより多く支援するために、東ティモール政府と一緒に、子どもにやさしい学校などの教育支援を続けています。

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