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日本ユニセフ協会
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「南スーダン 紛争下の子どもたち」
南スーダン事務所代表による報告会
現地の活動を支える日本の支援


【2015年10月21日 東京発】

ユニセフ現地報告会「南スーダン 紛争下の子どもたち」が、10月21日、ユニセフハウスで開催され、ユニセフ・南スーダン事務所のジョナサン・ヴェイチ代表が、南スーダンにおけるユニセフの取り組みや日本の支援に関して報告しました。またゲストスピーカーとして、紀谷昌彦駐南スーダン大使にも登壇いただきました。

ユニセフ・南スーダン事務所のジョナサン・ヴェイチ代表。

© 日本ユニセフ協会

ユニセフ・南スーダン事務所のジョナサン・ヴェイチ代表。

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220万人以上が家を追われ

南スーダンは2013年12月に武力衝突が発生し、紛争が再発して以降、現在までに220万人以上が避難を余儀なくされています。国内で最も危険な地域であるユニティ州では、55万人以上が避難しており、上ナイル州には29万人以上が避難しています。これらの地域では紛争ゆえにアクセスも難しく、支援活動も困難な状況です。10月26日に和平協定が署名されましたが、戦闘や暴力は止んでおらず、女性や子どもがその標的となり避難を余儀なくされ続けています。

国外への難民、国内避難民の数が示された南スーダンの地図

© 日本ユニセフ協会

国外への難民、国内避難民の数が示された南スーダンの地図

子どもたちを襲う栄養危機

ジュバの病院で診察を受ける南スーダンの子ども。栄養不良と診断された。

© UNICEF/NYHQ2015-1399/Rich

ジュバの病院で診察を受ける南スーダンの子ども。栄養不良と診断された。

南スーダンは、ナイル川や世界でも肥沃な大地を持ちながらも、国民に十分な食糧供給ができていない状態です。紛争の影響で農業従事者が減少し、国内は深刻な食糧不足に陥っています。特にユニティ州は、世界でも最悪の食糧危機にあります。

食糧危機は子どもの生存に大きな影響を及ぼします。急性栄養不良に陥った子どもが支援を受けられない場合、健康的な体重の子どもに対し9倍近くの割合で命を落としてしまいます。ユニセフはWFP(世界食糧計画)と共同で行っている通常の食糧支援プログラムに加え、急性栄養不良の子ども約25万人に支援を提供しています。

感染症が蔓延、必要とされる衛生支援

ベンティウの国連施設内にある保護区に避難してきた人々。

© UNICEF/NYHQ2015-1412/Rich

ベンティウの国連施設内にある保護区に避難してきた人々。

ユニティ州の州都ベンティウにある国連施設に避難している人口は国内でも最大規模で、12万5,000人から13万人がひしめき合った状態で暮らしています。保健インフラが整っていない、不衛生な環境での避難生活では、感染症が大規模に蔓延します。ここ2年間、コレラやはしかなどを含め、子どもの命を奪う数多くの感染症の大規模な蔓延が大きな問題となりました。また、ナイル川周辺に位置しているベンティウは沼地が多く、マラリアを媒体する蚊が発生しやすいため、マラリアによっても多くの子どもたちが亡くなっているといいます。ユニセフは、避難民の人々をまもるためマラリア対策を実施しているほか、南スーダン全土において、コレラやポリオを含めた感染症の対策を進めています。

教育分野での革新

「バック・トゥ・ラーニング」が開始された日、「僕は学校に行くよ!」と書かれた幕を持つ、南スーダンの男の子。

© UNICEF/NYHQ2015-0233/Campeanu

「バック・トゥ・ラーニング」が開始された日、「僕は学校に行くよ!」と書かれた幕を持つ、南スーダンの男の子。

紛争開始前から教育水準が非常に低い状態であった南スーダン。独立前でまだスーダンだった時から35年間続いている紛争により、人々が教育を受けられる場所は、難民キャンプか外国でした。ユニセフは南スーダンの子どもたちが基礎教育を受けられるよう、様々な活動を展開しています。例えば、「バック・トゥ・ラーニング(再び学ぼう)」プログラムを通じて、30万人が教育を受けられるようになりました。また、南スーダンの歴史上初めて、南スーダンの歴史がカリキュラムに含められ、さらに統一された教育プログラムが策定されることになりました。これまでは教材も、書かれている言語も様々でしたが、これからは、1年生から8年生までが、ライフスキルや平和構築等を含んだ同じカリキュラムを学ぶことになります。

徴用される子どもたち

コブラ派から解放された、元子ども兵士たち。

© UNICEF/NYHQ2015-0505/McKeever

コブラ派から解放された、元子ども兵士たち。

ユニセフは現地のパートナーとの協力の下、武力勢力による子どもの徴用が行われないように監視していますが、この2年間に1万5,000人の子どもが武装勢力に徴用されていることが明らかになりました。先日結ばれた和平協定の中には、ユニセフは武力勢力に徴用された子どもたちの解放、その後の社会復帰まで、責任を持つと明記されています。ユニセフなどの呼びかけにより、武力勢力のひとつであるコブラ派からは、これまでに1,755人の子ども兵士が解放されています。解放された子どもたちは精神的トラウマを抱えており、長期的なケアを必要としているため、適切に保護し支援し続けなければ、再び武力勢力に戻ってしまう危険性もあります。そうさせないために、教育を受ける機会を作り、将来的には社会へ貢献できる人となれるような支援をしたいとユニセフは考えています。

日本の支援

日本の支援によって、ユニセフ・南スーダン事務所が子どもたちと家族に提供した蚊帳。

© UNICEF South Sudan/2015

日本の支援によって、ユニセフ・南スーダン事務所が子どもたちと家族に提供した蚊帳。

最後にヴェイチ代表は、「今、最も必要なことは平和です。和平協定を直ちに実行に移すよう、現在戦っている両側の人たちに訴えたいと思います。子どもたちや女性への暴力についても、訴え続けたいと思います」と話しました。50万張の蚊帳の提供や「バック・トゥー・ラーニング」キャンペーンへの支援など、日本からの支援は様々な分野で南スーダンにおけるユニセフの活動を支えています。ヴェイチ代表は日本政府および民間からの支援が、困難な状況下で展開される支援活動の支えとなっていると、日本の皆様への感謝の意を述べるとともに、より多くの方々に南スーダンの子どもや女性が置かれている困難な現状を知ってほしいと訴えました。世界で最も若い国である南スーダンは、若年層人口も急増しており、今ある危機に対処しなければ、地域全体にその危機が拡大してしまう可能性があります。

日本政府による支援活動

駐南スーダン日本大使の紀谷昌彦大使。日本政府の視点から南スーダンでの支援活動を紹介してくださった。

© 日本ユニセフ協会

駐南スーダン日本大使の紀谷昌彦大使。日本政府の視点から南スーダンでの支援活動を紹介してくださった。

続いて、駐南スーダン日本大使の紀谷昌彦大使が、ゲストスピーカーとして登壇。大使は、南スーダンには日本政府が派遣する自衛隊施設部隊が駐在しており、治安上の問題から現在日本人の渡航が制限されている中で、現地で活動する国際機関やNGOとの連携が人道支援において重要である、と述べられ、日本政府の視点から南スーダンでの支援活動を紹介されたほか、現地の人道支援団体と協力し、定期的な勉強会の実施や情報共有の場を設けて、各自の安全確保に取り組んでいると報告されました。

日本と南スーダンの結びつきを強化するために、現場でどのような貢献ができるのかを日々考えていると述べられた紀谷大使は、世界の中で日本に求められる姿勢に言及し、社会福祉政策など国内の色々な問題に取り組みながらも、世界の公共政策に協力することは、世界の中で生き延びていくために大事であり、政府、そして個人が、果たすべき役割を果たすことで、日本人が自己実現をしながら国際社会の平和と繁栄の実現の一助になれれば、と話されました。

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日本ユニセフ協会は、南スーダンなど、紛争下で人道危機にある国や地域で、困難な状況にある子どもたちのための緊急援助資金として、「人道危機緊急募金」へのご協力をお願いしています。皆様からのご支援をよろしくお願いいたします。


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