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日本ユニセフ協会
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ギニア
エボラ出血熱の影響を受ける子どもたち
多くを失った子どもたちに再び笑顔を

【2015年11月2日  カンカン(ギニア)発】

エボラ出血熱で両親や片親を失ったギニアの子どもたちにとって、遊びやグループ活動が、友達の輪に再び戻り、一緒に幸せを分かち合う、大切な役割を果たしています。

* * *

エボラによる偏見

遊び支援に参加して笑顔を見せる、エボラから回復したアッサちゃん(4歳)。

© UNICEF Guinea/2015/Gutcher

遊び支援に参加して笑顔を見せる、エボラから回復したアッサちゃん(4歳)。ユニセフはレクリエーション活動を通して、子どもたちの地域への再統合や心のケアを実施している。

ギニアのカンカン州ダルエスサラーム近郊で、ドッジボールや縄跳びで遊ぶ子どもたちの楽しそうな声が響き渡っています。

4歳のアッサ・コンデ・バーちゃんに縄跳びの順番が回ってきました。アッサちゃんが成功すると、周りの子どもたちから歓声が上がります。そして、アッサちゃんの顔は笑顔でいっぱいになりました。

2週間前、アッサちゃんと一緒に遊ぼうとする子どもは、誰一人いませんでした。エボラ感染から回復したアッサちゃんは、他の子どもたちに恐れられ、偏見の目を向けられていたのです。

偏見は多くの場所で共通してみられており、回復者だけでなく、犠牲者の親族も対象となります。ユニセフがパートナー団体と協力して行っているグループ遊びやレクリエーション活動は、エボラの影響を受けた子どもたちが円滑にコミュニティに戻ることができるようにするための支援の一つです。

9月中旬時点で、ユニセフは5,951人のエボラで両親か片親を失った子どもたちを確認・登録しました。カンカン州で暮らすそのうちの58人が、現在カウンセリングや支援を受けています。

遊びを通した子どもたちへの支援

現在、エボラで親を失った子どもたちも直接的な影響をそれほど受けなかった子どもたちと一緒に遊ぶ姿が見られるようになりました。ユニセフは子どもたちが再び地域に戻ることができるようにするための支援に加え、地域のボランティアで活動するカウンセラーたちが、子どもたちが必要とする心のケアを提供できるようにするための研修も行っています。

「遊び支援は、エボラ回復者の子どもたちが直面する可能性のある、あらゆる形の偏見を取り除く手助けをすることができます」と、ユニセフのパートナー団体のNGOスタッフでソーシャルワーカーとして活動するママドゥ・グエラジオ・バリーさんが語ります。「子どもたちは両親や大切な人を失っています。私たちは子どもたちの話に耳を傾け、一緒に話をしています」

母親をエボラで失ったランシーンくん(11歳)。

© UNICEF Guinea/2015/Gutcher

母親をエボラで失ったランシーンくん(11歳)。遊び支援が始まった9月からこの活動に参加している。

11歳のランシーン・ディアロくんは、エボラで両親を失いました。現在は父親が一人でランシーンくんの面倒をみています。ランシーンくんは9月に始まった遊びの活動に毎日顔を出しています。スポーツが大好きで、特にサッカーの日を楽しみにやって来ます。ランシーンくんは自身がエボラによる偏見に苦しむことはなかったと話してくれました。しかし、アッサちゃんがコミュニティに戻ってきたときには、遊びの輪に入れてもらえず、仲間外れにされているのを目にしたといいます。

「でも今は大丈夫です。みんなアッサちゃんと一緒に遊んでいます。もし仲間外れにされている人がいたら、『それは間違ってるよ』と、きちんと説明してあげます」と、ランシーンくんが話します。

遊び支援はランシーンくんにも、よい効果をもたらしているとバリーさんは考えています。「周りの友達が、ランシーンくんが母親の死を乗り越える力になっているのです」

地域のボランティアが支える活動

遊び支援の運営を担うボランティアのカウンセラーたちは、毎日やって来る子どもたちの興味を引き続け、新しい遊びを生み出す想像力が必要不可欠です。この重要な役割を担うカウンセラーたちは、村の評議会によって選ばれました。ユニセフはエボラで親を失った子どもたちが暮らすギニアのすべての村に評議会を設置するための支援も実施しました。ダルエスサラームでは遊び支援を週6回行っており、参加する子どもたちの人数は日を追うごとに増えています。円滑な運営のため、子どもたちは4歳~8歳、9歳~12歳、13歳~15歳、16歳~17歳の4つの年齢別グループに分けられています。

2015年1月以降、カンカン州ではエボラの症例は新たに確認されていません。しかし、子どもたちの安全を守るため、ゲーム前の手洗いと体温の測定は、今も必ず行っています。

家族への支援

ユニセフのパートナー団体で活動するソーシャルワーカーのバリーさん。

© UNICEF Guinea/2015/Gutcher

ユニセフのパートナー団体で活動するソーシャルワーカーのバリーさん。

心のケアに加え、エボラで親を失った子どもたちは、欧州委員会人道援助事務所(ECHO)や米国災害援助事務所(OFDA)、ドイツ政府、スウェーデン政府、アラブ首長国連邦による資金援助のもと実施される、さまざまな支援を受けています。

登録後、親を失った子どもたちの養育者には、子ども1人につき1カ月25ドル(最大75ドルまで)の現金給付支援を行っています。この支援で、子どもたちのための食糧や服、そのほかの生活必需品を購入することができます。ソーシャルワーカーたちは家を訪問し、家族が苦しい状況に対応できているか、お金が適切に使用されているかを確かめています。また、子どもたちには通学かばんやペンが入った通学キットや、歯ブラシや石けんが入った衛生キット、衣服や豆、米、油などが入った家族用キットも提供されます。

楽しい時間がまた、戻ってくるように

陽気な人柄のボランティア・カウンセラーの人たち。しかし、子どもたちの遊びには必ず一緒に参加し、プロフェッショナルな対応を行っています。そして、子どもたち全員が積極的に遊びに参加できるよう、子どもたちを上手に遊びに参加させていきます。子どもたちの信頼を得ていることは、目に見えて明らかです。

ある子どもが縄跳びを失敗してしまったとき、カウンセラーの一人がその子どもを列の外に出してしまいました。すると、カンカンで活動するユニセフ子どもの発達担当官のサラ・モウヨンは、カウンセラーと落ち着いて話を始めました。モウヨン担当官は、子どもたち全員が参加することが大切であること、もし失敗しても、すぐにその場から外されるのではなく、再びチャレンジする機会を与えることが大切だということを説明しました。

「支援プログラムの運営だけでなく、地域のボランティア・カウンセラーの人たちのマネジメントも私の重要な役割です。孤児となった子どもたちは、他の子どもたちよりも恥ずかしがり屋で、内気なことがあります。母親や父親の死が、彼らに重くのしかかっているのです。このプログラムは、子どもたちが遊びを通して再び日々の生活に楽しみを見つけることができるようにする力となっているのです」

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