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日本ユニセフ協会
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ウクライナ東部、紛争2年
紛争の影響を受ける子ども58万人
3人にひとりに心理社会的ケアが必要

【2016年2月19日  ジュネーブ/ニューヨーク/キエフ(ウクライナ)発】

ユニセフ(国連児童基金)は、ウクライナで2年にわたり続く紛争によって、同国東部の戦闘の最前線近くや政府支配下でない地域に暮らす58万人の子どもたちの生活に深刻な影響が及んでいると指摘しました。その子どもたちの3人にひとりに相当する20万人が、心理社会的支援を必要としています。

紛争で58人の子どもの生活に影響

ドネツク州デバリツェボの郊外にある防空壕に身を寄せる家族。(2015年2月撮影)

© UNICEF/UNI179968/Filippov

ドネツク州デバリツェボの郊外にある防空壕に身を寄せる家族。(2015年2月撮影)

「2年続く暴力や爆撃、恐怖が、ウクライナ東部の何千もの子どもたちに、消し去れない傷跡を残しています」と、ユニセフ・ウクライナ事務所代表のジオバンナ・バルベリスは述べています。「紛争が続くなか、身体的かつ心理的支援を必要とするこうした子どもたちのニーズに、一刻も早く応える必要があります」

21万5,000人以上の子どもたちが、紛争の影響を受けている地域からの国内避難を余儀なくされています。少なくとも5校に1校の学校が損壊あるいは破壊されています。昨年、子ども20人以上が殺され、40人以上が負傷しました。そのうち28人については、地雷や爆発物による犠牲です。さらにウクライナでは、19年ぶりにポリオの感染が確認されました。

無制限で無条件の人道支援を

ドネツク州の学校で黒板に“お父さん、お母さん”と書く子ども。

© UNICEF/UNI200695/Filippov

ドネツク州の学校で黒板に“お父さん、お母さん”と書く子ども。

基本的なインフラが損傷したことにより、最前線の地域一帯で暮らす約200万人に対する水供給が危機に晒されています。

気温が急激に下がるなか、燃料の不足や石炭の価格上昇によって、子どもたちが呼吸器感染症のリスクに晒されています。保健サービスへのアクセス欠如や医薬品の不足によって、さらなる病気発生の脅威が高まっています。

「ユニセフはウクライナの紛争に関わるすべての当事者に対し、子どもたちに必要な支援を届けるための活動に関して安全面を保証し、無制限で無条件の人道支援を認めるよう求めます」(バルべリス代表)

ユニセフの支援

キエフの医療センターでポリオの予防接種を受ける赤ちゃん。

© UNICEF/UN09100/Krepkih

キエフの医療センターでポリオの予防接種を受ける赤ちゃん。

ユニセフはパートナーと共に、子どもたちが必要とする基本的サービスを提供しています。これまでの活動の詳細は以下の通りです。

  • 4万6,000人以上の子どもたちに心理社会的支援を提供し、5,000人近くの教師や心理学者に、子どもが見せる苦痛や悩みのサインを識別するための訓練を実施
  • 160万人に安全な水を提供、16万4,000人以上に必要不可欠な衛生用品を提供
  • 教育キットと学用品を20万人以上の子どもたちに配布
  • 28万人近くの子どもたちに、地雷や不発弾の危険性を啓発
  • 政府支配下にない地域で暮らす、HIVと共に生きる8,000人(子ども含む)に抗レトロウイルス薬を配布、3万1,000人以上の妊婦にHIV検査を実施
  • 子ども470万人分のポリオワクチンを調達

ウクライナの紛争地域で暮らす最も脆弱な子どもたちの人道ニーズに対応する活動資金として、ユニセフは今年初め、5,430万米ドルの追加資金を要請しました。

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