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日本ユニセフ協会
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エチオピア
干ばつで悪化する子どもの栄養と保健
ユニセフ、はしかの予防接種を実施

【2016年4月27日  ティグレ(エチオピア)発】

エチオピアはこの数十年間で最悪の干ばつに見舞われ、子どもたちの間で栄養不良が増加し、はしかを含む感染症にかかりやすくなっています。干ばつの影響を受けている地域での感染症の流行を防ぐために、ユニセフとパートナー団体は、エチオピア政府による全国の2,500万人の子どもたちに対する予防接種キャンペーンを支援しています。

予防接種のために並ぶ子どもたち

ティグレ州の保健センターではしかの予防接種を受ける少年。

© UNICEF Ethiopia/2016/Balasundaram

ティグレ州の保健センターではしかの予防接種を受ける少年。

幼い子どもたちが、メレブ・ミエティ保健所で、看護師にはしかの予防接種をしてもらうために、シャツの袖をまって腕を出し、並んで順番を待っています。

怖がったり、泣き出したり、お母さんのドレスの中に顔を埋める子どもたちもいますが、注射が終わった後は、腕についた小さな注射の跡を見せ合ったりして保健所の前で遊んでいます。

今日は、エチオピアで干ばつの影響を最も受けている地域の一つであるティグレ州のエンデルタ・ウォレダ地域における、はしかワクチン予防接種キャンペーンの4日目です。このコミュニティの多くの子どもたちは、はしかの予防接種を受けたことがありませんでした。そのため、はしか流行の恐れがあります。特に、栄養不良に陥っている子どもたちは免疫力も下がっているため、感染リスクは高まります。

予防接種キャンペーン

ティグレ州の病院で生後9カ月の息子のはしかの予防接種を待っている母親セバさん。

© UNICEF Ethiopia/2016/Balasundaram

ティグレ州の病院で生後9カ月の息子のはしかの予防接種を待っている母親セバさん。

アレムネッシュ・テカさんは、コミュニティ・ヘルスの促進のために、各家庭を訪問している「女性健康向上隊」のボランティアのひとりです。30世帯を担当し、生後6カ月から15歳までの子どもたち全員が、予防接種を受けにくることを確認する役割を担っています。

「かつては、はしかに罹った子どもたちが命を落としてしまったり、視力を失ったり湿疹の症状が出ることがありました。みんなそのことを知っています。だから人々は、予防接種を受けることは重要だとわかっているのです」と、子どもたちに囲まれながらアレムネッシュさんが語ります。

アレムネッシュさんは、自らの若いときの経験から、はしかの危険性を知っています。「以前は、子どもたちははしかに罹って命を落としてしまったり、視力を失ったり、皮膚に発疹ができたりしていました。なので、村人ははしかの予防接種の重要性を理解しています。私が住んでいた村ではしかが流行しときには、6人の子どもたちが死にました。私の姉妹も死にました」

学齢期の子どもたちは、学校で行われる予防接種プログラムを通して接種を受けますが、この干ばつの影響を受けている地域の保健所に集まってくる子どもたちは、未就学の幼い子どもたちです。

干ばつによる環境悪化

ティグレ州の病院で9カ月の双子ハッセンちゃんとフセインちゃんが予防接種を受けて、喜ぶ母親メルディヤさん(23歳)と祖母マハラさん(50歳)。

© UNICEF Ethiopia/2016/Balasundaram

ティグレ州の病院で9カ月の双子ハッセンちゃんとフセインちゃんが予防接種を受けて、喜ぶ母親メルディヤさん(23歳)と祖母マハラさん(50歳)。

はしかは、水滴や空気を通して感染しやすい疾病で、肺炎や下痢、脳への影響などの重度の合併症を引き起こすことがあります。

現在エチオピアが直面しているような干ばつの影響を受ける地域では、はしかの流行の脅威が高まります。子どもたちの栄養状態が悪化し、免疫力を低下させ、疾病と合併症にかかりやすくなるからです。

ユニセフは、世界保健機関(WHO)、はしか・風疹イニシアティブ、アメリカ合衆国国際開発庁(USAID)などのパートナー団体と協力して、エチオピア政府保健省による干ばつの影響を受ける地域の生後6カ月から15歳までの子どもたち2,500万人への予防接種キャンペーンを支援しています。

ヒンタロ・ウェジェラット・ウォレダにある、Adi Gudom病院の外で、セバ・メハリさん(22歳)が予防接種を受けたばかりのぐずっているサミュエルちゃん(9カ月)をあやしています。セバさんが7歳のとき、村ではしかが流行したのを覚えています。サバさんのお姉さんも感染者のひとりです。

「姉は長女で、その後は全員が予防接種を受けるようになりました」、とセバさんは語り、どのように「女性健康開発隊」から予防接種キャンペーンのことを聞いたかを語りました。他の女性たちも、テレビの公共放送や、学校で子どもたちが聞いてきたことから、このキャンペーンのことを知ったと話しました。

娘と孫2人と一緒にヘルス・センターに来ていたマハラ・アブデルラハマンさん(50歳)は、自身が幼いとき、はしかは村の生活に大きな影響を与えていたと言いました。

村でははしかに罹った人たちに、特別な食事を与え、感染した家族を隔離することで対応しようとしていました。マハラさん自身も感染し、一時は身体が傷だらけになり、眼感染症にもなりました。

「政府が無料で予防接種をするようになったので、今でははしかは問題ではなくなりました」

干ばつの影響を受ける人々への保健対策の一環として、ユニセフは財政的な支援、医薬品などの物資の提供、パートナー団体に対し、子どもの病気や死亡の主な原因の予防についての技術的な支援を実施しています。エチオピアで、子どもがかかる病気は、急性の下痢、下痢を伴う疾患、ワクチンで予防できる疾患、疥癬や髄膜炎など多様です。ユニセフは、牧畜が盛んな地域での巡回診療や栄養チームの支援もしています。

干ばつによる緊急事態のファクトシート

食糧支援が必要な人 1,020万人
飢餓、疾病や水不足の危機にある子ども 6,000万人
中度の急性栄養不良の治療によって恩恵を受ける5歳未満児と妊婦・授乳中の女性 250万人
重度の栄養不良の治療を受ける5歳未満児 45万8,000人
干ばつの影響によって、質の高い教育の機会を手に入れられない学齢期の子どもと若者 210万人
安全な水と基本的なトイレへのアクセスが必要な人 580万人
虐待やネグレクト、搾取、暴力からの保護が必要な子ども 100万人
国内避難民 73万4,931人

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