メニューをスキップ
日本ユニセフ協会
HOME > ニュースバックナンバー2016年 >

世界の子どもたち

シエラレオネ
命を守るレポートシステム
携帯電話のSMSを活用

【2016年11月21日  ポート・ロコ(シエラレオネ)発】

シエラレオネで、携帯電話のショートメッセージサービス(SMS)を活用したレポートシステムの運用が開始されました。このシステムによってレポート(報告)がより迅速で透明性の高いものになるとともに、国内全土の保健ケアに必要な物資の在庫状況を把握し、最も必要としている人たちへ計画的に供給する助けにもなっています。

携帯のショートメッセージで到着を報告

携帯端末からRapidProを通じて、到着した薬や医薬品のレポートを行う保健員。

© UNICEF Sierra Leone/2016/Mason

携帯端末からRapidProを通じて、到着した薬や医薬品のレポートを行う保健員。

看護師であるカビル・コボさんは、勤務先に物資が届くと、真っ先に自分の携帯電話を取り出し、レポートの準備を始めます。手順に従ってSMSで簡単な質問に応えると、その情報は国レベルで共有されます。こうして、保健衛生省は、物資が確実に目的地に到着したことを、即座に把握することができます。
これらの物資は、欧州連合(EU)、英国国際開発省(DfID)、米国国際開発省(USAID)からの資金援助を受けてユニセフが調達し、シエラレオネ政府による無料保健ケアプログラムの一環として、5歳未満児、妊産婦、授乳中の母親たちに無料で提供されています。

支援物資の輸送状況を追跡

ポート・ロコの病院に到着した保健ケア物資。ここは、政府による保健イニシアティブが行われている国内1,200の施設のうちの一つ。

© UNICEF Sierra Leone/2016/Mason

ポート・ロコの病院に到着した保健ケア物資。ここは、政府による保健イニシアティブが行われている国内1,200の施設のうちの一つ。

政府が運営する国内全土の保健施設1,200カ所に、物資が確実に届くことは、支援に関わる誰もが望むことです。USAIDの協力と、ユニセフのRapidPro(ラピッド・プロ)の活用により、携帯電話を使った物資輸送状況の追跡ができるようになりました。

システム運用開始に先立ち、保健衛生省とユニセフは共同で、保健員を対象にした研修を行いました。国内各地から集まった保健員たちは、自分の携帯電話でレポートを行えるよう、システムの運用方法に関する研修を受けました。

「システムを理解し、最大限有効活用してほしいと思います。そうすることで、日々の仕事の負担が軽減されるとともに、地域ドナーや政府、コミュニティから信頼が寄せられると期待しています」とユニセフ保健専門官のディアナ・コロマは、研修に参加した保健員たちを励ましました。

国内全ての医療施設は、医薬品や物資の受け取り後、24時間以内にSMSを通じてレポートをします。以前のシステムでは、特に遠隔地においては数日を要していた作業です。紙の報告書を人から人へ手渡していく方法は、非常に時間がかかり、医薬品が実際に届いたかどうかの明確な情報を得るのはとても困難でした。

ところが、今では同じ作業が、たったのワンクリックでできてしまいます。「より簡単で、レポートを直接受け取れるツールを得たことで、仕事が簡略化されました」とヌース・カビルさんは言います。「必要なものは、充電してある携帯電話とモバイルネットワークだけです。インターネットの接続や、モバイル・クレジットすら必要ありません」

無料の保健ケアを幼い子どもと妊産婦に

産前学級に参加する妊婦の女性たち。政府による無料の保健ケアイニシアティブによって、5歳未満の子どもと同様、妊婦や母乳育児を行っている女性も、無料で医療サービスを利用できる。

© UNICEF Sierra Leone/2016/Mason

母親学級に参加する妊婦の女性たち。政府による無料の保健ケアイニシアティブによって、5歳未満の子どもと同様、妊婦や母乳育児を行っている女性も、無料で医療サービスを利用できる。

ポート・ロコ地区の政府が運営する病院では、地域の薬剤師が、新たに開始された無料の保健ケアプログラムについて注目しています。多くの妊婦たちが母親学級に通うようになりました。「無料の保健ケアプログラムは、シエラレオネの妊産婦や小さな子どもたちにとって大きな支えとなっています」と妊娠8カ月で、母親学級に5カ月以上通っているカディジャ・コロマさんは言います。「今は、クラスを休む理由がありません。無料で受けられるから、お金の心配をする必要がないのです」

シエラレオネでは、母親や子どもの健康を向上させるための努力が続いています。新しいシステムによって集められるデータは、国内全土のすべての人、特に、物資を最も必要としている人たちに、確実に物資を届けようとする政府の取り組みに、今後も役立ち続けることでしょう。

シェアする


トップページへ先頭に戻る