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日本ユニセフ協会
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シリア
アレッポ東部から避難した子どもたち
ユニセフ、命を守る支援を届ける

【2016年12月29日  アレッポ(シラク)発】

昨年11月24日にアレッポ東部での戦闘が再発して以来、この地域の少なくとも4万人が避難を余儀なくされており、その半数は子どもたちです。アレッポで活動するユニセフは、パートナーとともに、すべての子どもたちに命を守る支援を届けています。

着の身着のままで

アレッポ東部で暮らすハサンくん(10歳・左)とその友達が、給水所まで歩いて水を集めている。

© UNICEF/Syria/2016/Al-Issa

アレッポ東部で暮らすハサンくん(10歳・左)とその友達が、給水所まで歩いて水を集めている。

アレッポ市内から避難してきた家族にとって、その道のりは辛く、混乱を極めており、恐怖に満ちていました。子どもたちの多くは、保護者の同伴がなく、あるいは家族と離ればなれになっており、恐怖のなか独りきりで避難所に到着しています。

避難の際、身の回りの物をかき集める時間も、どう避難するかの計画を立てる時間もありませんでした。おとなはがれきが散らばった道を車いすが通るのを手伝い、他の人は年老いた人々を背中におんぶしました。子どもたちは、自分よりも幼い弟や妹の腕をしっかりとつかみ、激しい戦闘の中を、建物から建物へと走り抜けました。

独りで避難所に到着する子どもたち

2週間前、アレッポ東部から避難していた家族が、幼い女の子を見つけました。2歳くらいでしょうか、がれきの中を独りでさまよいながら、怯え、混乱していました。

避難所までの道のりで、その女の子は「ママ、パパ」と叫び続けました。けれども、女の子の両親はどこにもいませんでした。女の子はソーシャルワーカーに連れられてアレッポ西部の児童養護施設に保護されるとともに、女の子の写真は、ジブリーン避難所で子どもと両親との再会に取り組む緊急チームに共有されました。ジブリーン避難所は、アレッポ郊外に設置された避難所の一つで、多くの国内避難民の人々が身を寄せています。

女の子が両親と再会できたかどうか、そして両親の生死は、依然として分かっていません。

この女の子の状況は、決して珍しいことではありません。8歳のアマルちゃんは、9人の兄弟姉妹と父親、祖父とともに、アレッポ東部と西部の間に位置する道を通って避難しているとき、片足を負傷し、家族と離ればなれになってしまいました。その後アマルちゃんは、他の人たちとともに、ジブリーン避難所を目指しました。

避難所に到着してすぐ、アマルちゃんは病院に行きました。そこで出会ったのがファティマさんという若い女性です。ファティマさんは、アレッポ東部への爆撃によって、家族を失いました。

「アマルに出会ったとき、私たちには多くの共通点があると感じました」とファティマさんは言います。「アマルと約束したんです。彼女の両親が見つかるまで、私がしっかりと面倒を見るって。姉のようにね」

戦争の悲惨な現実

シリアのジブリーンにある大きな倉庫の中に身を寄せている家族。

©UNICEF/Syria/2016/Al-Issa

シリアのジブリーンにある大きな倉庫の中に身を寄せている家族。

アマルちゃんとファティマさんは現在、ジブリーン避難所に戻って生活をしています。ソーシャルワーカーが、彼女たちが生き延びた家族と再会できるよう、懸命に探しています。

ユニセフ・シリア事務所のハナア・シンガー代表は、「戦争の悲惨な現実は、子どもたちが両親や保護者から離ればなれになってしまうことが、頻繁に起きるということです。私たちの優先事項は、家族を捜す間、子どもたちに安全な場所とケアを提供することです」

ジブリーン避難所で暮らすファティマさんは、20歳の時に夫と死別しました。結婚してからわずか数カ月後に、夫は爆撃によって殺されたのです。

「自宅を離れようとした日の前夜に、私が負傷しました。今でも足には爆弾の金属片が残っています」とファティマさんは言い、アレッポ東部から彼女や両親がどのように避難したかを詳細に語ります。「明け方に、近所の人たちが自宅のドアをノックしたとき、母は負傷した私の足に布を巻いてくれ、私たちは即座に出発しました。出血していて、歩くことが難しかったのですが、年老いた両親も走っていました。私は父の手を握りました。両親を見失ってしまうのがとても怖かったからです。痛みが身体を走り、私は転んでしまいました。数分間の間、人々が私の身体を踏んでいきました。決して生き延びることはできない、と思いました」

ファティマさんは続けます。

「けれど幸運にも、誰かが私を引っ張り上げてくれたのです。私たちは、何が待ちうけているかも知らず、恐怖の中、息をひそめて、歩いていました。すると、大きな音が聞こえ、子どもたちが叫び声を上げました。後ろを歩いていた5人家族が地雷を踏んで、全員が即死したと、後で分かりました」

ファティマさんは、ジブリーン避難所に到着してすぐ、治療のために病院に運ばれました。

ユニセフの支援

アレッポ東部にユニセフが設置した給水所に行き、水をポリタンクに入れる男の子。ユニセフは毎日トラックで給水所に水を運搬している。

©UNICEF/Syria/2016/Al-Issa

アレッポ東部にユニセフが設置した給水所に行き、水をポリタンクに入れる男の子。ユニセフは毎日トラックで給水所に水を運搬している。

アレッポで活動するユニセフのチームは、ジブリーン避難所に到着するすべての子どもたちに、命を守る支援を届けています。中には、家族と離ればなれになったアマルちゃんのような子どもも含まれます。ユニセフは緊急支援として、1日に600万リットル以上にのぼる給水支援、水タンクやトイレの設置、重要な衛生用品の配布などを行っています。また、プライマリ・ケアや予防接種、戸別訪問による子どもの栄養チェック、栄養不良治療などの保健ケアも届けています。

紛争の影響を受けている何万人もの子どもたちが、心理社会的ケアを通じて、苦痛や悩みに対処するサポートを受け、再び子どもでいられる機会を得ています。

ユニセフは、冬の気候に対処するのに必要な冬用衣類や毛布を避難している家族に提供するとともに、子どもたちが教育を続けられるよう、避難所の敷地内にプレハブ教室を設置し、補習授業をおこなっています。

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