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日本ユニセフ協会
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中央アフリカ共和国
子どもたちにとって世界最悪の国 市民が標的の紛争
国民の5人に1人が家を追われる

【2017年8月15日  ジュネーブ/ニューヨーク発】

本日、国連ジュネーブ事務所における定例プレスブリーフィングで、ユニセフ(国連児童基金)中央アフリカ事務所広報チーフのドネイグ・レ・ドゥ(Donaig Le Du)が、同国の状況について下記の通り報告しました。

子どもたちにとって世界最悪の国

Bangui, Nov 13, 2015: Children play table football in Bangui’s airport Mpoko camp for internally displaced persons. During the summer of 2015 security had started to improve in town and the site was slowly getting ready to be shut down. A new outburst of violence in Sept and Oct led to new displacements.assistance to cash assistance. It is an empowering and dignified form of support to children and their families, with a positive effect on the local economy and with lower administrative costs.

© UNICEF/UN08038/Le Du

バンギにある国内避難民キャンプで、テーブルゲームで遊ぶ子どもたち。(2015年11月撮影)

私たちは、過去3年間、中央アフリカ共和国が子どもたちにとって世界最悪の国のひとつだと訴え続けてきました。残念ながら、その事実はさらに深みを増しています。そして、この危機は、世界の人々の目やメディアからはるか遠く離れた場所で起きているのです。

この1年間、中でも特にここ3カ月間に、暴力が劇的に増加しました。現在、国内避難民の数は60万人と推定され、44万人だった4月末から2、3カ月で大幅に増加したことになります。この60万という数字は、危機が頂点に達した2014年4月と同じ数字です。そして、近隣諸国に逃れ難民として暮らす人々が48万人います。中央アフリカ共和国の推定される人口500万人強のうち、5人に1人が難民あるいは避難民になったことになり、その半分は子どもが占めます。

暴力のスパイラル

中央アフリカ共和国が暴力のスパイラルに陥っている状況を見ることは困難です。首都バンギは落ち着いています。しかし、道路は状態が悪い上に、雨季と政情不安が重なり、地方への通行はほぼ不可能になっています。携帯電話の利用可能エリアは限られています。その例として、今月初めにガンボで、6人の赤十字のボランティアたちが殺害された事件は、報道されるまでに2日間かかりました。

しかし、バンギ以外の国土の3分の2は武装勢力により支配されています。最近の暴力の影響を受けている町や村では、学校が閉鎖されています。教員は学校に行くことができません。いくつかのNGOが撤退し、保健サービスは停止しました。支援物資が略奪されています。ある保健センターでは、太陽光発電冷蔵庫に取り付けられていた太陽光パネルが盗まれたことで、ワクチンを保冷できず予防接種ができなくなりました

武装勢力から解放され、一時受け入れ所へと走る子どもたち。(2015年8月撮影)

© UNICEF/UNI195249/Le Du

武装勢力から解放され、一時受け入れ所へと走る子どもたち。(2015年8月撮影)

過去数週間および数カ月の間、凄まじい子どもの権利侵害が報告されています。正確な数字を把握することは不可能ですが、私たちは事実として子どもたちが殺害され、性的暴力を受け、武装勢力により徴用・徴兵されていることを知っています。また、子どもたちは直接的ではないものの、長期的に影響が残る暴力も受けています。家を追われ茂みに隠れて暮らすことを余儀なくされ、教育や保健サービスを受けられない状況に置かれています。

世界で最も人道支援を届けることが危険な国に

中央アフリカ共和国の紛争の特殊性として挙げられるのが、武装勢力同士の戦闘が極めて少ないことです。その反面、彼らは、相手側の一般市民を攻撃します。そして、国連中央アフリカ多面的統合安定化ミッション(MINUSCA)や人道支援従事者に対する攻撃を強めています。

主要国際NGOは、昨日国連事務総長に届けた公開書簡の中で、中央アフリカ共和国では、世界で起きている人道支援従事者に対するすべての攻撃の3分の1を占めるほど、人道支援従事者に対する暴力のレベルが世界で最も高くなっており、世界で最も人道支援を届けることが危険な国であると指摘しています。

中央アフリカ共和国の人道危機は、世界で最も開発の遅れた国で起きています。中央アフリカ共和国は人間開発指数表の最下位、188国中188位に位置しています。しかし、世界は中央アフリカ共和国の子どもたちを見放してはなりません。今、彼らに目を向け、手を差し伸べようとする人々はほんの僅かしかいないのです。

ユニセフは現在、バンギ事務所とBambari、Bouar、Bossangoa、およびKaga の4つのフィールド事務所から支援活動を実施しています。6月と7月には、即応対応メカニズムの仕組みを使い、10万人以上に非食糧支援物資を届け、3万7,000人に水と衛生分野の支援を提供しました。また7万5,000人の子どもを対象に、子どもにやさしいスペース140カ所の設置および避難民キャンプや支援が届きにくい地域には仮設学習スペースの設置を支援しました。2014年以降、1万人以上の子どもたちが武装グループから解放されました。ユニセフは教育、保健および社会福祉分野の担当省庁と協力し、基本的かつ命にかかわるサービスの復旧を支援しています。

ユニセフが年初に、中央アフリカ共和国の子どもたちに対する人道支援に必要な額として要請した4,630万米ドルのうち、獲得できたのは42%に留まっています。必要な資金額はその後5,280万米ドルに上方修正されたため、63%の資金が不足しています。

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