新ユニセフハウスに関する記事について

平成13年5月23日
財団法人日本ユニセフ協会
会長 澄田 智

新ユニセフハウスの建設については、5月17日発売の週刊誌において、当協会の意図とは異なった内容の記事が掲載されましたので、以下に当協会の基本的な立場を説明いたします。
なお、新ユニセフハウスについては、3月27日付けの読売新聞に、"子ども自身が学ぶ新拠点としてのユニセフハウスがオープンする"という趣旨の記事が掲載されておりますので、参考までに同記事も転載(←こちらをクリックしてください)させていただきます。

1.新ユニセフハウス建設の目的

世界の子どもたちの現状を学ぶ場としてのユニセフハウス
日本ユニセフ協会には、これまで、日本中の多くの小・中学校の児童生徒のグループから途上国の子どもたちについての学習のための来協希望が寄せられて参りましたが、事務所が狭隘なため残念ながらこれに対応することが出来ずに推移して参りました。新ユニセフハウスは、これらの子どもたちが広く世界の現状を学ぶことができる施設として建設されるものです。例えば、紛争地の被害者テントなどを再現して、今世界で起きていることをリアルに伝える、といったことができる場なのです。
そのために、新ユニセフハウスにはユニセフの基本的な情報を提供するミニシアター、シンポジウム開催が可能な130名を収容できる会議室、30名を収容できる中会議室が2室、7台のコンピューターを備えた学習スペース、胎児期/乳幼児期、学齢期、思春期、子どもの保護、子どもの参加といったテーマ別の常設展示コーナーなどが1階および2階に設けられます。
さらに、3階から5階にも事務スペースの他に、ユニセフ・ボランティアやユニセフ子どもネットワーカーが集まって、話し合いをしたり、作業をするスペース(会議室)が設けられます。

国際協力講座、海外派遣、インターン教育の拠点としての新ユニセフハウス
新ユニセフハウスは、日本ユニセフ協会が、ユニセフの活動を中心とした国際理解・国際協力の推進など、その使命を一層果たしていくために企画している「国際協力人材養成プログラム」の実施拠点となるものです。
「国際協力人材養成プログラム」は、ユニセフ国際協力講座、インターンの受入、NGOスタッフの国内および海外研修などを柱としており、国際的な開発協力の世界で活躍できる人材の養成を目指すものです。

その他
当協会の活動の拡大、オフィスのIT化の進展に伴い、事務所スペースが狭隘となり、業務に支障をきたしています。現在、正規職員37名に加え、アルバイト15名、さらに多くのボランティアの方が活動していますので、さらなる労働スペースの確保が必要なのが現状です。

2.新ユニセフハウス建設を決断した背景

土地および建設コストが著しく低下し、昭和44年度より31年間にわたり積み立ててきた「会館建設積立金」(平成12年度末で25億円)による建設が可能となりました。さらに、賃貸ビルを借用し続けるより、土地・建物を所有するほうが、当協会の財産として残り、かつ経費の節減にもつながります。

3.建設所在地について

当協会が目指した立地条件は、子どもたちが来訪するにあたって、周囲の環境が良く、また交通至便であることです。
都内十数ケ所を検討した結果、港区高輪の物件が購入可能な価格で入手できました。

所在地:郵便番号108-8607 港区高輪4-6-12
    (学習スペース、展示スペース、会議室4室、事務スペース 他)

4.日本ユニセフ協会とユニセフ(国際連合児童基金)の関係

日本ユニセフ協会は、世界37ケ国にあるユニセフ国内委員会の一つです。ユニセフ国内委員会は、ユニセフ(国際連合児童基金)と「協力協定」と呼ばれる公式文書を締結しており、同協定は「ユニセフ国内委員会は各国の市民社会においてユニセフの利益を代表し、かつ促進する、ユニセフの唯一のパートナーである」と定めています。また、日本ユニセフ協会の事業は、ユニセフとの間で行なわれる定期協議の場で合同計画を作成し、同計画に基づき実施されています。

5.日本ユニセフ協会の経費財源

ユニセフ国内委員会は、ユニセフとの「協力協定」に基づき、募金活動のための費用や運営のための費用、アドボカシー(政策提言)その他の各種支援活動をまかなうための資金として、国内委員会の募金およびグリーティングカード・プロダクツの収入の25%以内、および日本ユニセフ協会会員の会費・補助金・雑収入を協会の活動経費として留保することが認められています。この活動経費は、管理費約4%を除き、募金活動のための資料作成・配布費、広報活動費、各種普及啓蒙活動費などに使われています。
新ユニセフハウスの建設資金は、上記活動経費を節約しながら、31年間にわたって積み立てられてきたものです。
また、この建設資金は、毎年度の収支決算書に「会館建設積立金」として計上され、日本ユニセフ協会の認可官庁である外務省にも報告されております。また、この収支決算書は開示を義務付けられており、ご希望があれば、当協会においてどなたでも閲覧することが可能です。平成7年度(1995年度)から発行されている協会年次報告書では積立預金支出として一般にも開示されています。

6.ユニセフへの拠出額と募金経費

みなさまからお預かりした募金の75%以上は日本ユニセフ協会よりユニセフに送金され、子どもたちを支援するための活動やユニセフの諸事業経費にあてられています。
募金収益の25%までは当協会の国内での募金活動費、啓発宣伝費、管理費等の事業経費とさせていただいておりますが、当協会では、より多くの子どもたちに支援が届くように、事業の効率的な実施とユニセフの活動への御理解を頂くための広報活動に努めております。
その結果、日本ユニセフ協会は、1992年度より2000年度までの9年間で、ユニセフに対して473億7325万6791円を拠出させていただくことができました。
この間の対ユニセフ拠出金の増加(1992年度26億5433万5508円、2000年度89億2200万円)は、上記の活動経費を有効に使わせていただき、ダイレクトメール募金、ユニセフ・マンスリーサポート・プログラム(月々のお引き落としによる募金)、遺贈など新しい募金プログラムを実行してきたことの賜物であります。

日本ユニセフ協会による対ユニセフ拠出金額の推移

年度
拠出額(円)
1990
2,150,165,298
1991
2,655,729,000
1992
2,654,335,508
1993
3,131,358,164
1994
3,603,854,841
1995
4,514,159,000
1996
5,000,599,000
1997
5,754,949,000
1998
6,350,000,000
1999
7,422,000,000
これからも、皆様からのご支援を最大限に活かし、世界の厳しい状況におかれた子どもたちを支援する活動を続けてまいりますので、何卒、ご理解と引き続きのご協力をお願い申し上げます。

以上