(財)日本ユニセフ協会  

ユニセフ協会からのお知らせ

平成17年7月25日

経済産業省発表(7月22日付)に対するユニセフの見解


表記の経済産業省について、7月25日、ユニセフは、以下を主旨とするコメントを発表しました。

1.旧通産省への支払いについて
ユニセフは昭和36年より、途上国に支援物資として送るための日本製品の買い付けを、旧通産省への業務委託を通して開始。委託を通して買付けした物資には、BCGなどのワクチンや学校建設用の資材などが含まれていた。この業務委託の際、品物の代金とは別に、ユニセフは、合法的な合意の下に、総買付け額の1%を、業務代行の経費として通産省に支払った。この支払いは、業務委託を全て終了し、新たに日本にてユニセフの専属職員が配置され、引き継ぐまでの昭和45年頃まで続けられた。即ち、これは委託した資金ではなく、正当な合意のもとに取り決められた経費としてユニセフが通産省に支払ったものと理解する。

2.「事務管理費」について
以上、これは「通産省に委託したユニセフの事務管理費」ではなく、経費として支払ったものであり、支払いの時点でユニセフとしての会計処理は完了したものである。その後の同省内部における会計上の扱いについては、ユニセフには管理上の責任は全くない。一部メディアの報道の中で、同省内部におけるこの資金の不適切な管理と、ユニセフとの関連性が強く示唆されたことについては、非常に遺憾なことである。

3. 今後の対応について
以上のことから、この資金は合意の元に正当に支払われた経費であり、ユニセフとしては、支払った時点で経理処理を完了しているものであるため、もし経済産業省として、ユニセフに引き渡したいということであれば、「返還」ではなく、「寄付」という形をとることになると理解する。

4.(財)日本ユニセフ協会との関係について
財団法人日本ユニセフ協会は、昭和30年に、ユニセフの活動を支援するために設立された。同協会、及び同協会が民間より集めた募金は、この問題には一切関わりはない。

5. 日本政府との関係について
ユニセフは、昭和24年から昭和39年まで、日本に対して粉ミルクや子どもの衣類を作るための原綿などを供与するなど、日本の戦後の復興支援に努力した。同時に、未だ戦後復興の途上にあった昭和26年より、日本政府はユニセフへの任意拠出を現金・現物の両方を通じて開始した。また、これらの拠出とは別に、昭和36年より、高品質で安価な日本製品の買付け業務が始まり、これにより途上国各国の子ども達が予防接種を受け、学校教育を受けられるようになったことを高く評価している。なお、この買付け業務を通して日本製の予防接種のワクチンを受け取った国には、フィリピン、パキスタン、アフガニスタン、スリランカ、ラオス、パプア・ニューギニア、ミャンマー、グアテマラ、トンガ、バングラデシュなどが挙げられ、多くの国々の子ども達の命が救われ、各国の復興、発展に寄与したものである。尚、現在、ユニセフの支援物資の調達購入は全てユニセフが直接行っており、他国政府に対し、こうした業務委託は行っていない。


平成17年7月28日

(財)日本ユニセフ協会から経済産業省への申し入れ
(送付文書要旨)

7月22日(金)の貴省による発表では、当該の金員があたかもユニセフからの預かり金であったかのような誤解を与える説明がなされたため、一部新聞で「預かった事務管理費の残金を返還せず引き継いできた」等と報道され、ユニセフの資金管理に対する疑念、および、不正に対する加担の誤解と疑念を多くの国民に与える結果となりました。そのため当協会には多くの支援者から苦情と叱責が寄せられ、実質的な損害すら生じつつあります。

本件に係わる金員については、預け金ではなく、ユニセフは正当な取り決めに基づく業務代行経費であり、金員が貴省大臣官房会計課に保管されていたことは、貴省内部の問題であっても、ユニセフの側には何らの責任が無いことは、現在までの調査で確認されています。ユニセフとの関連に言及される必然性は無いにも拘わらず(貴省は)それに言及・示唆し、ユニセフの名誉を傷つける結果となりました。よって(財)日本ユニセフ協会は、日本においてユニセフを代表する唯一の民間組織として、貴省に対し強く抗議するとともに、国民のユニセフに対する信頼を回復するためにも、文書による謝罪を求めます。

|トップページへ先頭に戻る


(財)日本ユニセフ協会