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ユニセフ協会からのお知らせ

ユニセフ 2008年版『人道支援活動報告書』を発表
世界中の「忘れられた緊急事態」に、国際社会の支援を要請

【2008年2月12日 ニューヨーク発】

UNICEF/HQ07-0159/Pirozzi
© UNICEF/HQ07-0159/Pirozzi
貧困や紛争の再発で苦しむこのチャドの子どものような状況に置かれている、世界中の緊急事態に巻き込まれた子どもや女性への支援を訴えるため、ユニセフは「人道支援活動報告書」を発表しました。

ユニセフは12日、世界の緊急支援活動の原状を伝え、世界39カ国での同活動の維持に必要な資金を国際社会に要請する『人道支援活動報告書』を発表しました。

各地で拡大するユニセフの緊急支援活動。通常の事業予算だけでは、その維持・展開が難しくなっています。本報告書は、パキスタンやウガンダ、スーダン、コンゴ民主共和国などを中心に、ユニセフが世界中で展開する緊急支援活動に必要な資金、8億5000万ドル(約916億円)の支援を要請しています。

「ソマリアやコンゴ民主共和国、イラク、ジンバブエ、そしてスーダンなどの国や地域で、女性や子どもが紛争や自然災害など、悪化し続ける状況の最大の被害者なのです。」 アン・ベネマン事務局長はレポートの序文で、こう述べています。

最も支援を必要としているのはスーダン

過去数年間と同様、スーダンは今年も、最も支援を必要としている国にランキングされています。その額は、今回報告書が要請する支援総額の5分の1を超える1億5000万米ドル(約156億円)。ダルフール地方で続く紛争により、これまでに210万にのぼる人々が住む家を追われました。南部の状況も不安定で、母子の疾病罹患率は、世界でも最悪のレベルです。

また、コンゴ民主共和国や中央アフリカ共和国、チャドの紛争に巻き込まれた子どもたちを保護し支援するためには、スーダンと同様に十分な資金が必要です。このような問題が続発する地域でも、ユニセフは出来うる限りの支援ができるよう、十分な物資と人員をあらかじめ配置するよう努力しています。

「毎年のように危機的な状況が発生する国々では、人道支援が欠かせません。しかし、国際社会の持続的で時宜を得た支援がなければ、例えば緊急支援物資の輸送も(中長期的な計画を事前に立てられないため、費用が安い)陸路よりも(費用の掛かる)空路を使わざるを得ないのです。せっかくのご支援が、輸送費にばかり使われてしまわれかねないのです。」 2004年から2007年まで、ユニセフ・チャド事務所で代表を務めたスティーブ・アディクソンは、こう述べています。
アフリカ以外でも、様々な自然災害の被害を受けた国々が、大きな支援を必要としています。例えば、2年前に大地震に襲われたパキスタン。学校や病院の再建には、国外からの支援が頼りです。

「津波」の教訓

UNICEFUNICEF/HQ06-0152/Kamber
© UNICEFUNICEF/HQ06-0152/Kamber
再燃する紛争で150万人が人道支援を緊急に必要とする状況にあるソマリア。保健サービスと安全な水を手に入れられるのは、人口の30%

ユニセフの緊急支援活動。2004年12月のスマトラ沖地震・津波には、全世界から大変大きな支援が寄せられ、一回の緊急支援としては史上はじめて、10億ドル(約1070億円)を突破。こうしたご支援により、ユニセフは被害に遭った8つの国の女性と子どもたち600万人あまりに対し、順調に支援活動を続けることができました。

「津波」から学んだ教訓は、今年の「人道支援活動報告書」でも、今後に向けた人道支援活動の強化策として、下記のような「成功事例」とともに紹介されています。

  • 危機にさらされた全ての子どもたちを支援するためには、様々な人道支援団体との間の効果的な協力体制、そして(子どもの専門機関としての)ユニセフのリーダーシップが不可欠である。

  • 子どもたちやコミュニティーに、災害を事前に察知し、災害に備えるために必要な知識と技術を提供しなければならない。

  • 緊急支援活動には、適切な時に、適切な場所に、適切な人材がいることが必要。

  • 適切な支援物資を、適切な時に、適切な場所に提供しなければならない。

  • 最も弱い立場に置かれている人々に支援を優先させるなど、緊急支援活動を最も効率的に計画、実行そして効果を測定するためには、信頼できる情報を確保することが不可欠。

  • 突発的な緊急事態に迅速に対応するには、国際社会からの充分な支援の存在と、柔軟な事務・財務手続きが必要。

人道支援を提供する「システム」を確立するために

子どもたちの保護を任務とする国連機関として、ユニセフは数ある国連機関の中で、人道支援の最も大きな実行機関のひとつです。ライフラインとなる水や衛生サービスの提供や、人道危機の状況の中でも、そしてそうした状況が克服された後も、教育支援に主導的役割を果たしているのがユニセフです。

「私たちが必要としている支援が国際社会から得られなければ、私たちが、他の国連機関などと協力し、国連全体として支援を提供する仕組みづくりに貢献することが、十分にできなくなります。(今回のレポートで私たちが訴えているのは)ユニセフだけの話ではなく、支援を実行する全ての人が、より良い支援が出来るかどうか、ということなのです。」(ユニセフ事務局次長ヒルダ・ジョンソン)

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