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ユニセフ『南アジアにおける子どもの人身売買と性的搾取に関する報告書』 発表! 犯罪者として扱われる子どもたち・・・法整備が急務

【2008年8月27日 ネパール・カトマンズ発】

ユニセフ・イノチェンティ研究所は、27日、南アジアにおける子どもの性的搾取と人身売買に関する報告書『南アジアの実践:子どもの人身売買の予防と対策(South Asia in Action: Preventing and responding to child trafficking)』を発表しました。報告書は、南アジアの国々で性的搾取や人身売買の被害を受けた子どもたちの相当数が、犯罪者としての扱いを受けていると指摘。南アジア各国の国内法の未整備が、こうした二次被害を生み出す背景にあると報告しています。

報告書は、人身売買の危機から子どもを守ると同時に、被害に遭った子どもたちの保護のために、法整備の必要性を訴えています。子どもたちは、身分証・旅行証などを持たない入国者や保護者を伴わない未成年者として扱われるため、(この地域における)人身売買問題の中で子どもの人身売買の問題は、これまであまり注視されることがありませんでした。

南アジアの子どもたちが人身売買の被害に遭う理由は、多岐にわたります。報告書は、買春、セックスツーリズム、子どもポルノ、幼児性愛を含む様々な形態の性的搾取、また、農場や工場、家事手伝い、物乞いなどの児童労働、そして、強制的結婚、養子縁組、児童兵としての登用、負債免除などをその主な例として挙げ、また、男の子も(女の子と同様に)性的搾取を目的とした人身売買の被害に遭っている事実が、往々にして見落とされる傾向があると指摘しています。

こうした子どもの人身売買の全体像を示す信頼できる数値はあまり存在しませんが、人身売買行為は、国内、南アジアの国家間、さらには南アジアから東アジア、ヨーロッパ、中東など他の地域との間で行われています。

南アジア各国の政府は、予防のための国家計画を立て、人身売買を犯罪とみなす法律を導入した国も生まれてきています。しかし、子どもたちをあらゆる形態の搾取から守り、子どもの犠牲者たちを法的に保護し、社会心理的なケアも受けられるようにするため、更なる法整備が必要とされています。

現在設定されている国際的・地域的な基準は、大人(の被害者)を念頭に作られています。南アジアにおいて、子どもの被害者も念頭に置いて人身売買に関する国際的な定義を定めた最初の国際法であるパレルモ議定書に署名をしたのは、これまでインドとスリランカの2カ国にすぎず、批准に至った国は皆無。

司法手続きについても、子どもに対してより適切なものに改正される必要があります。プライバシーの保護や子どもに心理的な悪影響を与えないようにするために、証言者保護やビデオカメラを使った手続きなど、法律上の救済措置が遂行されるべきです。南アジアの子どもたちは、司法手続きの内容について十分に知らされることがなく、こうしたことが、子どもたちに二次被害に遭わせる結果にもつながっています。

南アジア地域における子どもの人身売買は、必ずしも犯罪組織によって行われているわけではありません。彼らの友人、親戚、時に親までもが関わっている問題なのです。

子どもの人身売買の背景には、人身売買に「押し出す」(Push Factors)ものと「引き込む」(Pull Factors)要因が存在し、その中で、「貧困」が最も顕著で一般的な要因として語られる傾向があります。一方、今後さらなる調査が必要とはされますが、家庭やコミュニティ内での暴力と虐待、そして、より良い生活への憧れが、子どもや若者を人身売買業者の餌食にしています。

南アジアにおける子どもの人身売買と性的搾取に関する報告書 『南アジアの実践:子どもの人身売買の予防と対策』は、本年11月、ブラジル・リオデジャネイロで開かれる「第三回子どもと青少年の性的搾取に反対する世界会議」に向けた準備を目的に、ネパールの首都カトマンズで開催されている南アジアの各国政府とNGOなどの代表らによる地域会合の場で発表されました。

「子どもの商業的性的搾取」問題への取り組み

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