2009年１月
妊娠と出産に関係する要因で、毎年50万人の女性たちが亡くなり、約400万人近い新生児が生まれて28日以内の新生児期に命を落とす。『世界子供白書2009』では、この世界的な危機を検証し、早急な成果を挙げられるコスト効果の高い解決法を概説している。＜シエラレオネは、世界でも妊産婦死亡率が一番高い＞
妊産婦死亡の95％、新生児死亡の90％は、アフリカとアジアで起きている。＜胎児用聴診器・ナイジェリアにて＞
妊産婦ケア、基礎保健ケアへのアクセスがあれば、妊産婦と新生児の死亡のほとんどは防ぐことができる。＜母親と新生児。インドのバンガロールにて＞
ライフ・サイクルを通して、重要なポイントで女性と子どもたちにサービスを提供する「継続的なケア」に組み込まれるとき、これらのサービスは最も有効である。＜ジャマイカのキングストンで生まれた新生児＞
質の高いケアとは、出産前、出産後の適切なケア、専門技能を持った保健従事者による出産介助、適切な栄養摂取、疾病抑制、教育を受けた母親、適切な新生児ケアをいう。＜健康な母親と新生児。インドにて＞
それはまた、ジェンダーによる差別、そのほかの差別に対処することも意味する。なぜならば、これらは、妊産婦と新生児の死亡を削減すると分かっている戦略の導入を妨げるからである。＜スーダン南部での助産婦への研修＞
バランスのとれた、適切な栄養も、女性が健康な母親になるために必須な事柄である。＜９カ月のお腹を抱えて、貧血状態にあるスシミタさん。訪問による定期健診を行っている助産師から栄養剤を貰っている。ネパールの遠隔地の村にて＞
最低６カ月の母乳育児は、乳児が健康に生き、育つための重要な要因となっている。＜健康な母親と新生児。紛争の続くスーダン・ダルフール地方にて＞
既知の方法で、HIV、マラリア、肺炎、破傷風を含む病気を予防し、治療することも大切である。＜殺虫剤処理を施した蚊帳で寝る女性と新生児。モザンビークにて＞
緊急産科ケア、乳児ケアは、合併症や重篤な感染症が起きたとき、それぞれの命を救うために必須である。＜最新の小児病棟。インドのアンダマン・ニコバル諸島にて＞
母親と新生児の健康を守るためには、保健面での支援だけでなく、女性の権利を尊重するような環境整備も必要である。＜妊産婦と子どものための保健センター。コートジボワールのブナにて＞
そのような環境を作るには、女性と女子の教育が必須となってくる。＜若い母親たちを対象にした子育て講座。インドにて＞
女性と新生児の保健ケアを阻害するそのほかの要因にも対処していかなければならない。例えば、貧困、紛争、あらゆる差別などである。＜助産師への研修を行っているところ。アフガニスタンにて＞
改善された保健ケアとは、保健システムの強化を意味し、より良いデータの収集、インフラの改善、研修の改善、公平な予算、基準の高いケアなどをいう。＜子どもに優しい病院。トルコのイスタンブールにて＞
何百万もの女性と子どもの命を守るには、政府のリーダー、保健の専門家、市民社会、コミュニティ、家族の協働努力が必要である。＜バングラデシュの女性とその子ども＞