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ユニセフ協会からのお知らせ

ユニセフ最新の数値を発表
5歳未満児の死亡数 年間880万人に減少!

【2009年9月10日 ニューヨーク発】
© UNICEF/NYHQ2007-2685/Pirozzi
ニジェール、モザンビーク、エチオピアでは、1990年以降の5歳未満児の死亡数が、出生1,000人あたり100人以上削減された

ユニセフは9月10日、5歳未満児の死亡率についての最新数値を発表し、死亡率が2008年も引き続き減少していることを発表しました。最新のデータ(推計)によると、1990年時点で出生1,000人あたり90人であった死亡数が、2008年の5歳未満児の死亡数は出生1,000人あたり65人となりました。

これは、ミレニアム開発目標の基準となる1990年時点では、5歳未満児の死亡数が世界で1,250万人だったのに対し、2008年の5歳未満児の死亡数は推定880万人に削減されたことを意味します。

「1990年と比べると、5歳未満児の死亡数が、1日あたり1万人削減されていることになります。」 アン・ベネマン ユニセフ事務局長はこのように述べました。「しかし、こうした成果がある一方で、毎年880万人もの子どもたちが5歳の誕生日を迎えることができないという現状は受け入れられることではありません。」

本推定値は、ユニセフをはじめとする、世界保健機関、世界銀行や国連人口局など各機関の人口統計学者や保健専門家が、数々の主要な学術機関の技術顧問と共に集積したデータを分析して算出した数字です。 

世界の5歳未満児死亡率は、過去20年にわたり着実に減っています。1990年から2000年にかけては年間平均1.4%の割合で死亡率の低減が進んでいましたが、2000年から2008年の年平均減少率は2.3%と、順調な前進を続けています。

保健問題の専門家は、この堅調な死亡率低減は、はしかワクチンをはじめとする予防接種、マラリア予防のための殺虫剤処理を施した蚊帳の使用、ビタミンAの配布など、保健分野での重要な支援が増加したことによるものと考えています。実際に、このような保健支援が強化された場所では、5歳未満児死亡率の低減に関して好ましい前進が見られています。

世界中で著しい進展がみられており、そのなかには後発開発途上国も含まれます。5歳未満児死亡率の高い国のひとつ、マラウイでは、5歳未満児死亡率を2015年までに1990年の3分の2に低減するというミレニアム開発目標の達成に向けて順調に推移しています。

推計によると、マラウイの5歳未満児死亡数は1990年には出生1,000人あたり225人でしたが、2008年には出生1,000人あたり100人にまで削減されました。マラリアを防ぐ主要な方法である蚊帳を利用する子どもの数は、2000年には5歳未満児のわずか3%でしたが、2006年には25%まで増加しました。マラウイは、限られた資金を保健システムの向上のために集中して利用し、最も費用対効果の高い支援を実施しました。それによって、多くの子どもの命が助かったのです。

© UNICEF/NYHQ2006-2238/Pirozzi
モザンビークのナムラヴァ村の保健所ではしかの予防接種を受けるドラちゃん(3歳)。モザンビークは5歳未満死亡率の最も高い国のひとつ。

5歳未満児死亡率の高い67の国(5歳未満児の死亡数が出生1,000人あたり40人以上の国)のうち、ネパール、バングラデシュ、エリトリア、ラオス、モンゴル、ボリビアとマラウイの7つの国が、年間の5歳未満児死亡率が4.5%かそれ以上の低減を達成しています。

ミレニアム開発目標の達成を必ずしも見込めない状況の国でも、目覚しい前進がみられています。ニジェール、モザンビーク、エチオピアでは、1990年以降の5歳未満児の死亡数が、出生1,000人あたり100人以上削減されました。

多くの国で順調な前進がみられていますが、世界的な前進の速度はミレニアム開発目標を達成するにはまだ不十分な状況です。また、開発途上国の5歳未満児死亡の93%が、アフリカとアジアで起こっています。

「5歳未満児の死亡は、人口の多い一握りの国々で集中して起きています。世界の5歳未満児死亡の40%が、インド、ナイジェリア、コンゴ民主共和国のたった3つの国で起きているのです。これらの国での死亡率を大幅に低減しない限り、ミレニアム開発目標を達成することはできません。」 (ベネマン事務局長)

前進がほとんど、または全くみられない国もあります。南アフリカでは、1990年に比べ5歳未満児の死亡率がかえって増加しています。子どもの健康は、母親の健康状態と密接なつながりがありますが、南アフリカはHIVに感染している女性の数が世界で一番多くなっています。HIV/エイズの母子感染防止への支援拡大に向けた最近の政府の取り組みがうまくいけば、状況は改善されるでしょう。

本推定値は、過去3年から5年にかけて行われた調査により算出されており、マラリア予防のための蚊帳の配布、髄膜炎に対する予防接種、ビタミンA配布とHIVの母子感染予防と小児科HIV予防の強化による改善や、はしかや破傷風の予防に対する成果はまだ充分にデータに反映されているわけではありません。

調査をしっかりと行い、総合的でコミュニティを中心とした支援を実施すること、また、子どもの命を奪う主要な原因−肺炎、下痢性疾患、新生児の障害、マラリア、エイズと栄養不良−を周知させることによって、たとえ貧困の厳しい環境でも更なる進展を促進することは可能です。また、5歳未満児死亡の大きな原因である肺炎と下痢性疾患への対処を徹底することによって、さらに前進にはずみをつけることができます。

「2015年までに5歳未満児の死亡を3分の2減少させる、というミレニアム開発目標を達成するためには、的確な支援を滞りなく実施することによって、更なる前進を続ける必要があります。」とベネマン事務局長は述べました。

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