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ユニセフ協会からのお知らせ

「飲料水は大幅に改善したが、26億人がトイレの無い生活を強いられている。」
ユニセフ・WHO共同報告書

【2010年3月15日 ジュネーブ・ニューヨーク発】

© UNICEF/NYHQ2009-2144/Pietrasik
石けんで手を洗うスリランカの4年生の子どもたち。

「世界の人口の87パーセント、約59億人の人々が安全な水源を利用しています。」 

2010年3月15日、ユニセフが世界保健機関(WHO)との共同監査プログラム(JMP)報告書として新たに発表した『衛生施設と飲料水の前進:2010 最新報告書』は、安全な飲料水の確保に向けた活動は、ミレニアム開発目標(MDG)の達成に向けて順調に推移している、あるいは、目標以上の成果を上げているところもあると報告しました。

しかしながら、世界人口の約39パーセント、26億人以上の人々が改善された衛生施設(トイレ)のない環境で生活しています。本報告書も、ミレニアム開発目標達成のためには、やらなければならないことがたくさんあると指摘しています。もし、これまでの傾向が変化しなかったとすると、国際社会は、2015年までに、この分野でのミレニアム開発目標を達成することができず、約10億人の人々が取り残されることになります。

一方、朗報もあります。最も危険な習慣である屋外での排泄が、世界中で減少しているということです。こうした人々の割合は、1990年の25パーセントから2008年には17パーセントに減少。1990年以降1億6,800人減少したことになります。しかし、この慣習は、南アジアでいまだに広く行われています。屋外で排泄している人々のうち、推定で44パーセントは南アジアに暮らしています。

© UNICEF/NYHQ2008-1639/Pirozzi
小・中学校にあるトイレに向かって歩く男の子。(エリトリア)

本報告書では、安全な飲料水や衛生施設を日常的に利用できない人々の割合を半減するというミレニアム開発目標(MDG)達成に向けて、209の国と地域の現状と傾向を報告し、考察しています。

「水と衛生が人間の健康と福祉に極めて重要であり、社会開発の原動力となる役割を担っていることを、多くの人々が認識しています。今、私たちに課せられている課題は、ミレニアム開発目標達成に向けた進展をいかに加速させるかであり、またさらに最も重要なことは、最終的に全ての人々が安全な水とトイレを使える状況を創りだすことです。」WHOのマリア・ネイラ公衆衛生環境部長はこう話しました。

本報告書は、世界中の改善されたトイレと改善された水源を現在利用している人の割合を最も明快に最新の情報を提示しています。本報告書は、世界中の政策立案者や支援者、そして公的機関や民間団体の人々が、ミレニアム開発目標達成のために何が必要なのか、どこに焦点を当てて活動すべきかを決めるための材料を提供することを目的にまとめられました。

「水と衛生分野のミレニアム開発目標の達成だけを追及してはいけません。他の地域で実現したことを享受することができない人々や、弱い立場の人々も含め、全ての人が公平にこれらの目標を達成できるようにすることが必要です。」 ユニセフのテッサ・ワルドロウ統計・評価担当部長はこう話しました。

今世界では、都市部と農村部に暮らす人々の割合はほぼ均等です。しかし、安全な飲料水が飲めず、トイレを使えない人の大部分は、農村地域に暮らしています。トイレを使えない人の10人中7人、また、改善された水源を利用していない人の10人中8人以上が、農村地域に暮らす人々です。

同様の格差は、「貧困」の中にも見られます。サハラ以南のアフリカ地域の最も裕福な人口層の上位20パーセントと、最も貧しい人口層の下位20パーセントを比較すると、最も裕福な人口層の人々の場合、改善された水源を利用しやすい割合が2倍以上、改善されたトイレを利用しやすい割合は約5倍に上ることが明らかにされています。しかしながら、同様の格差が世界の他の地域でもみられるのかを確認するために利用可能なデータは十分にありません。

「2015年まであとわずか5年。私たちがミレニアム開発目標の達成度を最終的に評価するまでに、衛生環境の改善への大きな投資と努力が、今、なされなければなりません。」WHOの水と衛生、公衆衛生、保健事業を統括するロバート・ボス氏はこう話しました。

毎年、推定150万人の5歳未満の子どもたちが、安全でない水と改善されていない衛生施設、不衛生な環境のために、その命を落としています。飲料水と適切なトイレの欠如と不適切な衛生慣習は、子どもたちの健康と安全、子どもたちの生活の質に悪影響を与えています。中でも、女性や女の子たちへの影響は深刻です。女性や女の子たちは、男性と男の子よりも飲み水を汲む仕事を任されやすいのです。

「約8億8,400万人の人々が安全な飲料水を飲むことができず、その約3倍の人々が、基礎的な衛生施設(トイレ)を使うことができません。私たちは、全ての人々が飲料水と衛生施設を利用できるよう、国際社会一丸となって、いま行動しなければなりません。」(ユニセフの水と衛生分野事業部(WASH)のクラリッサ・ブロックレハースト部長)

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